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ヒステリー女性

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▶精神分析的には

 

精神分析では、ヒステリーを患った女性のことは、子どものときの性的な事象が関係していると言ってきました。現代の精神分析でも、母親との愛着関係に失敗したあと、父親を求めにいきますが、そこで性愛的な情緒が刺激されるとヒステリーになると言われたりします。ヒステリーの病因としては、もともと神経の発達に問題があるか、愛着に問題があるかどうか、夫婦が不仲で良い子でいるか、機能不全家庭で育つかというベースがあり、そこに性的外傷などの外傷体験を受けることにより、恐怖に怯えて、凍りつくトラウマを負う人がヒステリーに罹りやすいと考えています。

 

フロイト・ブロイラーのヒステリー研究では、アンナ・Oが出てきます。彼女は、トラウマの症状を持っており、身体が衰弱し、頭痛、視覚障害、感覚喪失、麻痺、意識の途絶、幻覚、言語障害などに苦しんでいました。彼女は、二つの意識状態を持っており、それは突然切り替わり、一方は、悲しげで不安そうで、品の高い教養がある、あたかも正常かのようにみえる人格です。他方は、幻覚があり、下品な態度や卑猥な発言をする病的な人格がいて、交互に出てきました。このような症状を持つ人は、現代的には、解離性障害(特定不能の解離性障害、解離性同一性障害)や境界性パーソナリティー障害と呼ばれる人になります。病的な人格は、本来の人格をサディスティックに攻撃し、本来の人格はマゾヒスティックになっていきます。病的な人格を内に抱えている人は、その人格に取って代わられると、自分の意志に反した行動を取られるために、普通の幸せを望めません。

 

▶ヒステリー女性の特徴

 

ヒステリー女性は、虐待や暴力、レイプなどを逃れてきた人であり、身体の中に中断された闘争・逃走反応、性愛のトラウマを閉じ込めています。ヒステリー女性は、相手次第という鏡のような存在で、表面を取り繕いながら、相手に合わせていきますが、ちょっとしたことでも、本人は恐怖を感じて、絶望や無力感の世界に堕ちて、闘争反応、性愛反応が引き出されます。ヒステリー性の癇癪や感情の爆発は、他者に神経を逆撫でされたことをきっかけに、交感神経系が興奮し、それに乗っ取られて、過覚醒のときに生じます。このとき、表面上の理性で、情動的人格部分や闘争・逃走の身体反応をコントロールしようとしても、頭と身体が別々の方向を行動しようとするので、ストレスがかかり続けて、身体が耐えきれず苦しくなります。また、頭と身体が合致してしまうと、ゾワゾワするような不快な身体感覚に取り憑かれるかもしれません。

 

さらに、不快すぎる状況で、闘争・逃走反応に失敗して、身体が凍りつく瞬間は、頭痛や吐き気、耳鳴り、発作などの身体症状が現れ、最悪な出来事が起きて、嫌な記憶が蘇ります。そして、嫌悪感に耐えられずに、気が狂いそうになり、じっとしていられなくなると、捨て身の自暴自棄な行動に出ます。ヒステリックな場面では、金切り声をあげて騒ぎ、走り回り、壁を叩くか、頭を叩くか、体を傷つけるか、薬を大量服薬するか、外に飛び出すか、相手を罵倒するなどが見られます。ヒステリー発作は、その人のわがままで起こっているのではなく、トラウマのメカニズムで生じています。このように、過覚醒や凍りつく間を生きている人は、嫌悪刺激に弱く、不快すぎる状況が続くと、自分が自分でなくなる狂気や混乱、絶望、錯乱状態に陥ります。彼らは、日常生活のなかでフラッシュバックやパニック、悪夢に疲弊し、社会生活を送るだけの技能を欠き、不適切で無力な行動をとります。

 

①自分のことがよく分からない

ヒステリーの女性は、神経が繊細すぎて、ストレスへの耐性が低く、少しのことでも興奮しやすく、感情が激変して、自分で感情をコントロールできなくなります。そして、感情が昂ぶりすぎたり、落ち込んだりして、気分の振れ幅が大きい状態を行き来しています。そのため、自分の身体の中の不快な感情や感覚を抑え込もうとすればするほど、自分の身体が自分のもので無くなり、状態が悪くなって、次第に自分のことが分からなくなることがあります。

 

②様々な心身の症状により
警戒心が過剰で、過緊張になり、視野狭窄が起きて、危なっかしい行動を取ります。神経の働きがある段階に戻ると、声が幼くなります。会う日が近づけば近づくほど、緊張が高まるので、身体の痙攣や手足の痺れ、運動麻痺により、約束していた予定の場所に行けないことがあります。健忘により、異常な行動の時の記憶が抜け落ちたりします。辛いことを忘れようとしてお酒を飲んだり、薬物を摂取します。

 

③痛みに凍りつくと

子どもの頃から、親とか人の気配に怯えていて、暗い場所に隠れて、そこからずっと抜け出せなかったために、生まれてこなければ良かったと思っています。長い期間、過酷な環境にいると、明るい未来の情景を思い浮かべることができません。そして、逃げ場所がなく、選択肢もなくなると、闘争・逃走反応が中断されて頭が真っ白になり、身体は凍りついて、病的な産物に取り込まれます。この病的な産物は、痛みを食べて成長していきます。そして、病的な産物の方が本来の自分に取って代わって生活を送るようになります。病的な産物は痛みによって成長するため、自分を満たそうとせず、自分を傷つけたり、人に軽蔑されるようなことをします。また、明るい世界を見ることが辛くて、喜びを与えず、自分の得た幸せを壊そうとします。

 

④感情のコントロールの難しさ

一般に、身体の内側に情動的人格部分を持っていることが多く、あたかも正常に日常生活を送ろうとしても、外からの精神的ストレスにより、自分が自分でいられることが難しくなります。 最初のうちは相手に合わせようとしていても、やがて無理に合わせていることに耐えられなくなります。相手の身勝手な態度に、ストレスが高まり、交感神経系が過剰になると、内側の激しい怒りの感情のコントロールができず、攻撃的になり、自分の意志に反して四肢が動くなど、人間関係をことごとく失敗していきます。そのため、あまりよくない状況が安心で、嫌な結果になっても想定通りで、自分は幸せになれないという結末を演じます。

 

⑤自己嫌悪と否定的認知

自分は嫌われていると思っていて、どんな場面でも否定的で悲観的な情景が浮かびます。 恋人が他の女性を見ているとやきもちを焼きます。恋人が一人でテレビや趣味に没頭しているときは、どうせ自分なんていらないと思って怒り出します。自分が一番でいないと耐えられません。

 

⑥対象を求める質が極端

他者を思いやれる心の余裕がなく、相手と自分が違うことが脅威で、自他の区別があまりできていません。自分を理解してくれていないと適当に扱われているように思って、相手を罵ります。また、相手が自分の思い通りに動いてくれないと、イライラしたりします。一方、誰かに助けてもらいたいと思っており、自分の話を聞いてもらって、自分のことを分かってもらえると安心できます。 

 

⑦潔癖で完全主義

子どもの頃から、大人の嫌なところを見てきたから、そういう嫌な部分を消そうとしたり、何からも汚染されずに、自分を守ろうとしています。自分の嫌な部分を消そうとして、徹底的に何でもやり、完全無欠さや高みを目指します。

 

⑧性行為と性衝動

性行為に対する衝動に圧倒されて、恥ずかしさや抵抗感、嫌悪感がある部分と、動物的で、性衝動をおさえられず、自分であって自分でない部分に動かされたりします。

 

⑨衝動性

自分であって自分でない部分や衝動性や本能により、自分でない自分に動かされたりします。理性的に振る舞う自分に対して、怒りのあまりに誰かを傷つけたいと思い、勝手に手が動いたり、口調が変わったりして、内側の衝動をコントロールできなくなります。

 

⑩自己中心性

体の中にはトラウマがあるので、感情や自己調整機能に不全感があります。そのため、嫌悪刺激に弱く、自分の思う通りにしないと気が済みません。周りと折り合いがつかず、嫌なことを飲み込んで我慢していると、体が硬直して、不安や恐怖、痛み、不快感、体調が悪くなります。

 

⑪親子関係

小さいうちは、親にとって都合の良い子で育ちます。しかし、体が大きくなるにつれて、親の悪い面に愛想が尽きて、反発するようになります。成人して家を出る頃には、親との関係が悩みになり、べったりとくっついて離れられないか、完全に関係を断ち切ろうとしたり、距離を置きたがります。

  

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論考 井上陽平