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トラウマによる漠然とした不安


複雑性PTSDのような人達は、身体の中に闘争・逃走反応のトラウマを閉じ込めています。彼らの身体は、危険を感じたり、破滅させられたりする恐怖があるため、脳は脅威となる対象を特定しようとして、筋道を立てて考えます。しかし、日常生活を送るうえで、急にソワソワして、落ち着かなくなることがあり、自分の周囲を見渡しますが、脅威となる対象を特定できない場合には、漠然とした不安を抱えるようになります。

 

このように自分にとって脅威となる対象がはっきりしないのに、神経は張り詰めて、過緊張になり、不快な感覚や感情、動機や発汗、貧血、倦怠感などが出ます。彼らは、トラウマの影響により、自律神経系が調整不全で、過覚醒と低覚醒の間を行き来し、体調不良が起きます。

 

たとえ、自分の休める場所でリラックスしていても、内臓や筋肉、脳を結ぶ神経系が危険を感じると、身体の中の闘争・逃走反応が出て、焦りや苛立ちになります。そして、なにもせずじっとしていると、その場にいられなくなり、居ても立っても居られないイライラになり、最悪の場合は、混乱し、発狂します。 

トラウマによる身体反応


トラウマというのは、どうしてそうなるのかというと、自分を傷つける敵を目の前にすると、人は闘争・逃走反応を示しますが、恐怖が勝ると、身体が固まって動けなくなります。このように危険を感じたのに、闘争・逃走反応を失敗し、凍りつくことや不動状態になることがトラウマと言えます。そして、予期していない場面で、激しいトラウマを負った人ほど、闘争・逃走反応が中断されて、身体の中に莫大なエネルギーが滞ります。

 

身体の中にトラウマを閉じ込めていると、ちょっとした刺激で、身体に反応が出てしまいます。その身体の反応に不安を感じ、外部に脅威があると分かると、その場面から逃げ出したくなります。そして、自分の元から脅威が去ることで、安心感が戻ってきます。しかし、本来の自分の姿に戻れたとしても、トラウマが根深くある人は、また新たな不安が出てきて、不安から逃れなくなります。

 

このようにトラウマがある人は、漠然とした不安を抱え、身体の中に闘争・逃走のエネルギーを滞らせており、スイッチが入ると、落ち着かなくなります。また、日常生活において、自分が危険を感じなくても、身体の方に闘争・逃走反応のスイッチが勝手に入って、心に反した形で、じっとしていられなくなります。たとえ、家の中でもイライラしやすく、何かしないといけないという焦燥感に駆られ、動きたくなりますが、動かないでいると、身体のほうが凍りつきます。身体が凍りつくときは、身体の内側からモヤモヤ、ザワザワとした感覚があり、この感覚のせいで不安や焦り、恐怖になります。 

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

公開:2021-1-20

論考 井上陽平