トップページ > 身体論
第1章.
第2章.
身体というのは、死から逃れられず、時間・空間に縛られて限界があるものです。ストレスが当たり前の社会では、身体は怠く重くなるので、効率的に物事を処理するには、自分の身体や気持ち、モチベーションを無くしたほうが目的達成の早道になるかもしれません。また、 現代社会の管理者は、空っぽな身体ほど管理しやすいために、様々な仕掛けを用いて現代人の身体を軽視するように働きかけていきます。
第3章.
第4章.
第5章.
第6章.
第7章.
第8章.
恐怖や怒りを感じやすく、警戒心が高い、過緊張な人は、無意識のうちに自分を防御する姿勢を取るため、歯を食いしばり、眉間にしわがより、お腹に力が入り、肩こり、首こり、片頭痛、顎関節症を患いやすくなります。 ここでは、肩を回して自由に動かすエクササイズ 。口の開け閉めエクササイズ 。 体を楽しく動かすエクササイズ など紹介しています。
第9章.
起立性調節障害は、子どもに起こりやすい病気と言われており、朝起きれなくなります。症状は、身体がこわばって、頭痛やめまい、ふらつき、疲れやすさ、体調不良、失神などあります。この病気は、身体の機能を調節する自律神経系や覚醒度に問題があります。
第10章.
第11章.
第1節.
トラウマによる精神疾患は、長期間にわたって気持ちが沈み込んだり、激しい怒りや無力感を感じたりすることで、日常生活を営むことが困難になる精神的、あるいは身体的な症状を引き起こします。このような病気は「心」の問題と考えられがちですが、それだけで説明するのは、現代日本社会に広がる近代的な思考に影響されているとも言えます。
現代の医療においては、心と身体が本来一体であるべき人間の存在を、別々に捉えて治療する傾向があります。これは、近代医療が哲学者デカルトの思想に大きく影響を受けていることを示しています。デカルトは「我思う、ゆえに我あり」という言葉で知られ、思考を人間存在の最も重要な要素と捉え、身体は二次的なものと見なしていました。この考え方から、心と身体を二元論的に捉える思考が発展し、現在に至るまで、心と身体を別々のものとして扱う医療が主流となっています。
現代医療では、身体に現れる病気や怪我は、主に薬や手術などの手法で治療され、身体的な症状の改善に焦点が当てられます。しかし、その過程で患者の「心」や感情がなおざりにされることが少なくありません。心と身体の繋がりを軽視するこのアプローチでは、トラウマによる精神疾患の根本的な解決が難しい場合も多いのです。
トラウマを経験した結果、精神疾患や身体の症状を抱えている場合、心と身体の症状を別々に治療しても、効果的な改善は難しいと考えられます。これは、心と身体が密接に繋がっているため、トラウマによって引き起こされる心身の問題を総合的に捉える必要があるからです。当相談室では、トラウマを単に「心」の問題としてのみ捉えるのではなく、身体の症状にも注目し、その両方を治療することで、心の状態を根本から改善することを目指しています。
トラウマを心身両面の問題として捉える理由の一つは、トラウマを経験した人はまず身体が防御反応を示し、神経が過敏になり、五感が過剰に反応するようになるからです。これらの反応は身体に深く刻まれ、トラウマを抱えた人の身体は元の状態とは異なる変化を遂げます。恐ろしい経験をすると、身体は日常のあらゆる出来事や、他者との関係に対して過敏に反応するようになり、心身が常に緊張状態に置かれます。
特に幼少期にトラウマを経験した子どもは、神経の働きが歪められ、身体の健康状態が損なわれます。この影響は成長過程で深く根付き、考え方や感情にも大きな影響を与えることになります。心と身体が一体であることを理解し、トラウマ治療においては両者にバランスよくアプローチすることが、根本的な回復への道となるのです。
トラウマを抱え、脅かされる状況が続くと、脳は常に警戒モードに入り、身体は防衛態勢を取ります。この状態では、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった感覚が過度に敏感になり、日常生活の中でこれらの刺激を受けるたびに、身体がビクッと反応したり、硬直したりすることが頻繁に起こります。この過敏な状態が、次第に不快感を引き起こし、人間関係においても苛立ちや焦り、落ち込み、さらには痛みが伴うようになります。その結果、周囲の環境や他者への警戒心が強まり、自分を守ろうとするあまり、さらに緊張が高まってしまいます。
外の世界に過敏になると、自分の身体にも不安が生じ、不快感を避けるために身体を麻痺させて生活するようになります。しかし、この麻痺によって、過去に受けたトラウマが身体の中に塊となって蓄積され、長期間にわたりその状態が続くことになります。トラウマによる複雑な症状は、心や思考の問題だけではなく、本来の自然なリズムを失った身体の問題でもあるのです。したがって、身体が健康を取り戻すことで、精神も自然と健康になっていくと考えられます。
トラウマケア専門こころのえ相談室
更新:2020-06-09
論考 井上陽平