コフートの自己心理学用語

▶コフートの自己心理学

 

ハインツ・コフートは、精神分析的自己心理学の提唱者です。今日の自己愛研究や間主観的アプローチの端緒を開きました。コフートは、自己愛性パーソナリティ障害を両親が共感に失敗することから生じる自己の欠損に由来するものと考えていて「自己愛パーソナリティ障害の患者の問題は自己体験の断片化から生じる。」と述べています。

 

自己愛性パーソナリティ障害の人の関係の取り方は、本来ならば得られるはずの親からの承認(鏡体験)や親の強さへの憧れ(理想化)、親との本質的類似性の体験(双子体験)が得られず、極端な形でそれを求めるようになっただけと考えます。

 

自己心理学は、精神分析の自我の構造を自己に置き換えて見ています。また、自己心理学は、関係性の心理学であり、相手との関係のなかで私があるとか、人と人との関係によって自己が変わると考えます。

 

誇大的自己とは

「向上心・野心」を目指す自己愛の極。自己顕示欲や他者支配力を生み出し、幼児的な全能感や魔術的な思考(すべてが自分の思い通りになるはずだという自己中心的思考)を長く残存させる。

 

◎理想化された親イマーゴとは

「理想・親イメージの投影同一視」を目指す自己愛の極。理想追求や他者への依存性を生み出し、理想的な親イメージを他者に投影することで絶対的で永続的な愛情・保護(親の代理となる他者とのいつまでも変わらない安心できる関係)を得ようとする。

 

健全な自己愛発達のプロセスとは

誇大自己と理想化された親イマーゴの両方が適度に満たされながらも、段階的にそれらを断念していき、外部の現実世界(人間関係)に適応していくという変容性内在化によって「健全な自己愛」が形成されていく。

 

コフートの自己愛パーソナリティ
□物質的には満たされた環境にあっても、自分は空虚で、ばらばらで、価値がないと感じる。

 

□実際の業績がほとんどなくても、自分は著しく価値があり特別な存在だと思う。

 

□自分の価値を他者や社会が承認してくれることを求め、それが得られないと、引きこもったり、激しい怒りを示したりする。

 

□他者を過剰に理想化して褒め称えたいと願い、他者がそのような理想化の対象であり得ないと裏切られたと感じる。

 

□執念深い怒りを示したり、倒錯や嗜癖、心気症的不安を発展させたりする。

 

□自分が失敗すると羞恥心に圧倒される一方、相手の失敗には不寛容。