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トラウマのボディサイコセラピー


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トラウマ治療では、相性が合うと思われるセラピストに話を聞いてもらいながら、心と身体を見ていき、二人三脚で行います。セラピストに安心感や信頼感を抱いているほうが治療効果が望めるでしょう。セラピストへの否定的な感情は、治療上重要になってきますが、否定的感情を使いこなすには、セラピストの力量が問われます。

 

トラウマのボディセラピーでは、症状を作り出している体の固まりや詰まり、痛みに気づいて、心と体を一致させるところから始まります。セラピーの重要な点は、体を動かしたり、過去を想起したところを心で見ていって、不快な身体感覚に巻き込まれずに、今ここにいることに安心感・安全感を感じられるかどうかです。また、過去のトラウマを想起し、体の方に外傷時の再演を引き起こさせて、その一連の動作を最後までやり遂げることに成功すれば、体は勝手に回復していくため、未完了なトラウマのエネルギーがリリースされます。そして、体が再び息を吹き返して、一旦は正常な循環に戻ります。正常な時は、全身の凝り固まりや体の捻じれ、バラバラな感じが消えて、生理状態が温かく軽くなり、心の状態まで変えてしまうことが可能です。従来のセラピーでは、心や言葉に焦点を当ててきましたが、トラウマのボディセラピーでは、体の感覚や生理状態に注目します。そして、日常生活のなかで、常にほど良い生理状態になるように、自分で自分を調整できるスキルを身につけます。また、身体に着目することで、すぐに緊張・警戒し、過覚醒や低覚醒、ネガティブな思考に陥る循環を変えていきます。

 

最初は、トラウマの影響により、離人感や解離症状が出ているかどうか、体の感覚が麻痺しているかどうかを見ていきます。体の感覚が麻痺している人には、体に振動を伝える器具(▶スムービーリング)を使い、心と体を一致させて、悪い気を振り払い、感覚の麻痺を解いていきます。その次は、安心できるイメージをして、楽なポーズをとり、体の中の緊張を緩めていくことになります。トラウマの克服には、きつい状況を耐え忍ぶことが重要になるので、▶体に外傷体験を再演させる方法か、最悪なイメージや感覚に浸り、これ以上収縮しきれなくなるくらいの状態まで我慢し、震えや揺れ、吐き気、鳥肌、くすぐったい感じ、不随意運動、熱などが出て、顔や体から莫大なエネルギーが放出します。

 

トラウマ治療のコアな部分は、立った姿勢で口の開け閉めをするとか、うずくまるポーズを取り、外傷を受けた時の身体内部の感覚や動きに着目して、内側から揺れや震え、熱を引き起こし、凍りつきや凄まじい緊張をほぐします。そして、体の中に滞っていた闘争・逃走時のアドレナリンなどのエネルギーを放出します。トラウマが重たい人は、1セッションで1時間くらい震える人もいますが、震わした後は、体は軽くなり、今までにない新しい感覚を味わうことができます。ただし、日常生活に戻ると、脳と体の神経が危険を感じて、緊張から凍りついていくので、1セッションで治るわけではありません。ボディセラピーの目標は、恐怖に向き合って、体を凍りつかせて、その不動状態と仲良くなることです。また、不動状態からイメージの中で走って逃げて、体を震わせるか、もしくは恐怖に凍りつかせて、そのまま体を震わし、安全な場所に逃げて、安心感を感じながら自分の体を見ていきます。

 

トラウマ改善のボディセラピーでは、以下の7つのことを中心に行います。

①まずは、体の麻痺を解くために、手足や体に振動を与え、脳で体の感覚を認識します。

②感覚麻痺が解けて、体の感覚が分かるようになれば、そこを追体験していき、体を緩めます。

③マインドフルネススキルを磨き、緊張・警戒している自分に気づき、緊張を解きます。

④恐怖に向き合うことで、体を不動状態にして、トラウマを解放する動きやエネルギーを放出します。

⑤顔のパーツや肩、腕、足を動かして、気の流れを変えることでトラウマを放出します。

⑥ヨガで難しいポーズや筋トレをして、筋肉を収縮させてからトラウマを放出します。

⑦うずくまるようなポーズから、目を覚ましていくことでエネルギーを高めます。

 

※凍りつきや不動状態までネガティブに追い込むと、体が自然に震えたり、その場にふさわしい闘争・逃走反応を発揮したりして正常に回復していきます。一方、体の状態に圧倒されてしまうことで、解離や離人、崩れ落ちる反応が起きて、自分の状態が分からなくなり、回復できない人もいます。すぐ解離や離人したり、崩れ落ちていく人には、安心できるポーズをして、体の状態を見ていくことから始めます。そして、全身の筋肉を鍛えながら、体の麻痺を解いて、痛みや疲労を少しずつほぐしていくしかありません。

 

治療の最初のうちは、恐怖にオドオドして、生きる意欲が無く、希死念慮が強かった人が、1年以上かけて恐怖を乗り越えていくことで、堂々とした気の強さを取り戻します。無力な状態にあった人が、怒りが強くなる過程を経て、最終的にリラックスした状態が手に入ります。一方。発達障害の傾向や体が弱い人ほど、体に意識を向けることが辛いために、治療は停滞します。また、酷い虐待などで体が正常に反応すらしなくなっている人は、治療が思うようにはいかないでしょう。本来の自分を取り戻すには、体の中に閉じ込められたトラウマに向き合うことになるので、大変な作業になります。

 

トラウマ治療では、全身や体の一部を硬直させて、こわばらせて、がちがちに固めます。恐怖や脅威に向き合い、体が凍りつき、動けなくなるというトラウマの状態から、震えや鳥肌を立てて、体を緩めるボディセラピーを繰り返すことで、前と同じことを思い起こしても固まりにくくなります。ただ日常生活では、嫌なことや想定外の事態が起こるので、今まで通り体は固まっていきますが、その体の反応と仲良くなり、体に愛情をあげる習慣を身につければ、前ほどガチガチに固まることが無くなり、たとえ嫌なことが思い浮かんでも、引きずらなくなります。体が固まりにくくなると、凍りつきの迷走神経反射が起こらなくなり、様々な症状が消えていきます。そして、眠気、疲労、体の怠さ、重さなどの体調不良が減り、正常な体に戻っていきます。セッションが進めば、このようにトラウマは小さくなり、体の反応は変わっていき、我慢して自分を押し殺すのではなく、相手に言い返すことができるようになります。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室 

論考 井上陽平

 

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