臆病さと自己愛の関連性

▶臆病さと自己愛の関連性

 

自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)の人は、自己愛憤怒を引き起こすような、情動的な人格部分を持っています。脅威や危険を感じて、身体が凍りつくと、情動的な部分が活性化されて、興奮していき、怒ったり、衝動的な行動を取ったり、調子に乗るようになります。情動的な部分は、境界性パーソナリティ障害の人ほど大きくなく、ある程度自の一貫性は保たれて、安定していると言えます。

 

もともとの自分は、自分に自信がなく、臆病でしたが、この情動的な人格部分のおかげで、勇気がある行動が取れたり、無茶苦茶な行動を取ってしまって、人生が大変になります。もともとの自分は、自分の気持ちをコントロールできずに、傷つけられたり、傷つけたことを気にして、人間関係で嫌われることが怖くなり、窮乏します。その一方で、これ以上傷つかなく済むように、周りを警戒して、上から目線で物を言うような部分が成長します。

 

例えば、自己愛過敏型(解離傾向)の人は、気弱で大人しく、臆病な部分が日常生活の大部分を担っていますが、内側には、相手を見下すような態度を取り、計算高く、高慢に振る舞う誇大な部分が取り憑いているように見えます。厳格な大人に対しては、気弱で大人しく、臆病な部分が対応しますが、自分より下の相手には、上から目線で、高慢に振る舞う誇大な部分が表層の世界に現れます。また、大人が厳しい対応すると、上から目線で、高慢に振る舞う誇大な部分から、顔が突然恐怖に怯えた表情になり、気弱で大人しい子どもに戻ることもあれば、闘争スイッチが入り、相手を叩きのめそうとして激しく罵倒することがあります。

 

臆病な部分と相手を見下すような態度を取る部分に分裂している自己愛性人格障害の人は、母子関係のトラウマや、発達早期のトラウマ、発達障害の傾向を持っています。子どもの頃から、母親の前では気弱で大人しくしているときもあれば、癇癪を起こして、母親を困らしていることがあります。母親は子どもの怒りをうまく受け止められずに、怯えたり、叱りつけたりするので、子どもは怒りの情動に乗っ取られて、自分の気持ちをコントロールできなくなります。子どもは、大切な人との人間関係がうまくいかなくなるので、自分のことが信じられなくなります。

 

また、もともとの臆病な自分は、最初は良いように思われますが、次第に心が狭いと思われるようになります。小さなことでも気になってしまい、自分の気持ちのコントロールがうまくいかなくて、すぐに苛立ち、相手を罵るために、人間関係が続きません。問題としては、自分の加害性を認められずに、自分の気持ちをそうさせた相手が悪いと被害者ぶります。また、人間関係の失敗から、不信感が強まり、すぐに相手の言動を嫌味として過敏に捉えるなど、歪んだ考えを持つようになり、勘違いから傷つきやすくなります。そして、頭が勝手に思考が進み、妄想が強くなっていきます。

 

このように人間関係がことごとく失敗していくようになると、見捨てられ不安を感じている臆病な自分に対して、解離してしまって自己愛憤怒を起こす攻撃的な部分が強くなります。この解離した後の攻撃的な部分のせいで、周りの人が離れていきます。そして、どうせ自分は駄目なんだと自分を責めて、自分の自信を失い、もともとの臆病な自分はどんどん窮乏していきます。やがて、もともとの自分に取って代わり、相手を見下し、計算高い部分が日常生活を担うようになります。

 

▶HOME ▶ネット予約 ▶電話カウンセリング ▶お問い合わせ