ソマティックエクスペリエンシング

▶ソマティックエクスペリエンシング

 

ソマティックエクスペリエンシングは、ピーター・A・ラヴィーンの開発した最新のトラウマ・ケアの治療法です。激しい恐怖状態などのトラウマ反応に対処する際、ソマティック・エクスペリエンシングでは、セラピストに九つの基本構成要素を提供している。トラウマと「再交渉」し変容させるためのこの基本手段は、直接的でも、厳格でも、単方向性でもない。治療セッションでは、この九つのステップはむしろ互いに絡まり合って依存しており、繰り返しどのような順序で用いても良い。しかし、この心理生物学的過程の基盤を堅固なものにするには、ステップ1,2,3を最初に順番通りに実施する必要がある。

 

1)相対的に安全な環境を確立する。

2)感覚を初めて探索し受容することを援助する。

3)「ペンデュレーション」およびコンテインメントを確立する。これは、生得的なリズムの力である。

4)安定性、レジリエンス、組織化を増進するために、タイトレーションを用いる。タイトレーションとは、再トラウマ化を避けるため、生きるか死ぬかという状態から生じる覚醒の感覚や他の困難な感覚に対して、最少の「滴」を落とすかのようにきわめて注意深く触れることを指す。

5)崩壊や無力感といった受動的反応を、能動的でエンパワメントされた防衛反応に置き換えることによって、修正体験を与える。

6)恐怖と無力感という条件づけされた関係を、(通常は短時間だがこの場合不適応な)生物学的不動反応から分離または「アンカップル」する。

7)生命維持活動のために動員された膨大な生存エネルギーを「放出」し再分配することをおだやかに促し、また高次の脳機能を支えるためにそのエネルギーを自由にして、過覚醒状態を解消する。

8)自己調整を用いて「動的平衡」およびリラックスした注意状態を回復する。

9)今ここにいることに注意を向け、環境に接触し、社会的つながりを再確立する。

 

外傷体験により、恐怖に怯えて身体がこわばって凍りついた麻痺状態から、セラピーのセッションのなかで能動的に生物学的不動状態に入っていき、トラウマによる原始的な防衛反応を解除していきます。

 

ピーター・A・ラヴィーン『身体に閉じ込められたトラウマ』(池島良子、西村もゆ子、福井義一、牧野有可里 訳 )星和書店