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統合失調症の発症メカニズム: 幼少期のトラウマと認知機能の低下


このページでは、統合失調症について載せています。この病症の人は小さいときから苦しんできてるように思いますが、ここに書いていることは、統合失調症の方々の全ての人に当てはまるわけではないので、その点をご了承ください。

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 第1節.

統合失調症の原因


統合失調症の発症率は約1%とされていますが、その原因はまだ完全には解明されていません。遺伝的要因や個人の体質、身体的な弱さに加えて、胎児期や乳児期の早い段階での侵襲体験が影響を与えると考えられています。また、統合失調症や発達障害、未解決のトラウマを抱えた親や兄弟を持ち、虐待や機能不全家庭で育つことも要因となります。これらの要因が複雑に絡み合い、過剰なストレスが生物学的に脆弱な部分に負荷をかけると、統合失調症のような精神状態が引き起こされます。

 

特に、幼少期から脅威にさらされ続けると、神経発達が特殊な形で進行し、自意識が芽生える思春期以降に脳や身体が異常な状態を取るようになります。この結果、神経発達が阻害され、心身ともにバランスを崩していくのです。こうして、統合失調症は、遺伝や体質、過剰なストレス、不運な環境が複雑に絡み合った結果として発症し、個人の心と身体に深刻な影響を及ぼすことになります。

 

幼少期(0歳、1歳、2歳頃)から身体が弱く、生体機能のリズムに異常があるため、過覚醒や離人感、解離を通じて神経をすり減らしてきた結果、幼い頃から苦労を重ね、リラックスすることができず、外部の世界に過敏になっていきました。その結果、警戒心や猜疑心が強まり、周囲の世界が不気味に感じられることが増えました。また、身体の中にはさまざまな症状を抱えており、ボディイメージが弱く、共通感覚や共同身体性に乏しいため、他人と感性が異なることがしばしばあります。

 

児童期、特に10歳頃から不安定さが顕著になり、思春期にかけては学校などの集団生活にうまく適応できず、周囲から拒絶されているように感じることが増えていきます。家庭でも自分の居場所を感じられず、孤独感に苛まれる中で、過剰な警戒心や迫害不安、うつ、強迫観念、強迫行為、失感情などの症状が現れます。このような状況が進行することで、極端なパーソナリティが形成され、最終的には統合失調症に似た症状が現れることがあります。

 

統合失調症を発症しやすい人は、生まれつき健康な発達が阻害されていたり、発達障害に似た症状を抱えていたり、または過去に痛ましい外傷体験を経て神経発達に問題を抱えています。発症に至る前には、神経が過敏になり、家庭や学校で自分の思い通りに生活できない状況が続いていました。他者からの攻撃やストレスにさらされ、自分を守ることができず、不快な体験に苦しむことで、次第に危険を感じて過覚醒状態に陥り、音や人の気配に過敏になっていきます。嫌なことを避けられず、常に脅威にさらされることで、原始的な防衛反応に支配された人生を送ることになります。

 

このような状態が続くと、自己感覚がぼやけ、現実を正しく認識する能力が極端に低下します。その結果、合理的な思考が働かず、極端な感情に振り回され、パニック状態に陥ることがあります。心と身体がバラバラの状態では、物事がうまくいかないことが多く、集団生活の場面で失敗を避けようと耐えているうちに、緊張の糸が切れ、身体が極度の疲労に陥り、虚脱状態に陥ります。

 

極限状態が続くと、睡眠障害や過労に悩まされ、神経が追い詰められます。脳と身体は外部からの危険を察知するために過敏になり、脳のフィルター機能が働かず、大量の情報に圧倒されます。神経が過度に緊張し、他人からの刺激に打ちのめされて疲れ果て、精神的に追い詰められてしまいます。こうして心身が限界を超えると、神経が破綻し、大量の情報を処理できなくなり、突飛な考えや幻覚、幻聴、妄想に悩まされることになります。

 

このような症状は、うつ病、双極性障害、複雑性PTSD、解離性同一性障害といった他の精神疾患でも見られますが、統合失調症の場合、トラウマや解離症状を抱えながらも、特に現実を正しく検討する能力が低下していることが特徴です。

 第2節.

統合失調症の陽性・陰性症状


統合失調症の陽性症状には、幻聴(誤った知覚)や妄想(誤った確信)、まとまりのない言動などがあります。これらは、トラウマ理論の観点から見ると、交感神経系や情動的な人格部分が支配的となり、過覚醒状態に近い状態にあると考えられます。この状態では、危険を感じて「闘争・逃走反応」や「凍りつき反応」が引き起こされ、恐怖に怯えて視野が狭くなり、現実とは異なる知覚や確信を持つことがあります。

 

さらに、このような状態では、リスクを考慮せずに無計画な行動を取ってしまうことが多く、理性的な判断力が失われます。特に、強い怒りを感じやすく、反応が過敏になり、小さな刺激に圧倒されやすくなります。その結果、不快な状況に直面すると、じっとしていられず、衝動的な行動に走ることがしばしば見られます。

 

統合失調症の陰性症状には、意欲の減退や感情表現の欠如が見られます。これは、トラウマ理論で言えば、背側迷走神経が過剰に働き、筋肉が極度に弛緩してエネルギーが枯渇した低覚醒状態、いわば破滅的な不動状態に近いと考えられます。この状態では、外部からの刺激に対して反応が鈍くなり、現実との接触が希薄になり、感情の幅も狭まってしまいます。

 

心が空虚で、自分のしたいことが見つからず、自分自身がよくわからなくなることが多いです。頭の中では思考がぐるぐると巡り続け、腹立たしさや落ち込み、悲しみなどが交錯し、強迫観念や強迫行為に悩まされることもあります。気力が湧かず、日常生活に必要なこと、例えば食事や入浴、トイレさえも面倒に感じ、何もせずにテレビの前に座り続けるなど、受け身な「屍」のような状態に陥ることもあります。

 

さらに症状が悪化すると、視線は虚ろになり、心拍数や血圧が低下し、身体が完全に伸びきってしまうような無力感や絶望感に支配されます。このような状態が続くと、精神的にも身体的にも苦痛が増し、生きる気力を失い、死にたいと感じることさえあるかもしれません。

 第3節.

統合失調症の身体メカニズム


統合失調症に陥る人々は、幼い頃から常に過緊張状態で生活しており、脳の奥深くにプレッシャーがかかり続け、神経が徐々にすり減り、ついには破綻してしまいます。統合失調症が発症すると、筋肉が緊張しすぎて動けなくなる「凍りつき」と、筋肉が極度に弛緩する「虚脱」の状態を繰り返し、正常に回復しようとする身体の機能が阻害されます。この結果、脳と身体を繋ぐ神経が無意識のうちに危険を察知し、周囲を過剰に警戒し続けることで、常に凍りついた状態に陥ります。

 

身体の異常に気づかないまま、適切な対処ができずに神経が限界を迎えると、身体が崩れ落ち、虚脱状態に陥ってしまいます。この状態から抜け出せなくなると、無力感や絶望感が深まり、まるでトラウマのブラックホールに閉じ込められたような感覚に囚われます。注意力が散漫になり、思考がまとまらず、判断力が低下していくことで、自分に対する失望や苛立ちが強まり、焦燥感や麻痺感に苛まれ、未来への希望を失っていきます。

 

こうした不快な状況においても、どこにも逃げ場がなく、脳が凍りついてしまうことで、柔軟性を失い、変化や発展の余地がなくなります。状態が悪化すると、頭の中が混乱し、現実が不気味に歪んで見え、幻覚や幻聴といった症状が現れることもあります。最終的には、希死念慮が強まり、自殺に至る危険性もあります。

 

統合失調症のような症状を抱える人々は、恐怖や嫌悪感、不快な状況、ストレスに対して非常に脆弱で、神経が過敏に反応するのが特徴です。恐怖を感じると、身体は瞬時に硬直し、まるで凍りついたように動けなくなります。その結果、皮膚感覚が鈍化し、意識が遠のいて現実感が薄れ、身体が消えていくような感覚や、手足や胴体がバラバラになる、または崩れ落ちるような感覚を覚えます。

 

このような追い詰められた状況にあると、人生に希望が持てず、自分の身体が自分のものではないと感じるようになり、現実感を失い、自分と他者の区別が曖昧になります。さらに、ショックを受けやすく非常に脆い状態のため、すべてを自分に関連付けて考え始め、関係妄想や被害妄想に発展することがあります。

 

自分の身体が自分のものであるという感覚が失われると、外部からの影響を過剰に受けるようになり、テレビやインターネット、さらには近隣住民が自分に対して何かをしているように感じたり、自分に関することを言われていると誤解して、強い不安や恐怖を抱くようになります。怖いものが増えるにつれて、身体が思うように動かなくなり、他者とのコミュニケーションも困難になり、直接対話する際には一定の距離を保たないと話がうまくできなくなることがあります。

 

 第4節.

統合失調症の了解困難な現象


生まれた頃からトラウマの影響を受け、まだ記憶が形成される前の幼少期に恐ろしい体験をしている場合、その記憶は曖昧で、はっきりとは覚えていないことが多いです。しかし、その体験がもたらす感情の波は今でも影響を及ぼし、自分の中で制御できない恐怖が突然溢れ出すことを恐れています。身体の中には、何か得体の知れない恐ろしい力が潜んでいるように感じ、何が起きてもそれをうまく把握できず、対処する術も見つけられないため、絶えず葛藤し、苦しんでいます。

 

自分なりに意味を見出そうとしたり、気持ちを整理しようと考え込むものの、分からないことばかりで思考が堂々巡りしがちです。特に、自分の内側に閉じこもり、過去の失敗を繰り返し思い出しては、なぜこうなってしまったのか理解できずに悩みます。このようにして、外の世界の脅威を過大に解釈したり、自分自身を過剰に責めたりして、真相が解明されないままに苦しみ続けることになります。

 第5節.

統合失調症の過敏性


統合失調症のような感情状態に陥るのは、脳が危険を察知し、身体がこわばり、神経が極度に敏感な状態になるときです。この状態では、脳のフィルターが過剰に開き、特定の刺激—人間関係や集団、音、匂い、光など—に対して極端に過敏になります。例えば、隣の家の生活音や工事の音に耐えられなくなり、その音が自分に対する攻撃や脅威と感じられることがあります。

 

聴覚を通じて日常生活で知覚される情報が、あたかも自分に害を及ぼす脅威として捉えられるようになるのです。音や振動に対する敏感さが増し、足音や話し声、扉の開閉音など、すべてが鋭い矢のように自分を刺す脅威に感じられることがあります。

 

症状が進行すると、現実の音や出来事だけでなく、テレビの中で自分の悪口を言われている、近隣住民が自分を悪く言っているといった妄想や幻聴が現れ始めます。このように、周囲のすべての生命や物事が自分を脅かす存在として捉えられるようになり、五感がすべて脅威を感じるため、身体も次第に衰弱していきます。最終的には、自分の悪口がテレビやネットを通じて世間に広がっているという強い被害妄想に悩まされ、統合失調症のような深刻な状態に陥ってしまうのです。

 第6節.

統合失調症の妄想観念


ショックを受けると、身体が危機を感じ、そのまま崩れ落ちてしまう恐怖に囚われる人は、自分の身体をうまく感じ取ることができず、自分がどう感じているのかを認識できないことがあります。この状態では、身体感覚が麻痺し、現実世界との接触が薄れてしまい、自分の内的な世界に閉じこもったり、他者の存在が過度に大きく感じられてしまい、自分と他者の区別が曖昧になることがあります。

 

視覚の異常や感覚の混乱が生じると、現実感が薄れ、現実を正確に認識する力が低下します。その結果、現実に起きた出来事を事実通りに受け取ることができず、無意識のうちに自分の想像で断片的に出来事を繋ぎ合わせ、それを事実だと信じ込んでしまう危険性があります。

 

また、常に危険を感じているため、破滅させられる恐怖から、その脅威となる対象を特定しようとします。そして、過去の被害体験(学校やコミュニティ、組織などでの実際の被害経験)と現在の状況を無理に関連付けてしまうことがあり、過去のトラウマが今の生活に影響を及ぼしているように感じることがあるのです。このような状態は、自己の現実検討能力が低下し、現実感を失ってしまうことにつながりかねません。                                   

 

神経が過敏になり、常に周囲の脅威を探し出そうとするようになると、人々の態度や言動から敵意を感じやすくなり、他人の視線を避けるようになります。この結果、自分が被害者であるという意識が強まり、その認識が徐々に誤解や過剰反応を引き起こし、被害妄想や関係妄想、監視妄想へと発展していくことがあります。例えば、自分の能力が嫉妬の対象となっている、または過去の悪事が露見し、巨大な組織に狙われているといった思い込みが生じることがあります。

 

さらに、集団ストーカーに追われているというような被害妄想も見られ、自分が常に危険にさらされているという感覚に苛まれ、絶えず焦燥感に駆られます。また、誇大な妄想が加わり、自分の力や権威について架空の信念を抱くこともあります。例えば、自分の血筋が特別であるとか、数多くの有名人と親しい関係にあるかのように話すことがあります。

 

現実を客観的に捉えることが難しくなり、テレビなどのイメージの世界に没入してしまうと、テレビで自分のことが話題にされている、悪口を言われていると感じてしまうことがあります。また、インターネット上に自分の情報がすべて暴露されているという妄想に囚われ、それを裏付けるために頭の中で仮説を巡らせるようになります。過去の被害体験を思い返し、それが実は組織的な犯罪に巻き込まれていたのではないかと考え始め、人の目が怖くなり、自分がどう思われているかを過度に気にしてしまうことで、以前所属していたコミュニティから孤立してしまうことがあります。

 

過去の仕事や学校、恋愛での失敗が頭を離れず、それが引き金となって人間関係を恐れるようになり、前に進むことができなくなります。これらの失敗を何度も思い返してしまい、そのことで頭の中が混乱し、先行きに対する不安が増して、出口の見えない絶望感や無力感に囚われ、ついには動けなくなって寝たきり状態に陥ることもあります。現実から目を背けるようになり、内的世界に没頭してしまうことで、何が現実で何が妄想なのか、その境界が曖昧になってしまうのです。

 

 第7節.

統合失調症の認知機能の障害


認知機能の障害が現れると、合理的な思考がフリーズし、頭が働かなくなってしまいます。思考がまとまらず、柔軟性を失い、一つの考えに固執してしまうことが多くなります。身体が極限状態にあるため、身体感覚が鈍くなり、現実を適切に判断する力が低下してしまいます。

 

特に悪化した状況では、筋肉が極度に弛緩し、心臓の機能も弱まるため、脳に十分な血液が供給されず、記憶力、集中力、思考力が著しく低下します。結果として、忘れっぽくなり、集中力が続かず、思考が鈍り、日常の判断や行動が困難になります。このような状態は、日常生活に大きな支障をきたし、適切なサポートや治療が不可欠です。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

更新:2019-10-14

論考 井上陽平

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