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回避性パーソナリティ障害の恋愛


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 第1節.

回避性パーソナリティ障害とは


回避性パーソナリティ障害者は、子どもの頃の外傷的体験に苦しんでいることが多く、これ以上、傷つかないように、そして純粋で透明なものを守ろうとしています。回避性パーソナリティ障害の原因は、はっきりしていませんが、子どもの頃の虐待や学校社会のいじめ、最初の恋愛のトラウマ、性体験のトラウマ、発達早期のトラウマなど、人に傷つけられてきました。心の中には、大きなトラウマを閉じ込めていて、自分を受け入れられた体験が少なく、幸せな思い出がほとんどないことが多いと言われています。また、もともと体が弱かったり、神経発達に問題があったりして、体の内側に問題があるため、人への恐怖心とその体の反応から、回避傾向が高まります。

 

回避性パーソナリティ障害者は、普段から、精神的負担を減らすことに集中しており、心に余裕がなく、できるだけストレスのない空間で過ごしたいとか、嫌なことを回避したいと考えています。彼らは、慣れ親しんだものであれば、安心できますが、新しいものが入ってきたら、気持ちが揺さぶられ、自分が崩されます。普通の人なら、自分の状況や環境に変化を与えられたときに柔軟に対応しますが、トラウマの影響が強い人ほど、新しい変化や衝撃に弱いくなります。

 

彼らの心の奥底は、もう二度と傷つきたくないという思いでいっぱいで、新しい人に心を開くことができません。新しい人との関係を持とうとしても、漠然とした不安や警戒の方が強くなり、相手の悪いところを探してしまって、胸がソワソワ、モヤモヤしたり、動悸がしたりして、落ち着かなくなります。相手に近寄られると、足がすくんで、体が凍りつき、本能的に回避したくなります。逃げられない状況では、焦りや不安を感じて、じっとしていられなくなって、イライラしたり、麻痺したり、体調が悪くなります。

 

回避性パーソナリティ障害者は恋愛をしたい気持ちはありますが、恋愛に進むことが怖くて、まだ起きていないことまで心配して、尻込みしています。また、自分のことで精一杯なので、人に対して壁を感じて、愛情が湧かなかったり、相手の気持ちに愛情で応えてあげられません。基本的には、過去の失敗を引きずり、後悔や不満があって、自分に自信がなく、人から否定されているように感じたり、他者とどう関わっていいか分からなくて、ひとりでいるようになります。

 

未解決なトラウマを抱えている方ほど、自分に安心感がなく、原始的な防衛操作が延々と作動し、脅威を遠ざけようとするため、相手に身を委ねることができません。人間関係において、相手が自分に入ってくることを暖かく迎え入れることができず、過剰に抵抗するため、人間関係を大きく損なうことになります。恋愛においても、相手に強い感情を向けられることが怖かったり、自分の感情が昂る場面がきつかったりして、回避したくなります。そして、回避すればするほど、新しい恋愛をしていくことが怖くなります。回避性パーソナリティ障害は、境界性パーソナリティ障害の回避タイプや、回避性愛着障害、自己愛過敏型、シゾイドパーソナリティ障害、発達障害の孤独型や受動型と重なるところがあります。回避性障害の方の色のイメージは、白や透明、青色、桃色が多いです。

 第2節.

愛がトラウマ化し回避せざる得ない


回避性パーソナリティ障害者は、誰かを愛したとき、愛されたいと願い始めたとき、そして、異性の相手に無防備になり、相手に求められたとき、過去に埋もれていたトラウマのスプリットした部分が意識に上ります。そして、感情に圧倒されて、取り返しのつかない恐怖や、不合理な衝動に襲われて、身動きがとれなくなり、関係を続けることが苦痛になり、回避したくなります。例えば、子どもの頃から、自分を殴り、またはネグレクトし、あるいは性的にも虐待する親を死にもの狂いで愛していたとします。それと同時に、自分の愛情を無価値だと思わされ、欲求を持つことを恥ずかしいものだと思わされ、無視する親に怒りを感じて、生活全般がしんどくなり、愛と憎しみとか善と罪悪の過剰な葛藤が大きくなりすぎます。そして、自分の感情や欲求や思いもすべてを飲み込むしかなく、そうしていたら、いつの間にか自分の感覚すら分からなくなり、麻痺や離人化していました。

 

回避性パーソナリティ障害者が、大人になった今では、愛されたことがないから、愛し方なんて分からず、甘えかたも分からず、すべてのものに感情移入することが出来ません。そして、外の世界で愛する人を求めると、自分の親を求めることの耐えられない心の痛みと結びつき、子どもの頃の気持ちがぐわぁーと溢れてきて、求める気持ちと、それが叶わなかった気持ちに傷つきます。愛そうとすればするほど、何気ない風景が過去の出来事と折り重なり、自分の奥底に眠る本音に気づいてしまうので、なんとか自分の気持ちを騙そうとします。

 

彼らは、愛がトラウマ化しており、誰かを求めることが、そして、愛されることが忘れられていた子どもの頃の外傷体験とリンクして、不安や恐怖、寂しさ、希望、切望、絶望、羨望などの感情が爆発します。と同時に、過剰な感情に戸惑い、甘えや寂しさなどの感情の持って行き場がなくなり、体の方は麻痺させられたり、しんどくなったりして、現実の相手と深く繋がることが難しくなります。そして、愛れされなかった自分のことが大嫌いで、まったく自信も持てなくて、周りを羨ましく思えば思うほど辛くなります。

 

大事な人との関係が深まれば、相手に何かしてあげないといけなくて、でも今まで自分は何もしてもらわなかったから、相手に求められてもどう返していいか分からなくて怖くなります。また、大事な人と深く関わることで、依存したくなりますが、と同時に、依存することが怖くて、情緒不安定になり、心がかき乱されて、それらに耐えられなくなります。そして、大事な人と距離が近づくほど、その反動で怖くなり、自分が否定されることを恐れて、関係を持とうと思うと相手に合わせるしかなくて、自分がきつくなり、真っ当な恋愛をすることが難しくなります。

 第3節.

大人の自分と内なる子どもの分裂


回避性パーソナリティ障害者のなかには、大人の自分と過去の無意識の内なる子どもの部分との間では内的な分裂が存在します。大人の自分は子どもの頃の孤独、寂しさ、羨ましさ、生きる意味のなさが意識に上がってこないように、忘れたり、切り離したり、封印したりして、見て見ぬふりをしています。そして、大人の自分は、悲しみや罪悪感の自己像と同一化していて、他者と繋がることが怖くて、良い対象を選び、求めようとする依存的な部分は無力化されています。内なる子どもの部分は、夢の中で、または、擦りガラスの向こうで、寂しそうにひとりぼっちで膝を抱えていたり、あるいは、なんであなただけが…と大人の自分に怒っていたりします。

 

彼らは、子どもの頃から自らの傷をいかに癒そうかと無意識に努力しており、解離や空想、妄想の世界でひとりで考え事をする心理的防衛によって、自分自身にトリックをかけています。そして、現実の居場所を探し求めていますが、自分を理解してくれそうな相手を見つけても、自分とは正反対の人だからと、また壁を作ります。彼らは、自分を受け入れてくれる慣れない暖かさが怖くて、また居なくなる不安や、置いて行かれる不安、裏切られる不安に怯えて、回避傾向を強めます。

 第4節.

回避性のトラウマの内なる世界


ユング派のカルシェッドや対象関係論的に言うと、発達早期にトラウマを受けた方の内的世界には、理性的な保護者と批判的な迫害者がいます。自分のこころに取り憑くこれらの内的人物像は、これ以上傷つかないようにと、用心深く子どもの頃の再トラウマ化を回避しようと組織化されたものです。この人物は、外の世界の人々とのあらゆる可能性は危険なものであると判断し、現実との接触を妨げるために魔法をかけています。その一方で、彼らは、内的人物像が念入りに作り上げた巨大な繭の中で包まれながら世話を受けています。そして、内的人物像の防衛的ファンタジーの世界にすっかり耽溺していき、外の世界の人々と結びつく喜びを失います。他者に依存できず、回避してしまう彼らのこころの内的世界には、美しいラプンツェルに魔法をかけ、塔に幽閉した魔女のような悪魔的人物像が棲みついているように見えます。

 

回避性パーソナリティ障害者は、新しい出会いがあり、ロマンティックな夜を過ごしたあと、相手が興味をもってくれたのにも関わらず、それ以上関係を続けることが難しくなります。彼らは、自分が好意を持てば、会えない時間は、孤独で寂しくなり、涙が出てきます。また、好意を向けられると、自分の感情の高まりとともに麻痺させられて、怖くなります。さらに、恋人に抱きしめられると、どう振る舞えばいいか分からず、自分が無防備でいることが怖くなります。恋愛関係では、距離が近づけば近づくほど、自分が傷ついてしんどくなるので、自分の中に入ってこられると回避したくなります。彼らは、恋人と深い関係になると、本当の自分を見せるのが怖くて、感情が揺さぶられ、胸が苦しくなり、涙が出て、過呼吸やパニック、吐き気、体調不良を引き起こしかねません。そして、もの凄い恐れや不快感が出てくるので、ひとりでは小さな幸せを得られますが、恋人と大きな幸せを得ることが出来なかったりします。

 

トラウマの影響により、回避傾向の女性の場合は、否定的なアニムス(女性の無意識の中にある男性像)が取り憑いていて、残忍な男性の人格化が見られます。否定的なアニムスは、女性が男性と繋がりを持とうとしたときに活発に働き始めて、頭の中で話す声になり、相手のネガティブな側面に目がいくように仕向けて、相手を受け入れなくします。また、バラバラになる悪夢を見せたり、体を動けなくさせたり、日中から眠りに誘ったり、希望を挫いていきます。そして、彼らは、悪夢に怯え、体は麻痺させられ、恐怖や不安が入り混じるなかで落ち着いていられなくなり、何か大きな力によって、自分が自分で無くなってしまいそうな不安から自分を守ろうとして、好意を寄せてくれる相手のことを嫌いになり、関係を切り離します。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

更新:2020-06-12

論考 井上陽平

 

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回避性人格障害治療

回避性パーソナリティ障害の治療は、好きな人と愛し合えて幸せになれることが目標になります。心や精神、身体を内部から緻密に分析していき、距離が近づいたときに、回避行動をしてしまう仕組みを考えます。

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回避性人格障害

回避性パーソナリティ障害者は、不快な場面で感情のコントロールができなくなり、フラッシュバックや感情の爆発、パニックが起こることを恐れており、その場を紛らわすか、そのような場面を回避します。

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スキゾイド女性

スキゾイドちゃんは、スキゾイドの特徴を持つ女性のことです。スキゾイドの人は、社会的関係への関心の薄さ、感情の平板化、孤独を選ぶ傾向を特徴があり、回避性パーソナリティ障害と似ています。


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トラウマ世界の魔女

トラウマの内なる世界に潜む存在は、魔女的であり、他者は自分を傷つけてくる敵としてみなして、自分の身を守る事だけを考えています。人間を呪って、特別な力で敵に負の影響を及ぼすことができます。

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解離性障害の恋人

解離性障害の方は、体の凍りつきの迷走神経反射により、あらゆる症状が出て、体調不良になるのが特徴です。人間が苦手で、自分のことで精一杯になり、人間関係を回避して、感情を切り離します。

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大事な人を傷つける

トラウマがある方は、脅威を遠ざけようとする防衛が働くため、大事な人の嫌な部分を見つけることが得意で、最初は我慢しますがでいずれ感情が爆発してしまい、取り返しのつかない事態になることがあります。