トップページ > トラウマ・PTSD研究 > トラウマによる黒化・腐敗
トラウマを負い、警戒態勢を取り、慢性的にストレスと戦い続けてきた人は、炎症や硬直やらで痛みが長年蓄積されて、黒化・二グレド化したり腐敗したような感じを抱くようになります。
黒化・二グレド化とは、身体の中に出来たトラウマの塊が、肥大化して自分の心身をのっとり、侵犯していくことで、自分のもとのいきいきとした表情や体の状態を失わせて、どんどん暗くなっていくことをいいます。そうなると、フラッシュバックでしんどくなり、思考やイメージができなくなり、じっとしていくようになります。じっとしているのに、心臓がバクバクし、息が浅く早くなり、胸や喉、首、背中が詰まって、苦しくなり、感情を表現できなくなり、筋肉の動きも委縮していきます。副腎疲労により、ホルモンの分泌がうまくいかなくなり、炎症を抑えられず、身体の免疫機能が低下しているので、アレルギー、頭痛、腹痛、消化不良、吐き気、下痢、めまい、傷ができやすくなり、 粘膜がただれていきます。
心身が衰弱し、ストレスに対して心と体が反応しなくなり、五感が弱って、生きている感覚も乏しくなり、表情、神経、筋肉、骨、血液、内臓、皮膚、水分量に影響を及ぼします。皮膚の色がくすんで黒ずんでいき、腐敗した感覚に支配され、温かみや水分が失われてガチガチの塊になっていきます。心身が、ヘドロに包まれている感じで、心地良いとか何も分からなくなり、ただ気持ち悪く、冷たく硬く小さく委縮して動けなくなって寝るしかなくなります。
心の奥の闇が暴走すると、被害妄想に取りつかれて、ストレスが強くかかると、身体の液体や水分量、ホルモンの状態が変わります。長期的にストレスに曝されて慢性化すると、皮膚の損傷が現れ、肌の色や性質に影響を及ぼし、顔や身体の肌色が黒くなっていきます。また、心臓の損傷も現れ、脳の容積が縮小し、感染症に罹りやすくなります。
黒化(二グレド)する人は、育ってきた環境に問題があることが多く、親が中心の家庭で、父親、もしくは母親の機嫌や都合に振り回されてきました。小さい時から、親や兄弟に言うことをただ従うだけの子どもでした。親や兄弟から虐待に遭い、自分を責めて、誰も自分の気持ちを受け止めてくれない経験をしてきました。
親の都合や気持ちを優先して、期待に応えるために生きてきたので、何のために生きているのかが見えなくなります。他人の要求に応えるだけで、自分の欲求や目的や分からなくなり、ただ他人に合わせる自分のみが残ります。親の都合に振り回されて、自分が傷つかないように振る舞い、疲れて動けなくなっても、動かないといけないから、身体を動かしてきました。
身体が疲れすぎていて、いろんなものを制限しなくてはいけなくなり、学校では失敗体験を重ね、人間関係や経験の幅が狭くなっていき、生きることに精一杯で、身体の機能を最小限にして生きていこうとします。心身が疲れ切り、体力が奪われて、しんどくてフラフラして、動けなくなり、ベッドから起き上がるエネルギーすら無くなります。
トラウマの不動状態にある人は、人の目が怖くなり、人の視線を感じると石のように固まるため、視線は下を向けて歩くようになります。そして、人とは対等に関われなくなり、顔を下に向け、肩が内に入り、背中を丸めて、自己肯定感が酷く下がり、卑屈になって、無力感や劣等感の塊になります。
人の目につかないように、誰からも注意が注がれないようにとか、誰にも関心をもたれないようにしてきたたために、皆に置いて行かれて、居場所が無くなります。現実場面でトラウマのトリガーを引いてしまうと、糸が切れたように隅っこの方で縮まって、固まって、存在感が消えていきます。
外界の刺激に触れても、心も身体も反応しなくなると、生き生きとしたエネルギーが枯渇して、慢性的な不動状態に陥ります。不動化が進むと、仕事に行くのも、風呂に入るのも面倒になり、現実世界が煩わしいものになります。食欲も性欲も無くなり、自分をケアすることができず、手入れもしなくなって、お風呂に入らないとか、歯を磨かないとか、身だしなみも気にしなくなります。虚脱感が強いと、様々な影響が出ますが、病院に行かないし、身体や精神に異常が出てもケアすることをしなくなります。
家に引きこもり、皮膚は黒く変色していき、病気などを患っても自身をいたわることをしないので、将来の不安を感じながら、無気力になり、全身が衰弱していきます。皮膚は、黒く硬くなっていき、心の状態もストレスや緊張を強いられるために、悪循環になり、心身ともに硬直して、冷えきり、石のように硬く小さな固まりのようになっていきます。
トラウマケア専門こころのえ相談室
公開:2019-11-08
論考 井上陽平
線維筋痛症は、首や肩、背中がガチガチに凍りついて、神経が痛みます。慢性疲労症候群は、毎日だましだましで生きていくと、家庭や学校、職業生活が困難になり、やがてエネルギーが切れて、半分眠ったような状態に陥ります。
身も心も擦り減らし、戦うエネルギー尽きると、生き生きとした世界が枯渇します。エネルギー尽き、生きる屍になると、体の中から枯れていくような感じで、口数が減り、周囲への関心が薄れて、ぼーっと1点だけ見つめます。
トラウマのショックは、身体がもがき苦しみ、砂嵐のような凄い速さで起こるために、神経系が追いつかなくなります。それ以降は、心に対して、身体の神経系が分離した状態のなかで生活するようになるかもしれません。