慢性疲労症候群と線維筋痛症

▶慢性疲労症候群と線維筋痛症

 

この二つの病気は、一般的な検査では異常が見つからず、発見や治療が遅れて重症化することがあります。一般的には、長期に渡って、生活全般のストレスがかかり、脳や脊髄とかに炎症を起こして、神経の繋がりが過敏になり、痛みになります。慢性疲労症候群では、患者の約3割は寝たきりかそれに近い状態で介助が必要です。子どもの場合は、学校に登校できなくなり、学習面でのサポートが必要です。線維筋痛症では、ストレスが痛みとして表れ、寝たきりで動けなくなることがあります。どちらの病気も深刻さを理解されず苦しんでいる人がいます。

 

過酷な環境に長年留まり、トラウマ化した身体は冷たく固くなり、さまざまな刺激に、すごく身体が反応して、恐怖や痛みが強くなると、慢性疾患になります。慢性疲労症候群と線維筋痛症の合併率が高く、そこに化学物質過敏症やシックハウス症候群、電磁波過敏症、過敏性腸症候群、顎関節症、間質性膀胱炎なども重なると、過敏性の高さから、生活空間の全体がストレスになり、周りの人の手伝いが必要になります。まともに都市型の生活が出来なくなり、精神的にも肉体的にも限界に達して、家族の協力がない場合は、とても苦しい状況に追い込まれます。

 

日常では、身体が硬直しやすく、いつも頭の中は、嫌なことが忘れられず、思い出されてしまって、グルグル回っています。身体が痛み、脳は休まらず、不眠が続くと、頭も働くなり、疲労、倦怠感で限界に達していきます。食べることや料理すること、洗濯することなど家事が出来なくなります。病院に通院するのもきつく、周囲が無理解だと、心も体もボロボロになり、外に出ることがやっとの人もいます。慢性疲労症候群は、診療体制があまりないような状態です。線維筋痛症は、家族や職場など、周囲から痛みが理解されない病気です。そのため、怠けているとか演技とか言われてしまい、周囲の人の無理解により、孤立していくことが多いと言われています。

 

慢性疲労症候群と線維筋痛症の原因

 

虐待による幼い頃に降り積もった痛みや医療処置の失敗による痛ましい痛みに埋め込まれて、線維筋痛症や慢性疲労症候群になることがあります。身体の中の痛みは生き延びようとしていて、他の地球上の存在のものと同じようにその人の神経に滞っています。そのままにしておくと痛みは成長していき、本来の穏やかな自分にとってかわって、痛みそのものが自分になって寄生されます。別の言い方では、身体の痛みに苦しむほど、痛みが身体をギュッと締めつけるので、より痛みが増していくというネガティブな結果になり、神経が過敏な人ほどその悪循環から抜け出せなくなります。そして、身体と仲良くなることが不可能になり、身体に意識を向けようとしても、痛みばかりで、敵になっていきます。本来は、自分の身体に意識を向けると、自然治癒力が発揮されますが、慢性疼痛の人は、身体に意識を向けると痛みや不快感がどうしても拭い去れず、自然治癒力が枯渇していきます。 

 

一般的な原因としては、遺伝要因を見れば、神経の発達上の障害があるかもしれません。環境要因を見れば、虐待、ネグレクト、DV、性被害、自然災害、医療トラウマ、母胎内トラウマ、事件、事故、感染以外にも、生活全般のストレス要因が多いと思われます。本当の原因は不明ですが、いくつかの難しい要因が複雑に絡み合っていると考えられます。生まれ持って神経が脆弱なところに、 発達早期に命の安全が脅かされるような出来事を体験をしてしまうと、基本となる神経の発達が阻害されます。そして、些細な出来事に対しても、過敏に反応して、常に警戒するようになり、自律神経系、免疫系、内分泌系に異常が出てしまいます。また、逃げ場のない状況に追い込まれていって、長期に渡り、その場に留まり続けると、全身が硬直していき、心臓が硬くなり、慢性疲労や慢性疼痛などの原因不明の身体症状を引き起こします。

 

彼らは、子どもの頃から、両親の仲が悪かったり、親に気を使うような家のなかでどこにも安全な場所がありませんでした。長期に渡って、安心して落ち着けるような心の拠り所がないところで育ち、過剰な警戒心から、頭や胸、首、肩、背中が硬直して、痛みを感じてきました。また、自律神経系の調整不全から、体調が良くありませんでした。通常の人よりも処理速度が遅く、作業に時間がかかりました。今では、身体のあちこちの部位が痛みや痺れ、硬直、震えがあり、酷くなると、不安から苛立ちます。ベッセル・ヴァン・デア・コークの「身体はトラウマを記憶する」から、長期にわたって怒ったりおびえたりしていると、筋肉が常に緊張状態になるために、いずれ痙攣や背中の痛み、偏頭痛、線維筋痛症といった、何らかの慢性疼痛の症状がでると述べています。

 

▶トラウマの要因としては、

 

線維筋痛症と慢性疲労症候群は、女性に多い病気です。過去にトラウマを負い、他者の視線が怖くて、身体が縮こまり、逃げ場がなく、八方塞がりな状況から抜け出すこともできず、痛みに耐え続けて、凍りつくような反応を示す人がなりやすいと感じています。トラウマの負った人は、脳のフィルターが全開になることがあり、過剰な刺激に圧倒されやすくなります。そこに長期に渡って、警戒心の過剰さと恐怖、怯え、心理社会的ストレスが加わることにより、脳・神経系、免疫系、内分泌系に異常がおきます。ストレス過多から無意識のうちに炎症を起こす物質に侵されているうちに、副腎疲労になり、心的エネルギーが低下していきます。さらに、HPA系の機能調節異常により、自分の身体の弱い部分から爆発していき、症状化していくリスクが高まります。身体内部は大量のストレスホルモンが分泌されて炎症を引き起こし、神経は過敏で、光や音、匂い、化学物質などの刺激に痛みます。

 

発達早期にトラウマを負い、原始的な背側迷走神経の作用にはまり込んでいる人は、凍りつきや崩れ落ちが起きないように身体が常に緊張しています。脳と身体を繋ぐ首の部分は、脱力から崩れ落ちてしまわないように力が入っています。肩や腕は、いつも首や頭の周りを無意識のうちに守ろうとして緊張しています。また、背側迷走神経が働く首から背中の部分は、強い痛みになる場合があります。日常場面では、原始的な背側迷走神経が働かないように強い刺激や苦手な刺激を避けたり、気配や人の言動に怯えて生活しています。また、危険を回避すればするほど、恐怖心は増大していって、身体の硬直や凍りつき、呼吸がしづらく、心拍数や血圧も下がります。そのため、常に相手の顔色を伺いながら、先読みしたり、頭で熟考したりしますが、相手の表情次第では、怖くなって、その場にいられなくなります。身体は、収縮しようとする力が圧倒的で、固まっていきますが、ある部分は脱力したりして、バランスが悪いです。固まりそうな部分がさらに委縮させられると、怒りなどの強い感情で反応するしかなく、相手のことを柔軟に受け止めることができません。頭の中は混乱していて、どうしていいのか分からなくなると、全身に力が入っていき、奥歯を噛み締め、パニックになったり、イライラしたり、ムズムズしたり、やがて慢性疼痛になっていきます。身体をリラックスさせる力が働かず、人間本来の拡張と収縮のメカニズムが機能していないので、痛みだらけになっていきます。

 

教育熱心な厳しい親に育てられ、性格は完璧主義的で頑張り屋さんで自責感の強い人に多いです。光や匂い、音に敏感です。呼吸数、心拍数は少なめで、血圧も低いため、めまいやふらつきが見られます。身体の痛みや疲労感を飛ばすために、解離性症状や離人症、失感情症が見られることがあります。しかし、子どもの頃から、解離性症状があると、痛みやストレスを感じなくさせれるので、生活全般を平然とやり過ごすようになり、いつのまにか長期に渡るストレスに気づけず、無理をしていると痛みだらけの体になるという危険があります。そして、心と身体の結びつきが弱まり、本能的行動の逆の行動を取り続けると、身体の方が悲鳴をあげていきます。

 

▶治療方針

 

身体の痛みから、地獄のような苦しみのなかで生きていて、不眠や重い鬱状態にあります。ですから、カウンセリングでは、天国のようなイメージを思い浮かべて身体の感覚の変化を見ていきます。天国のように美しく、安心できて、自分に望ましいイメージを心で思い描きながら、身体の安全な場所を発掘していきます。このようなセッションを繰り返していくことで、心と身体を繋ぎます。また、無理のない生活環境を一緒に考えていって、安心できる体験を獲得しくことを目指します。神経の働きとしては、背側迷走神経が働かないように、体質の改善をはかり、物事を見方を変えていきます。身体や頭のほうは、硬直した部分に気づいてもらって、胸や背中、肩、喉にある大きな塊のようなものを小さくします。また、手足などの脱力した部分に気づくことで、再び力を取り戻していきます。そして、身体と心のバランスを計れるようにして、リラックスした状態で過ごせるように瞑想に取り組んでもらいます。

 

痛みの身体を持っている人は、脳と身体の神経の繋がりを鈍くさせることで、自分を保とうとすることがあります。そのため、頭の中で、イメージを思い浮かべても、神経の働きが鈍っているため、身体感覚を感じることが難しい状態にあることが多いです。身体感覚を感じにくい人や嫌なイメージを思い起こしたくない人には、身体志向アプローチが向いていないか、どうしても時間がかかってしまいます。治療の中核となるセッションでは、嫌なイメージを思い浮かべて、トラウマ体験時の不動状態を作ります。その不動状態に意識を向けると、自然治癒力が引き出されていくので、人間本来に備わっている力を利用します。収縮した身体に対しては、拡張させる方向に持っていき、脱力した身体に対しては、収縮させる方向に持っていきます。自然治癒力を引き出すには、恐怖を思い起こして、身体の硬直を収縮させることで、不動状態に入ってもらうか、絶望を思い起こして、身体を脱力させることで、不動状態に入ってもらいます。不動状態を意識的に探索していくと、がちがちに固まっていたものが広がり、凍結していたエネルギーが満ち満ちと溢れて、身体の中を流れるようになります。しかし、慢性化したトラウマの影響により、極限に縮こまりすぎた身体を持つ人は、恐怖に立ち向かって、不動状態に入っていくことを怖がります。不動状態から脅威を感じ取ると、全身が痛みを感じるか、バラバラになるか、捻じれるか、機能停止させられて、恐ろしい思いをするかもしれません。また、不動状態から、自然治癒力を引き出されると、がちがちに固まっていたものが広がるため、急激な反応が起こることを恐れます。全身がブルブルと震え、熱くなり、拡張していく、この過程で自分の身体がどうなっていくのか分からない恐怖があります。ですから、時間をかけながら、自分の身体を観察したり、固い部分に注意を向けたり、意識的に探索したり、頭の中で心地良いイメージを深めたりを、交互に行いながら、少しずつ進めていくほうが良いでしょう。

 

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