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大事な人ほど傷つけてしまう心理


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 第1節.

良い子に育っていく過程


大事な人ほど傷つけてしまう心理は、発達早期のトラウマや神経発達に問題があり、体の中のトラウマが爆発しないようにするため、現実の絶え間ない変化に緊張しすぎる方に見られます。彼らは、子どもの頃から、親の顔色を気にして、気を抜かずに、良い子として育ちます。思春期の頃には、今まで嫌なことでも言いなりになってきたことで、不満や怒りが溜まり、我慢できない地点に来ると爆発して、自分軸のなさや人間関係の難しさ、感情のコントロールの難しさ、うつ、解離症状、強迫症状、摂食障害などに悩むようになります。

 

子どもの頃から、トラウマを抱えており、逆境体験が多い方は、社会の中で他者と交流する脳が育たずに、脅威に反応して生存を高める脳が発達します。脳が脅威を遠ざけようとするため、人間がトラウマになっている場合には、親密な関係に身を委ねることができず、辛辣な気持ちになり、人との距離感がうまく掴めません。自分の中に堅い殻があり、その領域に入ってこられることが怖く、他者と思いのままに快楽に耽ることができません。彼らは、大事な人の良い所と悪い所を探すことに長けており、その人の嫌な部分を見つけると、しばらくは自分の言いたいことが言えずに我慢するか、感情を抑え込むか、問題解決しようとします。しかし、嫌なことを思い出すと気持ち悪くなり、怒りや失望が大きくなって、感情が爆発してしまうと、取り返しのつかないことをしてしまい、恋愛関係を築くことができません。

 

親の目を気にして、良い子で育っていく過程には、親が身勝手で子どもが親の目を気にしなくてはならなくなった場合と、子ども自身がトラウマなどを負っていて、身体が脆弱ゆえに周囲を過剰に警戒するという、二つの側面が相互に重なっている場合があります。

 

良い子でずっと育ってきた子どもは、良いものしか受けいられないようになっていきます。良い子でいることで親に受け入れられてきた経験から、自分が相手に対して悪い面をだすと、トラブルになってきたために、人間関係において、悪い関係が出来てしまうことに潔癖になります。また、自分の悪い面を受け入れてもらわなかったり、親の悪い面をみてきて嫌な想いをしてきたことが重なって、良い子でいる状態ができあがってくるようになります。そのまま大人になると、周囲は、一見良い様にみえて、関係が深まるにつれて、嫌われないために、本当の自分の意見を言えなくて疲れます。また、相手が自分の価値観と違って、嫌なところが目に付くようになると、それらに汚染されたくないという気持ちが膨らみ、自分の殻に閉じこもるようになります。相手の悪い部分に傷つき、悪いことに対する過剰な不快感から、それを生理的に受け入れることができず、気分が落ち込んだり、酷いことを言ってしまったりします。

 第2節.

早い段階のトラウマの影響


小さい頃にトラウマを経験して、親子関係にこじれていくと、体はそのことをずっと覚えていて、常に気が張って力が入り、身体は過緊張や凍りついた状態で過ごすようになります。交感神経が優位の生き方になり、脳は生存を高めるために、脅威がないかどうかを注意深く観察します。トラウマがある子どもは、最悪な事態を想定し、次に同じようなことが起きても大丈夫なように、対抗する術を身につけたり、逃げる準備をしたり、威嚇する練習したりなど様々なことを準備します。彼らは、普通の人が持っているような安心感が無く、とにかく心配性で、世界中が危険だと感じたり、自分に罪があるように感じたり、猜疑心が強かったりして、考え方や対人関係の取り方に偏りが出て、独特な感性を持つことがあります。

 

親から脅かされ続けて、いろんなことを否定されると、心の防衛が過剰になります。その親から離れて、他者と親密な関係を深めるときに、体は過去の経験を覚えているため、無意識のうちに、人といれば同じような出来事の繰り返しになり、うまくいかないことが起きます。トラウマがある人は、他者との関係で、嫌なことがあると、身体に過剰な反応が現れて、もの凄く不快に感じて、気分が落ち込んだり、怒ったりしてしまいます。また、普段から、不安や焦りが強くて、落ち着かなくなり、人に依存するか、人を拒絶する人生になります。

 

不快な状況では、交感神経の働きから、潜在的な脅威を探り、周りの細かいところまで気にしてしまうため、相手の悪いところが目についたりします。彼らは、嫌悪することや予測不可能なことへの耐性が弱く、ストレスが高まると、相手のちょっとした欠点を見逃さずに批判してしまいます。そして、相手と言い合いになり、怒るときは、心臓がドキドキして、手は冷えて、肩はワナワナ震えて、戦うか逃げるかモードに入ります。言い合いになるのが面倒くさいと感じた場合は、投げやりな態度を取ったり、相手を無視したりします。

 

言い合いになり、お互いを否定しつづけた結果、相手にもう嫌われてしまったとか、面倒に思われたに違いないと思い、その関係から身を引きます。その一方、交感神経の働きが暴走しても、じっと我慢する人の場合は、背側迷走神経のブレーキがかかるため、息苦しく、胸がざわつき、体が凍りついて、その場でうずくまるとか、死んだふりとか、解離反応が出ます。そして、感情の渦に巻き込まれて、頭が真っ白になると、怒りに飲み込まれて、記憶がない間に、パニック発作や自暴自棄な行動を起こしてしまい、大事な人との関係を壊してしまう人もいます。

 

このようにトラウマがある人は、本来危険でないはずのものにまで、脅かされていると感じて、身体が驚いたり、すくんだりしてしまいます。彼らは、嫌悪刺激に、防衛的な脳が過剰に働くために、他者を信頼して交流していくことが難しい状態にあります。人と長時間一緒にいると疲れてしまって、親密になろうとすると、ストップがかかってしまいます。

 第3節.

親子関係のストレスの影響


小さい頃から、機能不全家庭で育ち、親に愛着を求めて、甘えたいとか、良く思われようと努力をしてきた人が、それが報われずに、心が苦痛だらけになり、トラウマ化していくと、大人になった後に、防衛的な働きが強くなるため、大事な人を傷つける傾向が見られます。例えば、毒親のもとで、望む通りの良い子でいましたが、いつ怒られるとか、いつ嫌われるかビクビクして、怖くて生きずらい思いをしてきました。たとえ、親との間で良いことがあっても、それは束の間で、親に期待していたら大抵は裏切られてきました。親にしてほしかったことを伝えても叶うことがなく、自分の思っていない結果の繰り返しでした。親にネガティブなことを伝えると、怒るし、悲しむし、自分の本音や感情を素直にぶつけられず、ずっと心に溜めてきました。親子関係で失敗し、家族に対する不満や怒り、後悔、自責、孤独でしんどくなると、もうどうでもいいという投げやりな態度が癖になり、その後の、大事な人との関係でも、ついつい親を投影してしまい、今の人間関係でも同じトラブルが起きます。

 

親から愛情をもらえなかったゆえに、自分より親を大切にしていくようになり、捻じれていきます。親の望む良い子でいる自分は、本当の自分とは真逆の生き方になり、周りの目を気にして、人に合わせるばかりになります。子どもが子どもらしくいられず、自分の生活や将来を犠牲にしていく生き方が当たり前になると、やがて燃え尽きてしまって、自分を感じなくなり、自分が自分で無くなってしまい、生きている実感が乏しくなります。そして、自分自身が一体何者なのか、現実を現実として認識することが難しくなることまであります。自分が無くなると、自分のことが分からなくなり、不安や怒りの感情をどうしていいか分かりません。怒りの場面では、自分が自分でなくなり、感情のコントロールが出来なくなって、攻撃的になってしまいます。また、自分がないので、自分の好かれたい人に価値を認めてくれたり、注目されることに気持ち良さを感じます。さらに、自分がないので、相手の事ばかり考えていますが、相手も同じように自分のことを考えてくれないと嫌になります。自分が自分でなくなってしまった人は、その自分を取り戻すために、もしくは自分の価値を感じるために、多大な期待を寄せますが、自分が求める結果が得られない場合は、不安が大きくなりすぎて、底なし沼のように別れるか付き合うかを繰り返して、恋愛関係を失敗します。

 第4節.

大事な人を傷つけてしまうパターン


大事な人を傷つけてしまう人は、子どもの頃から、愛情を貰えず、自分の居場所がなく、寂しい思いをしてきて、どうせ私なんて愛されるわけがない、またひどい目に遭わされるという不信感があります。子どもの頃の自分は、人を良く思おうとしてきましたが、今ではその自分は小さくなり、傷だらけで人を疑ったり、人を蔑んだりする防衛的な部分が強くなっています。そのため、大切な人との間で、愛着関係が深くなっても、人間への敵意や不信感があるために、嘘や裏切り、見捨てられる不安があり、次も悪いことが起きるだろうという予測をしています。また、自分が嫌われたり、面倒だと思われることが怖くて、自分を楽にするために、大事な人との関係を壊すこともあります。また、恋人関係が終わりそうになると、相手の嫌なところが目につき、自分が壊れていってしまって、その自分の心を守るために、相手を傷つけてしまいます。

 

例えば、恋愛関係において、大切な人が出来たとしても、相手が発したちょっとした冗談やブラックなユーモアなどでも、自分が勝手に否定されたとか、嫌われてしまったとか思い込んでしまうことが多く、勝手に傷ついていき、酷く落ち込みます。また、相手の言動や振る舞いに不誠実なところが見えた場合には、大切な人のことを信じられなくなり、手のひらを返されたように感じて、関係性が続かなくなっていきます。さらに、相手の言動が自分を責めているように感じると、相手のことが許せなくなり、闘争スイッチが入って、言い争いになります。そして、相手からちょっと嫌なことを言われてしまうと、相手のことが絶対許せないとか、関わらないでほしいと思って、敵にしか見えなくなり、打ちのめしたくなります。

 

彼らは、大事な人との関係が深くなればなるほど、相手の反応が気になり、不安が強くなって、相手を試すようになります。大事な人から良い反応を引き出すために、自分を良くみせるようになり、自分の見た目にこだわり、お化粧やダイエットを頑張ります。また、大事な人に対して、良い子であろうとして、媚びるよう態度を取ったり、普段から明るく振る舞ったりします。しかし、素の自分は、元気が無かったり、機嫌が悪かったりするので、そういう面を相手に見せてしまうと、その場が嫌な空気になり、無言になって、気持ちのすれ違いが起きます。

 

大事な人との関係に、日々不安を感じて、自分のことを理解してほしいとか、安心させてほしいと望み、相手に期待します。しかし、愛してもらいたいという思いの強さに対して、相手が自分の意図しない言動を取ったり、自分の状況を分かってくれていないことに愕然として、悲しみます。大事な人との間で問題が起きて、その問題を解決できない場合には、居場所のない感じや見捨てられる不安が強くなり、複雑な心境に耐えれなくなって、身体が固まり、頭の中が混乱し、怒りが爆発して、絶望から抜け出せなくなります。その後も、こんなに苦しくさせたのに何で助けてくれないのかと怒りに支配され、許さないという恨みつらみを思い出して、暗闇に堕ちていきます。心は楽な方に逃避していき、怒りの感情が相手を傷つけようとします。このようにして、大事な人ほど傷つけていくようになります。

 

恋愛になると、相手に急接近して、理想化しますが、人を愛したと思えば、その恋愛感情を否定したり、日に何度も自分の心の状態が変わっていきます。相手の言葉や態度を細かいところまでチェックして、相手の欠点をすぐに見つけて、物事を悪く受け取る傾向があります。また、自分の事を分かってくれて当然という態度を取ったり、相手の状況を考えることなく、自分勝手な行動をしてしまうことがあります。そして、神経質な性格から、ちょっとしたことでも悪く受け取るので、すぐ傷ついて、大事な人にそのような言動を取られることが最も耐えられないこととなります。その結果、相手の一言一言や表情から否定されたと感じると、自分が脅かされているような不快感に支配されて、そこから逃げ出したくなります。また、自分が傷つけられたと感じて、自分にとって大事な人ほど、なぜ理解してくれなくて、自分の事を傷つけてくるかを全く分からずに、恨んでいくようになります。そして、大事な人との関係が悪化し、修復が不可能になると、怒りで相手を傷つけるか、死にたくて自己破壊行為を取ろうとします。

 

境界性パーソナリティ障害の傾向がある人は、相手のことをすぐ好きになり、大事な人のことを喜ばし、褒めることが得意です。また、大事な人に対して、「好き」「嫌わないで」「見捨てないで」ということを頻繁に言います。さらに、大事な人に対して、性的誘惑や質問責め、試し行動をして愛情を確かめようとします。彼らは、恋人からほしい言葉を貰えないと苦しくなり、落ち込みます。普段から、見捨てられ不安の強さから、相手の気持ちを確かめようとして、ひつこく聞いてしまうことが癖になり、相手を振り回してしまったり、傷つけたりして、それでもまだ自分から離れていかないかを試します。そこで相手が、面倒な感じの態度を取ると、傷つきが深くなり、関係が悪化します。相手を傷つけたくないのに、逆のことをして苦しくなり、大事な人との関係が終わってしまいます。

 

劣等感が強い人の場合は、大事な人ほど、自分のことを知っているので、自分の本性を知られたように感じて、それが嫌になったりします。また、大事な人との距離が近づくほど、自分に自信がないために会うことが怖くなったり、自分の中に入ってこられるのが怖くて逃げたくなります。このように、自分にとって特別な大切な人がいることが不安になります。また、過去のトラウマを秘密にしている場合は、自分がしてきたことがバレたくないので、関係が深まるほど、人間関係を切り離したくなります。

 

逆に、大事な人に依存傾向がある人の場合は、相手がいなくなると、何も感じないし、ぼんやりします。大事な人がいることで自分の存在が発生し、自由に生きれるようになります。その場合は、相手に預けているものが大きすぎて、重たくなって、相手の方が崩れていきます。自分が大切だと思っていることを相手が受け止めきれないほど大きくなっています。

 

そして、同じことを無意識のうちに繰り返します。大事な人と関係が深まれば深まるほど、傷つけてしまって、大事でない人と関係を持とうとしてしまいます。大好きな人ほど、自分を受け入れてくれるかどうか試したり、束縛したり、毒を吐いたりして、傷つけてしまいます。傷つけたくないと思っていても、自分の中で蓋をしていたドロドロとした感情や酷い言葉を言ってしまいます。また、その人の心の中には分裂した部分があり、自分の中に悪魔が棲んでいて、幸せになろうとすることを邪魔します。そのため、自分の中の悪魔が人を傷つけたら駄目だから、人間関係を避けることもあります。

 

トラウマがある人は、脅かされることへの不安が強く、体に安全感が持てないので、安全感を他者に求めるところがありますが、自分の思うようにいきません。自分の体が落ち着かなくて、モヤモヤやイライラが出てきても、その解消の仕方が分からずに、人はなんでもしようとします。しかし、人間関係がうまくいかなくなると、しんどくなり、じっとしていられなくなり、混乱します。そして、すべての関係を断ち切り、リセットしたいと思うかもしれません。その一方で、一度相手に安心したら、自分のネガティブな感情の処理をしてもらえると思って、何でも言うようになり、どんどんエスカレートして、無理な要求をしてしまうようになります。また、相手に気を許したら、怒ることが増えていき、大事な人の身勝手な行動に腹が立ってしまいます。

 

まとめると、大事な人を傷つけてしまう心理とは、大事な人に愛されたくて、全てを受け入れてほしいと望み、様々な試し行動したり、無理を言ったりして相手の愛情を計ろうとしますが、相手は人間であり、全てを受け入れるわけではないために、関係が難しくなります。幼少期に愛情で満たされにくかった経験が、大人になって、大事な人に向くことで、全てを受け入れてほしいという欲求になって現れますが、思うようにいかないと、苦しみが大きすぎて、相手に迷惑をかけてしまうことから、逃げたくなります。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

 

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