発達障害
発達障害は、様々な種類と症状があり、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさと、その人が過ごす環境や周囲の人との関わりのミスマッチから社会生活に困難が発生する障害です。日本では、発達障害は、世界保健機関(WHO)の基準に準拠しており、発達障害とは、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害、学習障害など、その症状が通常低年齢において発言するものと定義されています。

 

発達障害の人は、環境への適応が難しかったり、ストレスに過敏だったりしますが、それはこころの弱さではなく、脳の構造の違いにより起こっています。発達障害の人は、脳の構造の違いから苦手なことは多いですが、他方、得意なこともあるので、発達障害を障害というよりも個性として捉え直そうという動きもあります。ただし、発達障害のなかでも、個性ではすまされないほど苦しんでいる人もいます。

 

自閉スペクトラム症(ASD)

▶自閉スペクトラム症の中核症状

 

①社会的コミュニケーションや社会的相互作用における持続的な欠陥。

②限定された、反復的行動、興味、または活動の様式。

 

自閉スペクトラム症の児童は、限定的な行動に特別な興味を持ち、変化に抵抗し、仲間に合わせて社会的状況に反応しないことがあります。また、日常的な習慣を邪魔されると強い不安を感じることがあります。そして、知覚が異常に過敏(または鈍感)であったり、柔軟な思考が難しかったりします。同じ発達障害に分類されるADHDと重なり合うところがあります。一般的に社会性の困難があると言われており、発達障害のある人は、適応障害になりやすいと言われています。発達障害の診断の目的は、今の症状を治すことよりも後年の適応障害を作らないようにする意味が含まれています。最近では、人格障害のベースに軽度の自閉傾向がある方が多いとも言われています。

 

自閉スペクトラム症の特徴

 

1)社会的コミュニケーション

空想にとらわれており、内的世界に没頭したり、自己中心的思考をしたりします。

 

2)社会的相互作用

空気を読まないところがあります。

 

3)こだわり

不安がベースにあり、こだわりが強いので、思惑と違う(パターンが違う)とパニックになりやすい。

 

注意決陥・多動性障害(ADHD)

▶ADHDの特徴

 

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の特徴は、年齢的に相応した言動などに不注意・多動・衝動性の症状が複数見られる障害です。「注意力散漫」「落ち着きがない」「集中力がない」などは誰にでもある行動のようにも見えますが、社会的な活動や学業、日常の支障をきたすほどの症状が見られます。一般に、忘れ物、時間を守れない、片付けできないなど割と目につきやすい行動が多いです。ADHDの子どもは、注意力がないため忘れ物が多く、集中しづらいところがあり、じっと落ち着いて座っていられず、さらに気に障ることがあると乱暴になるなどの行動をとることがあります。このような障害からストレス耐性が低く、ややもするとひとりになりがちです。周囲はこの状況を理解し、集中できる環境づくりをしなければなりません。 ADHDは、虐待や不適切な養育の影響により、過敏さやストレス耐性の低さとして現れることもあります。また、ADHDと愛着障害はとても似ていて、相互に関連している場合もあります。それは、ADHDなどの発達障害があることで、愛着形成が難しくなり、虐待のリスクになりやすいからです。

 

ADHDと愛着障害と子どもPTSDの違い

 

ADHDの子どもは、表現の仕方や対人関係が素直で純粋です。愛着障害の子どもは、対人関係が複雑で人を信頼できずにいて、他者をコントロールしようとします。解離症状が見られることもあります。また、母子関係の愛着形成に問題はありませんが、実父や継父の虐待、ドメスティックバイオレンス、いじめ、自然災害、事故、犯罪、手術などにより、子どもがPTSDとなり、過覚醒、悪夢、注意力散漫、落ち着きのなさ、再体験、回避行動、衝動的な攻撃行動に出てしまうことがあります。

 

学習障害(LD)
学習障害(LD)の特徴は、全般的な知的発達には問題がないが、読む、書く、話す、計算するなど特定の事柄のみが難しい状態を指し、学業成績や日常生活に困難が生じます。叱られることや注意されることが多くなると、自信を失ったり、やる気が失ったりしてしまいます。その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害が推定されますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や環境的な要因が直接原因となるものではありません。

 

発達障害の支援方法
発達障害の人はその振る舞いに対し誤解を受けやすいため、色々と批判を受けやすく、それ故に自信ややる気を失ってしまうことが多く、なかなか生きづらいと思われます。発達障害の特性を本人や家族・周囲の人がよく理解し、その人にあったやり方で日常的な暮らしや学校や職場での過ごし方を工夫することができれば、持っている本来の力がしっかり生かされるようになります。まずは、心理検査を受けてみて、自分の特性を理解することから始めてみるのが良いと思われます。そして、自分の状態をきちんと理解することによって、社会適応が大きく改善することが可能です。また、このような発達障害があると友達ができにくいため、ひとりで過ごす傾向が強くなり、ひきこもりになる可能性があります。現代社会では、仲間意識が強く、親や兄弟を含めた仲間同士が助け合っていく相互扶助によって成り立っているため、仲間なしでは非常に生きづらくなります。このような障害に悩む人は、まず、仲間づくりのトレーニングを始めてみるのが良いです。そして、カウンセリングルームのなかで、セラピストとの対話の空間で浮かびあがる「こころ」「感情」「身体感覚」の動きを見つめながら、自分について語り、自己理解を深めていきます