虐待する保護者の要因

人間は、環境次第で誰にでも虐待を起こす可能性があります。特に、発達早期に不運なトラウマを受けたり、医療トラウマを受けたりすると、幼児PTSDになり、破壊的な影響を及ぼします。幼児PTSDの子どもは、自分をコントロールできずに、極端な行動を取るようになるので、養育者が虐待してしまうことがあります。また、発達障害のある子どもは、養育者が育てにくく、虐待してしまうことがあります。このように子どもの側にトラウマや発達の問題があるため、虐待を受けやすくなる場合があります。

 

一方で、精神的に未熟な親とか、ナルシストで躾に厳しい親とか、夫婦関係が上手くいっていないとか、経済的に不安定とか、親の側に問題があって虐待してしまうことがあります。また、親から虐待を受けてきた人や未解決なトラウマがある場合は、子どもの攻撃性を一旦受け入れて、受け入れやすい形で返すことが難しかったりします。そのため、熱心に教育しすぎたり、攻撃的になったり、支配的になったり、躾が行き過ぎて虐待になってしまうことがあります。一般的には、子ども側の問題と親側の問題が複雑に絡み合っているケースが多いと思われます。ここでは、虐待する保護者に多くみられる特徴とか、虐待に追い詰められていく背景をあげています。

 

①自分勝手で精神的に未熟な親が多く、自分の情緒を安定させるために「良い子」を強要するので、子どもの精神は圧迫されがちです。

②親に虐待された人が、自分の子どもを愛情持って育てようとしているうちに、わがまま放題で満足できずに文句ばかり言う子どもに対して、親に従順だった自分と比較して腹が立ち虐待することがあります。

③保護者に精神疾患や発達障害があって強い抑うつ状態や情緒不安定さから、幸せそうにしている子どもに腹が立ち虐待することがあります。

④離婚等の一人親家庭や、養育者が中絶を希望していた場合、生まれてきた子どもを虐待するリスクが高まります。

⑤子どもの発達等に関する強い不安や悩みから、虐待するリスクが高まります。

⑥子どもの貧困が深刻な状況にあり、経済的な問題などによる生活基盤が脆弱な親は、毎日子どもか自分かの選択に迫られているので、自分の生存のために、子どもをネグレクトするリスクが高まります。

⑦継父による虐待、そして、見えるものを見ようとしない母親も一緒になっているというありふれた虐待があります。

⑧夫婦のなかで価値観や生活のやり方の相違が生じて、夫婦役割のバランスが崩れることで虐待のリスクが高まります。

⑨虐待は「パワー」による力と「コントロール」による支配の病理で、パワーを持つ保護者が持たない子どもを不適切にコントロールすることで虐待的な関係に陥ります。

⑩子どものほうにPTSD症状があり、些細な問題に対しても反抗的で挑戦的な態度を取るので、親の方が力で抑えようとして虐待関係に陥ります。

⑪ナルシストな親は、子どもを一人の人間としてではなく、道具やアクセサリーのように扱おうとします。

⑫何度も同じ失敗を繰り返す子どもに対して、躾ではなく、日常的に折檻や暴力、暴言を振るうようになります。

 

虐待する親は、自分の養育態度への問題意識が薄いので、子育て支援に親をどのように繋げられるかが課題になります。また、虐待を受けて育った母親が、子どもの愛し方や許し方が分からずに虐待してしまうケースもあります。支援者は、親に変わってほしいなという視点を持ちながら関わります。

 

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