境界性パーソナリティ障害とは

▶境界性パーソナリティ障害とは

 

境界性パーソナリティ障害の人は、職場や恋愛などの人間関係でトラブルを起こしがちです。この心の病のキーワードは、人間関係のトラブル、自傷行為、見捨てられ不安、過食嘔吐、情緒不安定、空虚感、児童虐待、母子関係、性被害などが挙げられます。歴史的に見ると、もともとは神経症だと思って治療していたのにも関わらず、良くなるどころか徐々に治療関係が破綻していくため、神経症と精神病の境界にある病気とされました。現在では独立した病気として位置づけられ、ボーダーラインから境界性パーソナリティ障害として呼ばれています。この心の病の背景としては、マスターソンの母子関係、ハーマンの複雑性PTSD、生得的な発達のアンバランスさ、トラウマが与える脳の器質的変化と機能異常などが挙げられます。予後としては、40歳頃になると徐々に落ち着いてくると言われています。

 

私の個人的な意見では、境界性パーソナリティ障害は、攻撃性が自分に向く女性に多く、過覚醒と低覚醒やPTSD症状と解離症状の間を行ったり来たりしています。そして、自己調整機能や覚醒度のコントロール異常から、本来の自分を見失っていて、不安定な自己像を抱える病気であると考えています。対人関係は、今までにことごとく失敗しており、もうこれ以上の苦痛は耐え難く、傷つけられることに対しての恐怖心があります。そのため、敵か味方か、白か黒かで決めつけ、敵意を見せることで、自分を守ります。心の中では、助けてほしいと思っていますが、他者の善意も信用できずに跳ねのけてしまいます。また、他者の態度や分かってもらえなさに、イライラして、手を出したくなって、爆発します。その結果、相手にやり返されてしまって、頭も体も限界に達していきます。今までの溜まった不満や文句を言って、相手のせいにして、手を出して、やり返されるという体験を繰り返しているので、人に傷つけられる恐怖、相手を傷つけてしまうことの自責感、自責感を人に利用される不安があります。

 

境界性パーソナリティ障害と解離性障害の違い

▶境界性パーソナリティ障害の特徴と解離性障害

 

この二つの障害は部分的に併存しており、境界性パーソナリティ障害には重篤な解離性症状や、認知的なフラッシュバックがあるとも言われています。境界性パーソナリティ障害の人は、PTSD症状と解離症状が同時に生じたり、行ったり来たりしているので、気分の浮き沈み(天国のような状態から地獄の状態へ)が激しく、常に不安定にさせられながら仕事や夫婦・恋人関係、子育て、学業に取り組んでいます。一般に過覚醒症状があるので、覚醒水準が高いときは、交感神経が働き、危険に対して過剰に過敏で、闘争-逃走モードなどの状態とか力やスリルを求めることが快感といった危険な一面を持ち合わせています。一方で、居場所が無く、慢性的な空虚感を抱えており、生きていくことがとても苦痛だと感じています。また、トラウマによって自己調整機能が低下しており、自分で自分をコントロールすることが出来なくなることを恐れていたり、トラウマの再体験を回避するために、他者を利用したり、また、他者から引きこもる必要が出てきます。そして、胸の潰れそうな思いとか、恐怖、混乱、興奮、苛立ち、麻痺、空虚感、孤立感の入り混じった感情を抱えているので、特定の他者に近づき、ケアしてもらうことで自分の安全を保とうとします。そのため、常に居場所を探し求めていたり、自分を守ってくれる人を探しています。基本的に、良い対象にしがみつき、理想化がみられます。また、良い対象に見捨てられることを避けるため、過剰に努力したり、周囲を巻きこんだりして、他者を操作し自分が有利になるような構造を作り出します。ただし、良い対象が怒ったり、批判したり、連絡が無かったりすると、本人の感情は容易に崩れてしまい、そこで生じた恐怖が良い対象を悪い対象に変え、急速に脱価値化が起きます。この恐怖の裏には、見捨てられた体験や想像を絶する体験をしていることがあります。最終的には、怒りの強くなる場面などで自分をコントロールできなくなって、手を出したり、やり返されたりするので、恋人や友人が離れていきます。一方で、自制心が無くなる場面は、記憶の欠落が起こる場合もあり、自分のしたことに気づいて後悔し、誰かに助けてもらうか、引きこもるしかありません。また、怒った時の記憶が抜け落ちることで、いつも傷つけられた被害者となり、都合のいい記憶しか残らないので、自分が加害者だと自覚できない事が起こります。このキレる場面での解離現象により、パートナーとトラブルに発展しやすくなり、身体も頭もパンクしていくので十分に注意が必要です。

 

重篤な解離性障害の人と境界性パーソナリティ障害の人で違うところは、解離性障害の人は自分のことをあまり理解できておらず、自分がないような状態で生活しています。また、他者の欲望に服従的で、人間関係から引きこもりがちです。外傷体験も闘争-逃走モードを越えて、凍りつき‐機能停止を体験していて、本来なら一貫性が保たれているはずの時間の連続性が完全に断裂しています。さらに、解離性同一性障害となると、毎日、複数の人格が入れ替わり生活しているので、覚醒世界と夢の世界を行ったり来たりしています。基本的に覚醒水準が低く、重いうつ状態(慢性疲労状態)にあり、意識は朦朧としています。しかし、別人格たちが内部世界を知覚・認識し制御しており、外界の脅威に備えています。そして、危険を察知すると、交代人格たちが脳内で会議を行い、人格交代が起きます。