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罪悪感の強さと恥に囚われた心


トラウマによる過覚醒症状に苦しむ人々の中には、凍りつきや不動状態に陥ることがあります。彼らは、自分の生まれ育ちや過去の被害体験、他人から指摘された欠点、あるいは犯してしまった罪など、自分ではもう変えることができないと感じる事柄が、周囲の人々に知られてしまうことを強く恐れています。この恐怖は、恥や罪の意識が心を覆い尽くし、自分自身を縛りつけるほどに強くなります。

 

このような状態では、過去に絶対に知られたくないことが心の中で膨れ上がり、そのことばかりに囚われてしまいます。その結果、それが周囲に知られるのではないかという恐怖が、日常生活を覆いつくすようになります。さらに、酷い場合には、周囲の人々の言動を恐れるだけでなく、まだ言われてもいないことまで恐れ始め、行き詰まりを感じることがあります。

 

最終的には、何があっても自分が悪いという罪悪感が常につきまとい、神経が過剰に尖ってしまうことで、幻聴や幻覚に悩まされることさえあります。このような過覚醒症状と恐怖がもたらす精神的な苦しみは、心の平穏を奪い、日常生活を困難にする要因となります。

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被害経験がもたらす心の緊張


過去に被害を受けた人々は、その経験から強い危機感を抱きやすくなり、心が常に警戒状態にあります。その結果、神経が尖り、心が剥き出しになったように感じてしまうのです。このような状態では、たとえ周囲の人々が噂をしていなくても、「自分の知られたくない過去が他人に知られているのではないか」「噂されているのではないか」という過剰な心配に悩まされることがあります。

 

この神経の尖った状態が、自分自身の脆弱性をさらけ出すことになり、実際には他者から攻撃を受けていないにもかかわらず、常に脅かされているように感じるようになります。その結果、噂や他人の目を気にするあまり、自分自身に対して過度に厳しくなり、まるで自分が自分を攻撃しているかのような悪循環に陥ってしまうのです。

過去の影に囚われて思い悩む


過去に恥ずかしい経験をしたり、人を傷つけてしまった記憶が消えず、常に頭から離れないことがあります。そのため、いつかその過去が他人にバレてしまうのではないかという不安が、頭をよぎることも少なくありません。このような不安は、恥や罪の意識が一生ついて回るものだと信じ込ませ、心に重くのしかかります。

 

また、自分が過去にやってしまったことや、人に話してしまったことが忘れられず、それが噂となり、周りに知られてしまうことを恐れるようになります。この不安があまりに強くなると、今後の人生を生きていくことすら難しいと感じるようになります。

 

特に、「相手にこう思われているのではないか」「こう見られているのではないか」という考えが浮かぶと、足がすくみ、胸が苦しくなり、動悸や焦燥感が強まることがあります。多くの場合、過去にしてしまったことを深く後悔し、その後悔が周囲に知られることを恐れているのです。

周囲の目が恐怖に変わる理由:病的な不安


なぜ周囲の目がこれほどまでに怖く感じるのでしょうか?通常であれば、人が噂していたとしても、「所詮は人はすぐに忘れるだろうし、自分の人生を脅かすほどの事態にはならない」と割り切れるものです。しかし、精神的な病を抱えている人々にとっては、状況が全く異なります。彼らは、無意識の中に抑圧された人格や過去を恐れていたり、噂や周囲の目に対する心配が日常生活を侵食するほど強まっているのです。

 

こうした人々は、常に逃げ場がないように感じており、嫌なことを思い出すたびに恐怖が襲い、身体が硬直し、神経が研ぎ澄まされていきます。その結果、思考が極端に偏りやすくなり、過去の出来事についていくら考えを巡らせても、心の平穏は訪れません。他者が自分をどう思っているのか、動かしようのない他者の考えまでをも気に病み、それによって自分自身を追い詰めていくのです。

 

このような状態では、心の中で繰り返される自己攻撃が、さらに苦しみを深める原因となります。他者の目を過剰に気にすることが、心と身体に深刻な影響を与え、日常生活の質を著しく低下させることもあります。このような連鎖から抜け出すためには、自己理解と専門的な支援が不可欠です。心の中の恐怖と向き合い、少しずつ解きほぐしていくことが、回復への第一歩となるでしょう。

罪悪感と恥に苦しむ人々への道しるべ


このような状況に陥っている人々は、過去の出来事やその影響から逃れることができず、心の中で繰り返される自己攻撃に苦しんでいます。彼らが感じる罪悪感や恥の意識は、ただの一時的な感情ではなく、深く根付いた心の傷として存在しています。その傷が癒えることなく、時間が経つにつれてますます強くなり、自分自身を追い詰める要因となります。

 

また、他者が自分をどう思っているのか、あるいはどう見られているのかを過剰に意識し、その結果として現れる不安や焦燥感は、心身に大きな負担を与えます。動悸や身体の硬直、極端な思考の偏りなど、身体的な症状も併発し、日常生活がますます困難になります。

 

しかし、この悪循環から抜け出すための希望は存在します。自己理解を深め、過去を受け入れるプロセスを通じて、少しずつ心の重荷を解き放つことが可能です。専門的な支援や適切な療法を受けることで、これまでの苦しみを乗り越え、再び平穏な心を取り戻すことができます。罪悪感や恥の意識に囚われた心が解放されることで、未来への新たな一歩を踏み出す力が生まれるのです。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室 

論考 井上陽平

  

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