守護天使オルファ

「守護天使オルファ」は、精神分析家のシャーンドル・フェレンツィが使っていた言葉です。精神医学で言えば、多重人格に見られる内的自己救済者とか、解離性同一性障害の観察者(保護者)の人格部分のことを表していると思います。また、自然崇拝の視点で見れば、自然や宇宙を飛び回る精霊や神霊のような存在になります。ソクラテスの取り憑いていた善性あるいは悪性の超自然的存在ダイモーンが神霊にあたります。

 

子どもの頃に、大きなピンチに遭うと、宇宙の彼方から守護天使がやってきて、優しい言葉をかけてくれることがあります。また、大人の場合でも、衝撃的な事件に巻き込まれて、不快さに耐えれなくなると、自分の肉体から離れて、守護天使に出会います。そこで魂の名前を与えてもらい、聖性を得ることで、再び肉体に戻ります。守護天使は、人格交代の出入りを助けてくれたり、多重化した解離システムを見渡しています。また、差し迫った問題に光に当て、正しい方向を教えてくれる存在しています。

 

▶シャーンドル・フェレンツィ「臨床日記」から、守護天使オルファについて

 

身体変化に際する知性の働きは、外からの妨害が何もなければ休んでいる。暴行の一つ一つへの抵抗。(挑戦、理解の拒否。)この抵抗によって時間と空間が定まる。知性そのものは時間と空間をもたないゆえ、超-個人である。「オルファ」。

 

生命維持を「何物にも勝り」優先する固有の存在(オルファ)。この断片は守護天使の役割を演じて願望充足的な幻覚、慰撫的ファンタジーを生成し、外的感覚が耐えがたくなったときには、意識と感受性を無感覚化してそれに対抗する…。

 

心が頭の穴を抜けて宇宙にまで達し、はるかかなたで星のように輝いた。(これはある種の千里眼だが、攻撃者を理解するという範囲を超えていわば全宇宙を理解することで、あれほどの戦慄がこの世にあることを理解しようとするものだろう。)こうして人格の内部は、ショックの重圧のもとでも現世的存在になくてはならない利己的領域を残しながら全知を獲得する。この全知の断片は距離と明晰さを保ち、あらゆる相互関係を知っていることで、すべてが失われ何の望みもないように見えるときでさえ介入し救いの手を差し伸べる。星のかけらが宇宙の果てから一人の人間に目を停めた。自らに似てはいるがその運命と苦悩によって内省の機会を提供できる人、言い換えればただの攻撃(父親)ではなく善意とともに完全な理解を提供できるたった一人の人間である。これ以外のいくつもの断片だけでなくこの断片をだれかが信じてはじめて(言うならば頭の穴を通して片目で遠くの星を見ながら、他方の目で頭と心のなかの出来事を観察する。)

 

参考文献

シャーンドル・フェレンツィ:『臨床日記』(訳 森茂起)みすず書房

 

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