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良い子でいることの苦しみ


トラウマや発達障害の影響から、神経発達が阻害されている子どもは、幼少期の頃から、親の態度の豹変が怖く、親の顔色を気にして、自分を押し殺し、良い子でいることが多いです。ほど良い親のもとで育っている子は問題ありませんが、幼少期に親によく怒られた経験をした子どもは、小さなことでも恐れて、ビクビクした態度を取るようになります。親に理不尽に怒られても、おかしいことや嫌なことも我慢するしかなく、自分の正直な気持ちを押し殺していきます。

 

親が自分の要求に従わせようとする場合には、子どもは、自分の判断で選んでいくことができなくなり、親の判断に合わせていくしかありません。また、親に厳しく怒られることに怯えている子ほど、自分の判断で生きることができなくなります。

 

さらに、親から条件付きの愛情しか与えられない子どもは、ありのままの自分であって大丈夫とは思えません。親の要求に従わないと怒られたり無視されたりする場合には、子どもは親の望む良い子でいるしかありません。子どもは、有効な自己主張したり、自分の感情を出したりすると、ややこしいことになるから、ありのままの自分ではいられず、感情に蓋をして生活するようになります。

 

子どもの頃から、良い子でいる子どもは、周りの大人たちから言われた言葉を真面目に受け止めていることが多いです。例えば、大人たちからは、「わがままを言ったらお天道様から罰が下されるよ」、「良い子でいたら神様が誉めてくれるよ」、「しっかりしていたら皆が助かるよ」このような言葉を言われてきました。

 

良い子でいようとする子どもは、自分を守るために、良い子でいて、良い親でいることを望んでいます。家族に幻想を抱き、家族のために自己犠牲を払い、自分よりも家族が一番大切なものになります。例えば、両親が仲悪くしていることが辛く、必死に支えようとします。父のことで精一杯な母のために、頑張るしかなく、しかし、母のために一生懸命やっても、報われず、良いことをしたつもりでいても、余計なことをするなと嫌な感情をぶつけられてきました。理不尽な目にあうために、本当の自分でいられなくなり、自分を捩じって、家族の要求に同調してきました。

 

ありのままの自分でいられず、自分を押し殺し、親の要求通りに動く子どもは、生理学的な防衛反応の服従の状態で過ごしており、態度を豹変させる親から身を守る手段になります。子どもは、親が激怒したり落ち込んだりしないように、親の顔色を伺い、正解探しをして、良い子でいます。また、子どもは、親との関係においてトラウマという爆弾を抱えているために、常に危険に備えなければなりません。最悪の事態が起きないように、先読みして、周りに気を配り、気を抜くことができませんでした。彼らは、親に良く思われることが最大の自分を守る防衛になっており、凄く真面目な良い子でいて、自己主張せず、喜ばせようと頑張ってきました。

 

しかし、良い子として頑張るほど、親からはこの子は大丈夫だからと思われて、自分に目が向かなくなります。親には自分の気持ちを分かってもらえず、できることが当たり前なので、自分の嫌という意志を伝えられなくなることもあります。学校などの集団場面では、周りの雰囲気が悪くならないように気を遣って、イエスしか言わない優等生になっていきます。周りの人とうまくやろうとして、良い人を演じていくために、尊敬されたり、慕われたりすることもありますが、一方で、意地悪されたり、嫉妬されたりします。また、育ちの良い人ほど、悪い人の標的に遭いやすく、そこから抜け出せなくなり、辛く苦しい日々を過ごすことになるかもしれません。

 

幼少期に、親の顔色を伺って、良い子で頑張ってきた経験から、社会に出ても、愛想をよくして、人の顔色を伺っていくようになります。中身が空っぽの自分ではなく、理想的な自分になって、人に好かれないといけないとか、しっかりした自分を見せなきゃいけないとか、皆から愛されないといけないと思って、他人に自分の存在を承認されることで、自己の肯定感を得ようとします。

 

小さい頃は、良い子でいることが自分を身を最大限に守る方法でしたが、大人になればなるほど生きづらくなります。良い子でいることが重荷になり、リスクになり、良い子でいることを辞める日がきます。そのように大人になっていくと、良い子として頑張り、自分を偽ることのみではうまくいかなくなるために、自分を見失って苦しむことになります。良い子でいた自分が崩れ落ちてしまうと、体が怠く重くて、動くこともしんどくなり、うまくやれない自分を責めて、うつ症状になります。そして、投げやりな気分に支配されて、嫌われてもいいやとなっていくかもしれません。

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こころとからだの限界がくると


親がトラウマを持った子どもの扱い方を分かっていれば問題は起きないですが、そうでない場合は、親子関係の溝が大きくなり、思春期や青年期の頃に症状が複雑化します。例えば、親がトラウマを負った子どもを理解できず、機能不全家庭だと、良い子でいるように強いられてきた分だけ、中身が空っぽになります。辛いことだけが積み重なり、何も感じなくなっていくと、他者との共通感覚が育たず、感じ方や考え方に食い違いが出て、対人トラブルが起きやすくなります。

 

親の期待に応えるとか、家族を幸せにしたくて、必要以上に良い子でいる人は、相手を幸せにすることができても、なかなか自分を幸せにすることができません。家族の幸せを願って必死に頑張っても、いずれ限界がきます。また、人の気持ちを敏感に察知した分だけ、自分の感情を押し殺してきたため、本当の自分がなく、周りに合わせた自分になります。良い子は、ありのままの自分を肯定できず、自分に自信がなく、相手に申し訳なく、相手に合わせすぎたため、きつくなり、ストレスが溜まり、感情が爆発してしまうことがあります。

 

良い子だった人が、理想的な自分になろうとすればするほど、本来の自分とのギャップに苦しみ、落ち込みます。良い子になるために、がむしゃらに頑張って、頑張り続けて、急にプツンとエネルギーが切れて、心が折れてしまいます。周りの期待に応えようとしても、自分の理想に届かなくて、疲れ切ります。良い子でいすぎて、完璧になろうとして、歯を喰いしばり、どんどん自分を追い詰めていくうちに、エネルギーが切れてしまいます。一生懸命にやればやるほど、自分の意志が無く、魂は別のほうにいってただそこに存在しているだけになります。

 

また、物分かりの良い人として、いつか自分の人生を挽回しようと生きてきたけど、本当の自分はこれじゃない、これは自分の人生じゃないと、どこか現実に絶望して、この世界が崩壊してしまいます。もともとは、両親の態度が酷かったか、身体が弱くて、良い子でいました。いつも愛想を振りまくことで、苦難を乗り切ります。嫌なことがあっても我慢して耐えてきたけど、いつか耐えれなくなり、心身が限界に達します。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

公開:2022-07-15

論考 井上陽平

 

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