交感神経の怒りの人格
▶交感神経システムの乗っ取り

 

波長を合わせてくれて、心響き合う関係のもとで育った子どもは、腹側迷走神経が正常に働いて、他者と落ち着いてリラックスした状態で過ごすことができます。その一方で、ネグレクトや虐待を受けた子どもは、気分を落ち着かせて、身体を休ませる場所がなく、感情や自己調整機能に障害が出ます。子どもの頃に、母親に見捨てられたり、きちんとした養育を受けなかった子どもは、母親を求める叫びとともに目の前が真っ白になります。虐待や母親の不在が続くと、子どもは落ち着いてリラックスするという愛着システムが育ちません。その一方で、家庭や学校社会で不条理な目に合わされて、自分の居場所が無くなり、周囲から浮き始めると、怒りや許せない気持ちで自暴自棄になって、動物的で反射的な行動を取る交感神経システムの方が同時に成長していきます。交感神経システムの支配が強い人は、愛着対象との皮膚の接触は危険であり、対象なき世界で、己の力とスキルを磨きます。そして、愛着対象と距離を置くことで安全感を保障しています。

 

二つの意識状態がある人の本来の部分は、幼い頃から、親の顔色を伺いながらご機嫌をとってきたような良い子のタイプが多いです。しかし、心の中では、悪魔を崇拝していたり、悪魔や生霊、怨念に憑りつかれる(交感神経系に乗っ取られる)ことを心配しています。正常な状態から何かが湧き出るように別の感覚になって、興奮した状態に切り替わると、過剰な思考や行動が起きます。交感神経が昂ると、不安や動揺を感じやすくなり、過覚醒から過活動になると、目つきの変化とともに、肩に力が入り、身体が勝手に動いて、危険があるかどうかを入念に調べて、細かいところまで詮索するようになります。

 

本来の自分がトラウマにより、神経が昂ったり、落ち込みすぎたりして、気分の振れ幅が大きくなりますが、その間を行き来するようになります。そして、外の世界に過敏になると、今の自分が分からなくなり、自分が自分でなくなるという世界にいて、悪魔に憑りつかれる狂気を感じたり、生と死の狭間にいるように感じています。

 

▶人格の二重性

 

二重人格の人は、本来の自分も、交感神経システムの怒りの人格も別々な存在だけれども、一つの身体を共有しています。1つの身体に2つの人格と2つの記憶があり、スイッチが切り替わると行動が変わり、たまにどちらか分からなくなります。本来の自分は、この世界を見ていますが、もう一人の自分は、大きな闇や痛みを持っています。そして、本来の自分が、ストレスが高まり、どうしようもなくなったり、心の中で悪いことをしようしたり、人を傷つけたいと思った瞬間、もう一人の自分に乗っ取られて、怒りが爆発します。ですから、本来の自分は、怒りが爆発しないように、自分を抑制しようとします。

 

交感神経システムの怒りの人格は、本来の自分が幸せになることが許せなかったり、他の人と継続して関係を持てないように縁を切ったりすることがあります。また、怒りの人格は、死にたくないと思っていて、死のうとする本来の自分の守り神になることもあります。ピンチな時がきたら、表の世界に出ていきますが、このスイッチが入ると、目つきが鋭くなり、ずる賢い表情になります。そして、急にわけもなく怒り出して、弱い相手に攻撃したり、相手の反応次第では、暴言や罵倒が止まりません。怒りの人格は、生まれてきた環境の不条理さのなかで、一人で戦ってきて、悔し涙を流し、唸り声を出してきました。彼らの感情は、とても激しいものですが、それ以上に強い愛情でぶつかってくることを願っています。

 

怒りの人格を持つ人は、過去に引きずられそうになると、フラッシュバックが蘇り、過去の痛みと戦います。身体の中にいる怒りの人格が暴れ始めても、静かに情動の嵐が過ぎ去るを待つしかありません。また、外傷体験に焦点づけられた人格部分をいくつか持っていることがあり、怯えている人格が表に出てくると、周り全てが怖くなって、全身が震えたりします。

 

二重人格の傾向がある男性は、思春期や青年期にかけて、弱いものいじめや暴力事件を起こしやすいです。集団のなかでは、自分のメンツを守るために、負けるわけにはいきません。闘争場面では、本来の自分は眠くなり、意識は朦朧としますが、もう一人の自分が歯止めなくとことんまで相手を痛めつけます。

 

一方、愛着システムの本来の部分が、外傷体験のときの精神的ショックが大きすぎて、もはや散り散りに小さくなっていて、どこにも居ない場合があります。そして、交感神経システムが優位な部分があたかも正常かのように日常生活を営んでいます。こうした人は、対象なき世界で、力やスキルを高めて、人生の様々な障害を飛んで切り抜けるような曲芸師のようです。子どもの頃から、足が速くて、いじめっ子で、一匹狼で、思春期以降は、やんちゃな部分から反社会的な行動までとりがちです。ただし、人生に無茶を続けていくと、解離傾向が高まり、身体は硬直して、無感覚感な部分が広がっていくことになります。

 

▶二重性のある人への対応方法

 

交感神経システムに乗っ取られた子どもの場合は、顔を真っ赤にしてひっかいたりしてきますが、優しく抱きしめてあげて、背中をさすりながら、その子どもの痛みを言葉にして返し、一緒に泣いてあげるのが良いです。そうすると、子どもの方も泣き出して、交感神経システムから愛着システムが作動します。

 

交感神経システムに乗っ取られた大人の場合は、急にわけもなく怒り出したあと、なだめたり、話を聞いたりしながら、試行錯誤することになります。すぐに抱きしめようとしても、払いのけられることになります。相手の質問に対して、それなりに的確に答えて、そのようなやり取りを続けたあと、優しく抱きしめると、交感神経システムから愛着システムが作動して、子どもみたいになることがあります。

 

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