トラウマのダークサイド

▶トラウマのダークサイド

 

トラウマがある人は、身体の中に過剰なエネルギーを閉じ込めており、神経が痛み、疲れ切っていて、自分を危機的で絶望的な状態であるかのように捉え、自分の状態に気づきたくないと思っています。自分の身体に注意を向けると、そこに身体が失く、自分の内面を覗き込むと、崖と崖のあいだの境界のようなものが存在し、真っ黒な空間があります。身体の中には、ブラックホールのような大きな穴が空いていて、空虚なイメージや空っぽの感覚が広がり、そこは寒々しく底が見えない恐怖があります。

 

虐待サバイバーは、闇が深く、自分の中心が空っぽで、自分の感覚が掴めなくて、実存の中心が空虚です。身体にはぽっかりと穴が空き、何もかもひどい感覚に引きずり込むような大きな穴があります。その身体の穴を覗くと、自分を掴んで閉じ込めてしまうような強力な力と対峙します。また、胸を中心におぞましい記憶や複雑な感情が渦巻きます。真っ黒な穴は、人と話しているときや読書をしているときに、突然現れて自分に取り憑き、境界の向こう側に連れて行かれます。

 

虐待サバイバーは、闇にまみれた自分の心を感じることが恐ろしく、自分が耐えられる以上の感情が渦巻いており、それを感じたときには、手に力が入らなくなり、足の方も力が入らなくなり、身体がどうにかなってしまって、自分が自分で無くなるような恐怖があります。そして、恐ろしい竜巻のようなものに飲み込まれると、自分では収拾がつかなくなり、自分が消えてなくなるように感じます。その後は、理性的な自分が、情動的な人格部分に乗っ取られ、その間の記憶が抜け落ちているかもしれません。

 

▶ブラックホールに吸い込まれると

 

一方、闇への好奇心から、その闇を覗き込む人もおり、深くどこまでも続く真っ黒な穴があります。黒いものが一瞬自分に取り憑いて流されていくと、境界の彼方へ連れていかれて、もう二度と戻れないかもしれません。しかし、一度ブラックホールに飲み込まれて出口が見えないと希望がないように思うかもしれませんが、ホーキング博士が言及しているように、ブラックホールに飲み込まれた人は、それを超えた世界に行ける可能性があると言っています。すなわち、境界の向こう側の世界へと抜け出して、現実とは異なる世界を見ることが出来るようになります。境界の向こう側の世界とは、トラウマの内なる世界であり、自分を動かしている存在や自分の身代わりになった存在がぼやけて見えてくるかもしれません。

 

▶闇の世界では

 

虐待サバイバーは、痛みと暴力の世界にいて、もう生きることに絶望していて、そんな自分の存在を消し去りたいと願ったり、人を傷つけてしまうことも、人から傷つけられることもない世界に行きたいと願っています。自分の身体から離れて、苦痛を伴う現実世界をシャットダウンすると、頭の中で思考が自動的にいくつも浮かび上がって、それが延々と回るような世界に行きます。そこは、死にかけの身体を引きずり、何とか逃げ落ちた真っ暗な世界で、周りの声が入ってこず、自分の声が外側の世界に響かない場所です。これ以上のダメージを受ける余裕がなく、誰にも見つからない場所で閉じこもって安心を確保することを望みます。

 

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