完壁主義とナルシシズム

▶完壁主義とナルシシズム

 

自己愛性人格障害やナルシストの人は、潔癖で完全主義の傾向があります。ここでは、自己愛の強い人や完璧主義的な人の特徴を見ていきたいと思います。自己愛の人は、自分が完璧だと感じないと、居心地が良くなくて、不穏さを感じて、すっきりしません。自分の中に守るべき基準(マイルール)みたいものを打ち立てて、それらを完璧に管理しようとします。そのために、予想外の事態や急な出来事などのノイズに弱くて、不快さに耐えることができません。彼らにとって不快さとは、日常の中で恥をかいたり、外見やプライド、ステータス、健康状態を、他人から批判されたりすることを指し、それらにとても敏感です。人前でどう見られているのかということや、自分の変な部分がバレないようにということを気にしており、恥をかいたり、自分の弱みを見せたりすることを嫌います。

 

人前で恥をかくと、赤面恐怖、発汗、頭の中が真っ白、身体の震え、屈辱感、苛立ちなどが出て、精神が不安定になります。さらに、完璧さを維持するために、自分に対する価値観、自己イメージ、エピソード記憶のなかに不快な要素があることに耐えられません。自分の過去の嫌なエピソードなどは思い起こしたくないことであり、人を傷つけたり、見下したりした過去は無いものになっています。いつも自分は正しくて、相手は間違っている世界で生きています。また、不快な要素は、具体的な不安としてあるのではなく、漠然とした不安として現れ、完璧を求めるために、常に欠点に目を向け、それらに悩み、不完全さを受け入れることができません。たとえ他人が客観的にに見て、彼らに能力や美しさなどを認めたとしても、本人には常に不安があり、人生が上手くいかないと感じて死にたいとさえ思うこともあります。

 

また、自己愛の人は、他人とうまく境界線を引くことが苦手で、線引きの対処の仕方が分からないことが多いです。他者が自分の領域に入ってくるのを極度に嫌います。その理由は、トラウマがある人は、身勝手な人に傷つけられており、そのような過酷な環境にいると、寂しさや悲しみなどの嫌な感情ばかりが増えて、神経が繊細になり、それらに耐えられなくなって、身体の機能のリズムが狂うからです。身体に注意が向かず、常に固く硬直させて、自他の境界線が無くなり、相手が自分に下した評価をそのまま自分のこととして受け取る傾向があります。トラウマがあり、身体がしんどくなるので、頭で考えたり、目で見たりしたことに執着するようになり、美醜にこだわるようになります。美しさが重要で、不快は避けたいので、見た目の形にこだわり、自分が綺麗でないと受け入れられないという特徴があります。 

 

自己愛の人は、過去にトラウマの経験をしており、例えば、親から愛されなかったり、人前で失敗をしたり恥をかく経験をしていたりする場合が多く、それらが原因で劣等感や不完全感を強く感じています。それらが自律神経系の調整不全や生体機能の乱れにつながり、その不完全感を埋めるために完璧なものを求めるようになります。子どもの頃から、辛い毎日を送っており、過酷な環境にいると、現実は悲しみや痛みが伴うため、反発する力が働き、それらは肯定的な面と悪魔的な面の両面をもつようになります。彼らにとって不快を感じることは恐怖や絶望であり、それらに反発するために怒りで吐き出すか、もしくは、誇大な妄想に耽ることで回避しました。対人場面では、相手に良く思われるように努力することで、人に良く思われているとか、自分はすごいという妄想をもつことで自分を健康な状態にしてきました。

 

例えば、家庭環境が良くない状況で育った子どもは、親の嫌なところを見て育ってきた場合が多いです。そういう場合には、親のそういう側面が嫌で、穢れた側面として感じるようになり、そういうものに引きずり込まれないように、そこに汚染されない、自分だけの完全無欠の真っ白な状態を保とうとします。親の全ての側面が悪ではないのですが、悪い記憶が連鎖をなして許すことができずに偏った見方になり、それらを世の中の嫌なこととして捉えるようになり、殻に閉じこもって、人と距離をとるようになります。そのような社会の嫌な部分にがっかりし続けて、それらが自分に侵入してくることを嫌がり、何からも汚染されないように殻の中にこもって、既に自分の中にある傷を浄化しようとします。過去の嫌な記憶を消そうとしながら、なりたい自分や完璧な自分を想像し、そこに早くたどり着きたいと追及します。治療では、不完全感の原因を探るために、過去の悲しみに近づくことが作業になります。

 

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