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壊れる前に壊したくなる人の心理


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 第1節.

壊れる前に大事な人との関係を壊す


大事な人との関係を壊す人は、人前で無防備になることができず、関係が深くなって、心を開こうとすると怖くなります。彼らは、子どもの頃から、有効な自己主張ができず、人間関係を築くのが下手で、相手の顔色が気になり、嫌なことでも我慢して、言いなりになってしまって、ネガティブなものを内に溜め込み、怒りがどんどん膨らんで、精神や身体に症状が出ている人です。例えば、大事な人との距離が近くなり、上手くいきそうなときほど、めちゃくちゃ緊張して、固まってしまいます。そして、次悪いことが起きるだろうという妄想が膨らみ、嫌われることが怖くて、相手に合わせるしかなくなって、体がしんどくなり、無意識のうちに自分から大切にしている関係を壊してしまう人がいます。また、自分を守ろうとバリアを張っている人は、マイナスの可能性ばかり見てしまうので、相手の嫌な面が見えると、自分が苦しくなって、その関係を壊したくなります。

 

大事な人との関係が長続きしない人は、周りを警戒して、神経が張りつめていて、体が凝り固まり、疲労が蓄積しています。ちょっとしたことでもイライラし、心が壊れそうなくらい脆い状態にあり、自分の内側が変化することを恐れています。彼らは、大事な人に期待してもどうせまた裏切られるという思いが強く、人に期待なんかしてはいけないと思っています。そして、いつも最悪の事態を想定して、不幸な自分や不安の塊にしがみついているほうが自分が変化していかないので、安心します。このような人は、身体の中にトラウマがあり、日に何度も自分の心が変わり、過覚醒や凍りつき、死んだふりをしながら生活していて、大事な人との関係を構築するよりも、すぐに身を引いてしまって、心を閉ざしている方が安心できます。普段から、人目につかないようにしていますが、一人で生きていくことは将来のリスク要因になり、孤独になることに耐えられません。

 第2節.

痛みが強くて、嫌悪感に耐えられない


人から散々な目に遭わされてきた人は、今まで嫌なことを我慢してきたため、もう傷つきたくないと思って、防衛本能が過剰になり、イライラしやすくなります。対人場面では、相手に支配されないようにするとか、相手に意識で押さえつけられないようにするために、相手の感情に敏感に反応し、攻撃される前に攻撃してしまいます。人間という存在は、どのような人でも嫌な面を内包しているものなので、家族や恋人、友人関係において、嫌な面を避けることが難しいです。人の悪い言動を受け流せず、耐えれなくなってしまう場合は、人間関係を保つことが難しくなります。

 

また、もうこれ以上傷つきたくない人や痛みに耐えられない人は、嘘、裏切り、見捨てられることを恐れて、自分から別れを言ったり、相手の悪い面を粗探しすることがあります。相手から否定的なことを言われたり、嫌なところを見つけたり、思い出したりすると、生理的に受けつけなくなるため、苦しくなり、頭に血が上り、喧嘩で暴れたり、パニックになったり、泣いたり、長時間説教したりして、その度に酷く落ち込み、大事な人との関係を壊したくなります。

 

体にトラウマが刻まれている人は、嫌なことを思い出すと、強い怒りや恐怖が沸き上がり、息苦しく、胸が痛み、気持ち悪くなって動けなくなり、パニックや感情の爆発などの症状が現れます。そのため、嫌悪することを避けるようになり、不快な状況にならないように、周りに気を配り、先読みしています。彼らは、人から悪意を向けられたり、嫌われたり、批判されたりすると、自分の心と身体が壊れてしまうから、いつも自分を完璧に見せないといけなくて、気を抜くことができません。とにかく人の顔色や、周りの反応が気になって、ずっと気を抜けない状態で過ごし、大事な人に愛されたいがために、お化粧したり、ダイエットしたり、笑顔でいたり、自然と媚びるような態度を取ったりして、一生懸命に頑張りますが、しんどい状況に追いつめられています。そして、大事な人が、自分を大事に思ってくれていない発言に敏感に反応して、自分の心を軽くするために相手を責めたり、感情を抑えられないまま関係を壊してしまいます。

 第3節.

トラウマ的要因から


トラウマというのは、戦慄の衝撃に曝された人が、恐怖に凍りついて動けなくなる体験です。痛みのトラウマが身体に刻まれている人は、何かに拘束されて逃げれない状況に恐怖するようになり、頭の中では、そのような脅威が迫ってこないか考えてしまいます。脳は、生きるか死ぬかという防衛な働きをし、自分の置かれた状況から、逃げ道を探り、物事を先読みしたり、先手を打つ行動を取ったりして、自分を守ります。彼らは、脅威に備えた生き方をしており、親密な関係を結ぶ能力に影響が出ます。他者と親密になり、関係が深まるほど、その関係に縛られることが苦手になります。特に、恋人や家族だからという理由で、相手に管理されると、自由になれなくて苦しくなります。自由になれない関係なら、親密になりたくなくて、どうしてもその関係を壊して、逃げたくなります。このように何かと関係を作るだけで苦しくなり、全てのものと距離が欲しくて、人と繋がることが難しくなります。

 

身体にトラウマが深く刻まれている人は、人の表情や言葉が受け流せないほど繊細になり、いちいち胸に突き刺さり、真正面から受け止めてしまって、苦しくなります。機嫌が良かった人が急に態度を豹変させると、脅威に感じて、交感神経が活性化し、血液の循環が変わり、ムズムズやモヤモヤなど嫌な感覚が出てきて、逃げ出したくなる衝動に駆られたりします。そのため、人と関わることから回避しようとしたり、苦手な人物とは関わりたくないと思っています。トラウマは、嫌悪することや不快な状況で発動するために、安心/信頼できそうな人との関係が深まった後、相手が裏切ってるように見えたり、拒絶されたり、嫌な面が見えたり、自分の全てが否定されたと感じたときに、過去の嫌だった感覚や感情に憑りつかれて混乱します。そして、気持ちが落ち込んで、もう嫌われたと思う人もいれば、戦うか逃げるかモードに入って、激怒したり、挑発したり、罵ったり、価値下げしたり、無視したりします。また、自分が苦しい分だけ相手を試して、質問責めにします。しかし、その後に、絶望的な状況から抜け出したら、気分も戻って、なんであんな事を言ってしまったのかと後悔します。その後は、自分への嫌悪感や恥ずかしさを抱え、悪い空気にならないように気にしたり、相手と関わるのを避けたりなど両側面をもっています。

 

トラウマが慢性化すると、日頃から、警戒心が高く、心は休まる暇がなく、体は過緊張や凍りつき状態になります。頭は、危険でない情報にさえ、警報を鳴らすため、人が大勢いる場面では、たくさんの情報が自分に入ってきて、感じることに疲れます。周りに気を遣い、自分が嫌われてしまうことが怖くて、自分を完璧に見せないといけなくて、感じ方や考え方、行動の仕方が極端になります。人一倍敏感な人が、相手も自分と同じような見方をしていると思い込んでいくと、どんどんしんどくなり、気を抜けずにいたら爆発してしまって、大事な人との関係を壊します。また、人から評価されることが怖く、人の目を気にして、自分に自信を持てません。人と関わることが、自分の気持ちは相手のことが好きでも、体のほうが段々と限界がきて、引きこもりたくなります。また、自分から相手のことを嫌って、大事な関係を先に壊して、自分を楽にする人もいます。人によっては、相手の嫌な部分に耐えれなくなり、自分が壊れてしまう前に、相手に暴言暴力を吐く人もいます。トラウマが慢性化している人は、一瞬良くなっても、またすぐに悪い状態に戻されてしまうため、負担になることを避けるような人生になり、人間関係を深めていくことに抵抗します。

 第4節.

人間関係を壊してしまう人になるまで


自分はいくら頑張っても人から愛されなかったという経験があり、よく見られるケースでは、酷い親に育てられた経験から、人間不信になり、パートナーについつい親を投影してしまい、今の人間関係がうまくいかなくなります。いつも相手のことを信用できず、自分にも価値が無いと思っているので、自分のことを受け入れてもらえるかどうか、何度も相手を試すような行動をとり、相手が困って離れていきます。そのとき、離れていく相手のことを酷いと思い、自分は愛されていなかったんだという疑いが核心になり、自分で自分を不幸にします。

 

酷い親との経験から、底なしの不安がある人は、何度も何度も警告し、相手を限界まで試します。相手を信用して裏切られるのが怖いから、愛情が本物か偽物かを確認するために試します。どうせまたひどい目に遭わされるとか、どうせ自分は利用されるだけとか、どうせ私は愛されないと思って、自分は必要のない人間だと感じて混乱し、恋人とお付き合いをしていても、自分から別れたいと言って関係を壊します。恋人にどこまで甘えていいか、信頼していいかを試すために、いけないことだと分かっていても試す行為を続けます。

 

このような症状を発症する人は、一般的には、親の前では良い子で育ち、愛着を求めていますが、嫌なことがあっても言い返さず、心に溜め込み、相手のことを良く思おうとする真面目な性格だと言われています。一方で、大人になる間に、たくさん傷ついてきて、人を疑ったり蔑んだりする防衛的な部分が強くなり、不快なことがあると闘争・逃走スイッチが入りやすく、自分が管理できない状況や人間関係に耐えられなくなるという一面があります。自分の思い通りにできないことや、動かしがたい他者との関係に傷つき、深入りすると失うことが怖くなり、物事を悪いように考えすぎて、悪いことが起こる可能性が1%でもあると不安や恐怖に襲われます。

 

彼らは気分の浮き沈みが激しく、その変動が生理の周期で起きたり、一日の単位で何度も起きる人もいます。気分が上がっているときは、楽しく過ごせていますが、気分が下がっているときは、表情や話し口調が変わって八つ当たりしたり、無視したり、急に会うのをキャンセルしたりします。

 

また、自分の中のドロドロした感情を言って、無性に傷つけたくなってしまうという癖があります。それらを言わないようにすると欲求不満になるため、大事な人にほど自分の気持ちと裏腹のことをしたくなり、毒を出してしまって、相手に迷惑をかけてしまうとか、自分が苦しくなるから、大事な人との関係を壊します。自分の怒りから、大事な人との関係が壊れてしまったときは、パニックになるかもしれません。その後、大事な人への謝罪や自己非難が続きます。

 

さらに、いい人を見つけて、うまくいっている大事な関係ほど、愛着を求めて、甘えが出たり、好きになりすぎて、苦しくなります。自分のことを受け入れてもらえるかとか、嫌われてしまう不安が大きくなると、自分を守ろうとする防衛から、相手を試して、うまくいかなくなると、壊したくなる気持ちが大きくなります。また、うまくいきそうなときほど、失敗したときのダメージが大きく、失敗して自分が傷つくのが怖いから、自分から壊して安心を得る人もいます。彼らは、答えの分からない人間関係で不安になり、どうしようとかどうしたいのかと悩み続けて、大事な関係が切れたときに安心します。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

 

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