現実体感療法


現実体感療法は、トラウマに対するための治療法です。この治療法は、親切にされる体験とか、自然に触れる体験とか、新しい経験を増やしていくことが重要になります。そして、安心感や幸せを実際に感じてもらい、身体に馴染ませていきます。その結果、今ここでの安心感を自分のものにできれば、トラウマによる嫌な記憶は小さくなっていきます。そして、嫌な記憶を思い出されても、それに引き戻されるような感覚が小さくなります。また、新しい経験が増えた分だけ、現在の自分がまとまっていき、過去のトラウマを負った自分との違いが分かるようになります。

 

従来の言葉を使ったセラピーとは、全く違っていて、身体を使った実際の体験を見ていくことになります。従来のセラピーは、エピソード記憶や思考に働きかけますが、この新しいセラピーでは、現実場面を体験していく過程による自己感覚の流れを見ていきます。すなわち、トラウマ克服のために、記憶に働きかけるのではなく、生活場面や新しい体験を重視しています。この現実体感療法は、身体の中のトラウマ(パニック発作、フラッシュバック、解離症状、引きこもり、対人恐怖、現実感喪失など)により、生体機能のリズムの異常や自律神経系の調整不全が起きて、様々な精神症状や体調不良が起きている人には、最も有効な方法であると考えています。トラウマを負った人は、過剰な警戒心から、身体が緊張していて、過覚醒になりやすく、長時間無理をしていると、背側迷走神経が同時に働くため、身体に制限がかかります。長年に渡り、トラウマを閉じ込めていると、心身がアンバランスになり、自分では対処できない現象が増えていくため、そこをサポートしていきます。

 

この治療法は、世界にほとんどありませんが、トラウマ研究の第一人者ヴァン・デア・コルク先生は、トラウマ治療の行き着く最終地点は、現実体感療法や生活場面臨床ではないかと言っています。最近のトラウマ研究では、一回(8時間)のマインドフルネス瞑想とマインドフルネス逓減法に参加した人に、ストレス反応や炎症ホルモン値の減少が報告されています。その後、参加者は通常よりも早くストレスから回復し、ストレスに対する反応も低くなりました。複雑性PTSDや離人感が強い人は。長時間に渡って、自分の身体を観察していって、本来の身体機能を取り戻すことが有効です。

 

現実体感療法は、もともと精神分析家シャンドール・フェレンツィが生活場面を使っての長時間リラクセーションや相互分析が始まりだと思います。また、虐待を受けるとか、犯罪被害に遭った当事者同士がお互いを助け合っているなかで試行錯誤した経験や、幼少期のトラウマから回復している人たちの現在の様子から、現実場面で新しい経験をしていくことが、トラウマの回復には必要だと感じています。また、ただ新しい経験を獲得するだけでなく、より安心できるとか、幸せな経験が重要であり、そのときに生じた身体感覚に変化に気づいていくことがポイントになります。

 

本人がやりたいと思っていることを、セラピストも一緒になって体験していきます。まずは、現実場面での緊張を感じながら、セラピストの適切な状況把握のもと、身体の内なる感覚を観察します。瞑想を行うような感じで、自分の身体に意識を向けると、どのような新しい変化が起きるかを体験していきます。そして、自分の身体感覚を感じながら、最も安心してくつろげている場面はどこか見ていきます。また、自分が思っていることに取り組むことにより、人間らしい呼吸ができるようにしていきます。人間らしい呼吸ができたら、自分の身体の中で起こっている変化を見ていきます。そして、身体の感覚に馴染んでいくことで自分自身を変化させることが可能になります。最終的には、本来の自分を取り戻せるように支援していきます。この現実体感療法では、外の世界と人々と触れ合うなかで、再び能動的に喜びを追求できるような自己の感覚の確立が目標になります。

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重要なポイント


セラピーを受ける人は、自分が好きなことをしているときの身体内部と心の内的世界がどうなっているのかセラピストと共有しながら、新しい感覚や感情を見つけていきます。特に、脳の扁桃体や自己感覚を司る島や帯状回の回復に役立つ方法は、トラウマを負った人が、スーパーに陳列されている棚のなかで興味のあるものに注意を集中したときに、頭の中でどれが一番好きかを評価していきますが、それをサポートする人がピタっ当ててあげると快に条件づられた驚きや喜びが生まれます。そして、それを買って食べるとか遊んだりすることで幸せな時間になります。トラウマを負った人が幸せな自分になったり、楽しいことがあったりすると、前向きになれて、心と身体が繋がり始めます。本当のトラウマケアでは、セラピストとクライエントの関係性よりも、親子や夫婦、恋人間で行って、気持ちがワクワクするような体験を繰り返す方が、効果も効率性も抜群に良いと思います。当相談室では、夫婦や恋人、親子の間で生活場面において、どのように関わればよいかのアドバイスをカウンセリングでしていくことも可能です。

現実体感療法の料金は


 

3時間で¥15000‐

5時間で¥20000-

8時間で¥25000-

 

◎現実体感療法の内容は、クライエントと一緒にプログラムを作って取り組みます。食事や運動、買い物、生活場面、車で移動するなど可能です。

◎トラウマには、なにより環境調整が重要なので、ストレスや睡眠改善をお願いします。

◎この治療法で完全にトラウマが治るというわけではりません。1回だけ行っても効果は期待できないかもしれません。しかし、何回もボトムアップな体験をしていくことで、理性や情動を司る脳の働きを改善していきます。

◎長時間セラピーになるので、予約制になります。料金は前払いになります。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

 

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