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トラウマを思い出すと泣く:涙がもたらす癒しのプロセス


人は、どうしようもない状況に直面したときや、深い悲しみから抜け出せないとき、感情が抑えきれなくなり、涙を流します。泣いても状況が変わらないことに気づき、泣き続けるうちに疲れ果て、時には絶望感に襲われることもあります。しかし、涙を流すことには重要な役割があります。泣くことで体の生理状態が変わり、心が徐々に落ち着いていくのです。泣き終えた後には、感情のデトックスが行われ、気持ちが軽くなることがよくあります。その結果、以前は手に負えなかった問題が、少しずつ好転して見えることもあるのです。涙は、心と体を癒す自然なプロセスの一部であり、その瞬間の苦しみを和らげる助けとなります。

 

トラウマを経験した人にとって、泣くことは非常に重要な意味を持っています。涙を流すことは、体の自己防衛反応の一つであり、感情を解放するだけでなく、自律神経系のバランスを保つ効果があります。特にトラウマを抱える人は、自律神経の調整が乱れやすく、ストレスや緊張が蓄積されがちです。泣くことで、その乱れを一時的に整え、心身の負担を軽減する役割を果たします。涙は、心と体を守る自然な手段であり、トラウマによる緊張や苦痛を和らげ、自分を保つための重要なプロセスとなります。

涙の背後にある抑圧:自己主張できない心の限界


涙もろくなる人は、家族や友人、恋人に対して、自分の気持ちをうまく表現できず、長い間感情を溜め込んできたことが多いです。相手から感情をぶつけられても、言い返せずに我慢してしまい、その結果、心の中に不満が蓄積されていきます。内心では常にイライラしているものの、それを解放できず、抑え込む生活が続くと、やがて限界を迎えます。そして、心が折れてしまうと、突然涙が止まらなくなるのです。

 

涙もろくなるのは、日常生活で感情を抑え込みすぎた結果の反応とも言えます。しかし、彼らは自分がなぜ泣いているのか、明確には理解できないことが多いのです。感情が抑えられない瞬間に、涙はその内側に溜まったストレスや苦しみを表現する手段となり、無意識のうちに溢れ出てしまうのです。

恐れに支配された心:不条理な経験が生む不安と涙


不条理な経験を重ねてきた人は、相手の顔色を気にしすぎ、怒られることや嫌われること、迷惑をかけることに対する恐怖心が強くなります。また、再び傷つけられることへの恐れから、人との関わりを避けようとする傾向があります。過去の傷ついた経験が原因で、あらゆることが心配になり、すぐに不安に支配されるようになります。

 

その結果、物事を過剰に先読みしてしまい、些細なことでも心配が膨らみます。そして、予期しないストレスに直面すると、体が極限状態に陥り、身動きが取れなくなってしまいます。まるでガラスのように繊細な心を持つため、怒られると身体が硬直し、涙が止まらなくなります。また、恥ずかしさや不安といったネガティブな感情をうまく処理できず、恐怖を感じると息が詰まり、体が石のように固まってしまい、言葉が出なくなることもあります。その時、感情の抑制が限界に達し、涙が自然に流れ出るのです。

過緊張の影に潜む不安:トラウマが引き起こす感情の揺らぎ


幼い頃からトラウマを抱え、過緊張の状態で生活している人は、体がすぐに硬直しやすくなります。体の硬直や凍りつきを避けるため、批判されたり、嫌われたりすることへの恐怖から、自分を偽り、相手に合わせて振る舞います。しかし、その結果、相手に良く思われないと強い不安に襲われます。日常生活では、人前で自然に振る舞うことが難しく、失敗することへの恐れから常に不安を抱えています。

 

こうした不安感が常に存在するため、些細な出来事でも感情が揺さぶられ、心が不安定になります。そのため、ちょっとしたことで涙をこらえられず、すぐに泣いてしまうことがよくあります。過緊張と不安が強く、感情のコントロールが難しくなることで、心と体のバランスを保つのがますます困難になるのです。

涙に込められた解放:トラウマと抑え込まれた感情のほぐれ


不条理な状況に遭いながらも、それでも前向きに頑張っている人は、涙を流すことで自分を慰めています。相手に自分の感情や思いを言葉でうまく伝えられないため、泣くことが唯一の手段として自分を保つ役割を果たしているのです。特に、トラウマを抱えている人は、日常的に不満やストレスを抱え込み、心身が緊張し続けて固まっている状態にあります。そのため、感情や感覚が麻痺し、心の中で閉じ込められたままになってしまうのです。

 

そんな中、トラウマを思い出させるような出来事や、悲しみ、苦しみ、悔しさ、無力感、憤りといった強い感情に直面すると、抑え込んでいた感情の塊が解け、胸の詰まりがほぐれることで、涙が自然に流れ出てきます。涙は、固まっていた感情が解放されるサインであり、心を少しずつ癒すための大切なプロセスです。

涙が枯れる危険:感情の麻痺と自然治癒力の低下


劣悪な環境下では、体が完全に固まり、凍りついてしまうことがあります。この状態になると、体の反応が鈍くなり、心の内側が徐々に枯れていきます。まだ涙が出るうちは、心や体が機能している証拠ですが、涙が出なくなると危険な兆候です。あまりに長い間、辛い状況に耐え続けると、悲しさや苦しさ、悔しさがあっても感情が麻痺してしまい、泣くことすらできなくなります。

 

泣くことができないと、心と体の自然な回復力が働かず、悪い状態に閉じ込められたままになってしまいます。泣くことを我慢し続けると、その状態が固定化され、心のバランスを取り戻すのが難しくなります。涙を流せない人は、自然治癒力が枯渇し、人や社会との交流が困難な状況に置かれているかもしれません。人は、泣きたいときに我慢するよりも、辛いときは涙を流すことで、心と体が癒されるのです。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

 

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