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トラウマPTSD研究


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 第1節.

トラウマに関わるきっかけ


トラウマ(trauma)といえば心的外傷後ストレス障害(PTSD)を思い浮かべる人が多いと思います。日本では、1995年の阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件以降、トラウマやこころのケアという言葉が頻繁に使われるようになりました。ちなみに私は1995年の時は、神戸市東灘区に住む中学3年生でした。震度7の揺れに襲われた時は、体が凍りつき、一瞬窓を見ると、光の大気のようなものが見えた気がします。それ以降も、オウム真理教による地下鉄サリン事件があり、トラウマに興味を持ったのかもしれません。また、1998年に発売されたゼノギアスというRPGゲームの影響も大きいかもしれません。このゲームの主人公は解離性同一性障害で、臨床心理学や生物学、ユング、キリスト教、社会問題など様々な概念が織り交ぜたストーリーになっています。このゲームのおかげで、トラウマや臨床心理学という世界に違和感なく入れたような気がします。

 

トラウマとは定義しづらく、難しいものです。私は15年ほど勉強して、何千回とトラウマを持つ人たちと話して、ようやくトラウマというものが分かってきました。私がトラウマと初めて深く関わったのは、23歳の社会人の頃になります。私はトラウマを負った人と、10回、20回と会っていましたが、トラウマ(心の傷)というものがあることに全く気づきませんでした。それには理由があって、たぶん彼女は普通のふりをしていたと思います。彼女が本音を言わず、明るいふりをしているので、肝心なことは目に見えてなかったし、そもそもトラウマというものを私は知らなかったので、頭の中に想定していませんでした。私がトラウマという存在を知ったのは、その彼女の親友がいろいろと教えてくれて、現実世界とトラウマ世界を橋渡しをしてくれたからです。その親友の言葉に感染させられて、トラウマの出来事を知り、隠されていたものが分かった瞬間から、その彼女の見せる表情や仕草にトラウマというものが見えてくるようになりました。トラウマというものは、身体が丈夫な人には分からない何かがあり、単に心の傷といったものではありません。 

 第2節.

トラウマの定義・種類


トラウマを定義すると、「個人が心身に耐えられない傷を負うことで、それは、客観的に確認できることから、主観的に経験されるものまであります。」

 

ここでのトラウマの範疇は、個人が持っている対処法では対応しきれないくらいの圧倒的な衝撃に曝されることにより、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状を患います。PTSDの原因となる出来事は、戦争体験、地震や洪水などの自然災害、事故、事件、暴力犯罪、性暴力犯罪、子ども時代の虐待、学校のいじめなど、さまざまな慢性・急性の外傷体験になります。

 

また、医学的なPTSDには診断されないかもしれませんが、

・戦争の歴史や家族の歴史、社会、地域の状況

・家庭や学校、社会を取り巻く生活空間の全体が緊張やストレス過多になる体験

・幼少期の頃から、緊張が強くて、アレルギーやアトピー、喘息、高熱など身体の弱さ

・重い病気を患うか、重度の骨折などの怪我

・手術中の医療ミス

・出生時トラウマと医療措置の影響

・胎児期の母子関係(子宮内のストレス)

・愛する人を喪失する体験

・取り返しのつかない事態に陥る

・親子関係のこじれが振りほどけないほどの縛りに

・子どもの発達を脅かす依存欲求に応じてもらえない体験

・養育者に強い恐怖があるために子どもと養育者の役割逆転

・親から望まれてこの世に生まれたのではないというメッセージの受け取りなど急性から累積したトラウマまで入ります。

 

トラウマというのは、脅威に直面して、心臓がバクバクしているのに、有効な対処法が取れず、体が凍りついて動けないときや、声も出せないことがトラウマになります。人が凍りつくと、神経が極限まで緊張し、痛むため、感覚が麻痺して、自分の体から切り離されたように感じることがあります。また、凍りついた後に、酷い目に遭わされると、全身に衝撃が走って、底が抜けて、体が崩れ落ちていきます。崩れ落ちている人は、無力に打ちのめされており、動けなくて、うつが出てきます。このように自分では対処できないトラウマ的出来事を経験してしまうと、それを経験した後と経験する前では、生物学的な変化を起こし、神経発達が阻害されて、脳と体が全く変わってしまいます。

 第3節.

トラウマの歴史と危機


19世紀後半にシャルコーが催眠術を治療に用い「ヒステリー研究」で始まります。フロイトは外傷的な出来事に関する耐え難い情動反応が一種の変性意識を引き起こし、この変性意識がヒステリー症状を生んでいるというもので、外傷記憶とそれに伴う強烈な感情を取り戻させ、言語化することによってヒステリー症状が軽快するという発見がなされました。

 

次に、第一次世界大戦における塹壕戦の経験を踏まえ、戦後、米国と英国から始まり、ベトナム戦争後に頂点を極めた「戦闘ストレス反応の研究」であって、最初、臆病者であるからだと結論し、処罰と脅迫が行われていました。

 

第三の流れは、ごく最近認知されてきた性的暴力と家庭内暴力の外傷に関するものであり、幼児期の身体的虐待や性虐待は慢性かつ重度のPTSD発症の原因となることが知られています。日本でも阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件の被害者に関連して知られるようになり、市民生活の中での性的暴力や家庭内暴力においても注目されるようになりました。

 

トラウマは、歴史上のある時期から、特にフロイトによってエディプスコンプレックスの概念が提起された頃に、大人が子どもにトラウマを与えるという事実が精神医療領域で消え去ることがありました。それは、家庭内虐待や戦争による戦闘ストレス反応という事実が、既存の社会の秩序や権威への敬意を失墜させると恐れられてきたからです。さらには、愛国心や家族愛の価値観とも相性が悪く、純潔さを求める保守的な人々には、トラウマという概念が受け入れるのが難しくなります。このようにトラウマという領域は、権力者との折り合いが悪く、踏み入ることを禁じられていた領域もありました。

 

そういう訳で、残念ながらトラウマを扱う臨床家は不遇な運命を辿っていることが多いです。フェレンツィやジャネ、ライヒなどは生きている間に光が当たることがありませんでした。(ここ最近は、評価され始めています。)一般的に組織集団に所属する人は、真実を探すよりも合理性やポジション取りに終始します。また、組織は体制維持のために、利益を追求していくところです。トラウマを扱う臨床家は、組織集団に所属すると、強い葛藤を抱えるようになり、自分の価値観や内側から溢れ出る熱意を抑え込まないといけなくなります。トラウマ研究に熱を入れたいなら、ひっそりと一人で行っていくしかありません。

 

心理臨床の世界でも、トラウマを負った人の苦痛や問題行動、自責感、罪悪感、希死念慮、自分が自分でなくなる恐怖など、心と体のメカニズムにはあまり興味がないようです。彼らが大切にしているのは、世間一般の人と同じような価値観であり、家族や仲間、職場のポジション争い、師と仰ぐスーパーヴァイザー、同業の人間関係です。トラウマの患者さんを支援するはずの心理臨床家が社会の権力者へのご機嫌を伺い、トラウマによる影響を否認してきました。トラウマの問題行動を、もともとの気質や性格の未熟さに結びつけ、患者の真実よりも自分たちの利益やポジション争いに終始してきました。

 第4節.

トラウマというものは


トラウマというのは、心に傷を与えるだけではありません。トラウマを負うメカニズムは、生きるか死ぬかといった自分を脅かす恐怖に曝され、戦うか逃げるか反応が失敗に終わり、有効な手段が取れず、どうしようもできない絶望のなかで、もの凄いストレスを感じる不動状態(交感神経と背側迷走神経が過剰に拮抗する)の時に、トラウマになります。その後は、再び被害にあわないように警戒したり、その被害を思い出すことが辛くて、その記憶を隅に追いやってなんとか忘れようとします。しかし、恐怖の記憶は消えず、そのことを思い出すと、心臓がバクバクし、胸が締めつけられ、息が苦しくなり、落ち着かなくなります。また、想定外の出来事や、他者から怒りの感情を向けられると、足がすくみ、身体が凍りつき、過去の被害にあったときと同じような反応に襲われるため、怖くなります。さらに、脅威に対して、脳は生きるか死ぬかのモードに変わり、生存を高めることに注意が集中するようになります。脅かされつづけて、強い恐怖を感じているときは、人間の脳は、合理的な思考が働かなくなり、情動に支配されていくようになります。

 

外傷体験のショックは、人によりさまざまですが、酷い場合だと、1万ボルトくらいのもの凄いショックを受けて、身体が凍りついて、意識が飛ぶこともあります。外傷体験のショックに曝された時は、全身の神経が極限まで張りつめて、筋肉が極端に伸び縮みを繰り返し、身体が戦うか逃げるかになりますが、その状況で身動きが取れなくなると、心に大きな衝撃を与えます。これまで経験したことがないようなショックが全身に刻まれることになり、未完了なエネルギーが閉じ込められ、新たなマイナスの神経回路が作られます。

 

人は外傷体験から生き残っても、激しいショックを受けた経験から、身体を凍りついて、何も感じられなくなります。その後も、適切にサポートしてくれる環境がないと、脳は、脅威に対抗するために、警戒態勢を続けます。身体は慢性的に収縮する方向に向かい、凍りついた状態にロックされていき、体本来のリズムが取れず、自然に回復していくことが難しくなります。外の世界に対して、目をこらし、耳を澄まし、非常に敏感になり、感覚が鋭くなります。筋肉や内臓は、絶え間ない緊張状態が続き、脳は危機を感じて、ネガティブなものばかりに注意が向いていきます。そして、危険と思われることに対して、身体が闘争・逃走、凍りつき、死んだふり、虚脱など様々な状態になります。このようにトラウマがある人は、自分が被害に遭ったことに敏感になりすぎて、本来危険でないものにさえ、凍りつき、震えるようになるため、人間関係のトラブルメイカーになるかもしれません。

 

体にトラウマが刻まれた人は、脅威を遠ざけようとする防衛や、生体を保護しようとする防衛が働きます。日常生活では、トラウマのトリガーを引かないように工夫して生きるようになり、先手先手を打ちながら、脅威を遠ざけて、外の世界に過敏になります。頭の中では、過去のデータを整理し、現在の状況を分析して、情報処理が追いつかなくなると、思考が混乱します。嫌悪するものに対しては、体の中から怒りや恐怖、焦り、苛立ちなど、不快な感覚や感情が出ます。脅威が近づいて、不快な状況に置かれると、ソワソワしたり、モヤモヤしたり、古傷が疼いたりして、体が硬直して固まり、神経や関節に痛みが出ます。嫌なことを思い出すと、気持ちがしんどくなり、不満や後悔、自責、罪悪に囚われます。

 

子どもの頃から、過剰なストレスが長年に渡ってかかると、心身のバランスが崩れます。疲労が蓄積されるほど、心の余裕がなくなり、不快なことへの耐性が失われて、感情のコントロールが難しく、ちょっとしたことでも焦りを感じたり、イライラしたりして対処できなくなります。さらに、生活全般の困難が続くと、感情や感覚が麻痺させられ、体のどこかに炎症を引き起こし、脳や循環器、消化器、四肢、神経、筋肉、免疫系、内分泌系など広範囲に悪影響が及びます。長年そのような状態が続くと、耐えられない痛みになっていき、世間一般の体が丈夫な人には分からない苦痛になります。トラウマというのは、心の傷というボヤッとしたものではなくて、生物学的な変化を脳や体にもたらし、現在では全身に及ぶ疾患と言われています。

 第5節. 

トラウマ症状


トラウマには、PTSD症状と解離症状、身体症状があります。

◎PTSD症状

・再体験症状(フラッシュバック、悪夢)

・回避症状

・認知と陰性の気分の変化

・覚醒度と反応性の著しい変化(過覚醒、睡眠障害)

・パニック発作

 

◎解離症状

・解離性健忘

・自己感覚の喪失

・離人感・現実感喪失症

・失感情症

・思考の混乱

・別人格化

 

◎身体症状

・原因不明の身体症状

・自律神経系の調整不全

・闘争・逃走、凍りつき、虚脱

・喘息、偏頭痛、吐き気

・過敏性腸症候群

・顎関節症

・体の炎症反応

・慢性疲労・慢性疼痛

・チック、トゥレット症候群

 

単発の急性外傷から回復できないと、PTSDになる可能性があります。PTSD症状からトラウマが慢性化していくほど、解離症状が重篤化します。長年に渡ってトラウマが慢性化すると、疲労が蓄積されて、ストレスと戦えなくなり、自律神経系の調整不全、体温や免疫力の低下、副腎皮質の機能低下など体に恐ろしいことが起きます。トラウマが慢性化した影響により、生きるか死ぬかのギリギリの状態で生活している人たちが複雑性PTSDや境界性パーソナリティ障害の人です。また、体に重篤な問題があり、自分が自分で無くなっている人たちが重い解離症状や解離性同一性障害の人です。子どもの頃からトラウマがある人は、PTSD症状と解離症状の間を行ったり来たりしているので、ストレスへの耐性が弱く、原因不明の身体症状に悩まされて、感情や自己調整機能に障害が出ます。

 第5-1節.

PTSD症状


PTSDとは、外傷体験に曝された時に、激越な感情が沸き起こり、体にショックを与えて、神経の働きや体の生理現象を変えてしまう現象です。PTSDの人が危険を感じると、過剰警戒、闘争・逃走反応の過覚醒モードに入ります。この時は、交感神経が活性化し、体中にアドレナリンやノルアドレナリンを放出して、戦うか、逃げるために必要な筋肉を動かそうとします。体は緊張し活発な活動に応じて、全身に血液を送るため、心臓の鼓動が速くなり、血圧は高く、筋肉や血液が収縮します。運動するには酸素が必要なため、気管支が開いて、呼吸は浅く早くなり、発汗が見られます。一方、動けなくなることは命に危機が迫るために、胃液の働きを抑えて消化器の働きを止めたり、尿意を抑えたりします。また、周囲の敵を把握するために、瞳孔が開いて、視野が広がります。過覚醒の時は、一瞬の刺激に敏感に反応するため、落ち着かなくなり、苛立ちや焦燥感が出て、身体を動かそうとします。

 第5-2節.

解離症状


解離症状とは、恐怖や戦慄の衝撃により、闘争・逃走反応が失敗に終わり、全身がギュッと縮まり、凍りつく現象です。凍りつく時は、正常な行動が取れなくなるために、全身に莫大なエネルギーが滞り、不動化や死んだふり、機能停止、崩れ落ちるなど、一瞬にしてブレーカーが落ちたような状態になります。交感神経がシャットダウンし、筋肉が崩壊して、心臓はショックを受け、頭のほうに血が巡らず、息もできない状態で、これらから生体を保護しようとして解離状態になります。人によって、この時の体験は違ってきますが、心は痛みの体から分離して、ぼんやりしたり、真っ暗になったり、現実から離れて夢の中の出来事のように感じる現象です。

 

日常生活のなかで、解離状態が続く人は、人が怖くて警戒しており、体は固まり凍りつくか、極度に弛緩していて、自分の身体感覚が麻痺します。体の反応が鈍くなり、体を動かすことが大変になって、心は何かを感じることが出来なくなります。不快な状況が続くと、心臓や気管支の働きが弱まり、喉や胸は締めつけられて苦しく、呼吸はしづらく、心拍数や血圧、体温は低下して、めまいやふらつきが起きます。一方で、胃腸の消化器の活動性は増加していて、お腹の調子が悪くなり、腹痛や下痢、吐き気が起こることがあります。また、長期間に渡って、生活全般のストレスと緊張が続くと、ストレスへの耐性が衰え、体は疲弊して、さらに衰弱していきます。さらに、頭の中では考えごとばかりが浮かんで慢性疲労に陥ったり、筋肉が張ることで、偏頭痛や背中の痛み、関節の痛みなど慢性疼痛になったりします。

 第5-3節.

外傷体験時の身体反応


人は危険を感じると、気配を感じた方に視線を向け、聞き耳を立て、体に緊張が走り、警戒心から筋肉は硬直します。そして、肩には力が入り、上がっていこうとします。そして、敵に襲われて、生命の危機を感じる場面では、人は生きるか死ぬか、戦うか逃げるかという戦闘状態に入ります。全神経は外に向き、瞳孔が開き、体は限界まで伸び縮みをして、針が刺さったような緊張状態に襲われ、猫が毛を逆立てるような感覚に陥ります。

 

この時に、敵と戦うか逃げるかして、勝利を得るとか、安全な場所に退避できれば、トラウマ化することなく、体は回復して、全能感をもたらします。しかし、敵の方が強いと判断すると、されるがままに身を委ねるしかなくて、反射的に顎を下げ、奥歯を噛みしめ、眉間にしわがより、口元を固く閉じて、身動きが取れなくなります。不意を突かれて体が凍りつく場面では、頭から血の気が引き、背中やお腹が凍りつき、心臓を鷲掴みにされたような衝撃が走り、気管支は圧迫されて、息が吸えなくなります。このような衝撃から、体が壊れていかないように、顔を下げて、背中を丸めて、猫背になります。

 

外傷体験の時に激しいショックに曝されると、人は息の根が止められそうになり、首の神経や血液、リンパの流れが遮断されたようになって、そこを境に身体の上部と下部がばらばらになるような恐怖が襲います。こめかみあたりは脈を打つ感じが強く、頭痛が始まるかもしれません。顔全体が赤みをおびて汗が出始め、目は見開き、充血し、涙が眼球いっぱいに広がり、喉がつっかえて唾を呑み込みにくくなります。人は限界に超えると、筋肉が崩壊して、心臓が落ち、心拍や血圧が低下し、脳への血液の巡りが悪くなり、酸欠状態で、体を動かせなくなります。その場に崩れ落ちて、意識が朦朧としたなか、気を失うこともあります。体はこのような生命の危機に瀕した出来事を記憶していて、その時のことを覚えています。

 第5-4節.

外傷体験後の身体反応


トラウマのショックというのは、脳や心臓、胃、腸などが極限まで収縮し、凍りつく体験です。これは凄い速さで起こるために、神経の働きがそれに追いついていけなくなります。それ以後は、自分の気持ちに整理がつかなくなり、心と体が分離した状態のままで日常生活に戻ります。恐ろしい外傷体験により、神経の働きが繊細になると、過剰覚醒や驚愕反応、凍りつき、虚脱、不随意運動、チック、トゥレット症候群、ひきつけ、痙攣、頭痛、肩こり、吐き気など体に症状が現れます。

 

トラウマは痛ましい体験であり、それが体に刻み込まれると、重くて暗いものが深くに残ります。そして、胸の傷がうずく、胸が締めつけられるような痛み、胸が張り裂けるような痛み、心が痛む、心苦しい、身を切るような痛み、悲痛な、辛い、胸が痛い、胸が苦しい、心臓を鷲掴みされたかのような痛み、胸が圧迫されるような痛み、やりきれない、胸をえぐられるような痛みなどで表現されます。

 

体にトラウマが刻まれている人は、脅威を遠ざけようとする防衛が働くために、目や耳、鼻、顎、首、肩などは、危険を察知して、特定の方向に向き、外界の刺激に敏感です。無意識のうちに、体は緊張していくために、呼吸は浅く早く、心臓の鼓動は不安定で、嫌な気持ちにさせられます。嫌な刺激に対しては、筋肉が硬直するようになり、神経が圧迫されて、心臓がドキドキする、胸が痛む、息が出来なくなる、過呼吸になります。そして、不快な場面が続くと、闘争・逃走・凍りつき・虚脱の原始的モードにはまり込みやすくなります。

 

体の中は、外傷体験の時の不快な感覚、感情がたくさん詰まっています。理由もなく、自律神経の調整不全に陥り、一日のなかで気持ちの浮き沈みが激しく、憎しみや不安、焦り、苛立ち、テンション高め、麻痺などが出て、嫌なものを引きずります。頭の中で嫌な記憶が蘇ると、胸の辺りが苦しくなり、息がしづらくなって、過呼吸やフラッシュバックするかもしれません。また、急に胸がモヤモヤ、ザワザワ、ソワソワしたり、足元がムズムズ、ウズウズしたりして落ち着きがなくなり、様々な行動を再現するかもしれません。さらに、繰り返し襲ってくる恐れや怒り、戦慄、無力感、絶望の感情に苦しみます。

 

トラウマを負った人は、社会の方に合わせようとして、体の中の闘争・逃走反応と戦うようになり、凍りつき反応に恐怖して、体への不安が強くなると、心が体から離れていきます。自分の身体性が無くなってしまうと、自己感覚が喪失して、自分が自分で無くなり、時間感覚の障害、感情の鈍麻、集中力の低下、思考の混乱が起きます。トラウマティックな状態に固着し、過覚醒や凍りつき、虚脱状態で生活していると、体が捻じれたり、詰まったりして、神経や関節の節々が痛んで、筋肉が衰弱し、内臓や皮膚などに炎症を起こします。

 第6節.

発達早期のトラウマ


トラウマの影響を最も受けやすいのは、赤ん坊になります。発達早期に生きるか死ぬかの外傷体験を負った赤ん坊は、基本となるベースが出来上がっていないので、体は凍りつき、トラウマティックな防衛システムに乗っ取られます。赤ん坊の頃から、母親が視線を向けるものに目を向けなかったり、指差し呼応が無かったり、母親の後追いをしたり、抱っこを求めたりしないまま育つかもしれません。母親は、赤ん坊の様子を見て、育児ノイローゼになり、母子関係の愛着形成に問題が生じます。そして、早い時期からトラウマの影響を受けた子どもは、長年に渡ってトラウマが慢性化するため、精神疾患や身体疾患、自分の性格、対人関係に苦しむ人生になります。

 

トラウマの影響を最も受けやすいのは、赤ん坊になります。本人にトラウマの記憶はないかもしれませんが、身体のほうが記憶しています。特に、発達早期(母胎内、出産時、乳幼児期)に外傷体験を負った赤ん坊は、基本となるベースが出来上がっていないので、脳や身体がトラウマ後の防衛システムに乗っ取られます。

 

小さい頃にトラウマを負って、過緊張な状態で成長していく子は、アレルギー体質やアトピー、喘息、頭痛、腹痛、高熱、鼻炎、吐き気など体に症状が出ます。体がしんどいので、一人でいる時や何かしている時に、笑っていないとか楽しくなそうな表情をしています。周りの子と比べて、たんたんとしていたり、鬱陶しそうだったり、しかめっ面だったりして、そのときから物事の見方や感じ方がネガティブになり、成長した後もしんどさを抱えます。

 

発達早期のトラウマ(胎児期や周産期、出生時の医療措置の外傷体験)というのは、本人の記憶に全くないようなトラウマになります。本人にそのトラウマの記憶が無くても、体のほうがトラウマを記憶しているので、その人の体を見ていくことにより、トラウマを発見することが出来ます。トラウマを見るときは、体の痛みや凍りつき、詰まり、捻じれ、感覚の過敏さ、危険を察知する能力、頭の中の情報処理の仕方などを見ていくことになります。しかし、現在の精神医学では、身体の中に閉じ込められているトラウマを見ようとしないので、遺伝、環境が相互に影響を及ぼし、行動および情緒に問題があるとして、発達障害として診断されることになります。

 

出生前後にトラウマを負った子は、養育者に愛着を求めて、他者と交流しようとする神経だけでなく、脅威に反応して、生存を高めようとする神経が発達します。脅かされることが繰り返される状況では、その脅威を遠ざけようとする防衛的な部分が強化され、無意識化で闘争・逃走や凍りつき状態が続き、脳機能や自律神経系、ホルモンバランス、免疫系に調整不全が起きて、トラウマ症状は複雑化します。

 

発達早期のトラウマが根深くある人は、些細なことで興奮し、交感神経系に乗っ取られ、攻撃的なところがあります。一方、恐怖による麻痺や不動化があり、背側迷走神経が働くことで、体は凍りつきや死んだふりを行います。極限の状態では、交感神経系がシャットダウンして、現実感喪失や離人、虚脱など様々な経過を辿り、活動性が低下する解離症状がみられます。

 第7節.

PTSD・トラウマになりやすい人


PTSD・トラウマというのは、同じような出来事を体験しても、ショックを受けてトラウマになる人と、あまり恐怖を感じずにトラウマにならない人がいます。トラウマになりやすい人は、ショックをとても受けやすい体質のため、ショックな出来事を体験すると、そのことを思い出すことが怖くなり、トラウマの記憶を意識の外に追いやろうとします。一方、トラウマになりにくい人は、たとえショックなことがあっても、繰り返し思い出して、そのショックを自分の中で和らげることができます。

 

トラウマがある人は、ショックに弱くなり、人や音、振動、光などの刺激に敏感になります。また。ショックなことがあると、胸がザワザワ、心がヒヤリ、足がすくむ、体が崩れ落ちるなどの反応が出ます。些細な刺激でも、神経が繊細に反応し、筋肉が硬直し、血管が収縮して、体に過剰な反応(過剰警戒、過剰防衛)が現われます。脳は防衛的で、過覚醒や凍りつきなど心身に症状が現れ、そこからすぐに回復できません。また、環境の変化に敏感すぎて、ちょっとしたことでも体に生理的な反応が出ます。トラウマに苦しむ人は、心身が弱く、自らの身体感覚を非常に恐れるため、症状が悪化していきます。一方、トラウマにならない人は、ショックを受けにくく、たとえショックなことを受けても、すぐに回復する心身が強い人です。トラウマがある人と、トラウマがない人では、体の反応(自律神経の働き)が違うため、同じ出来事を体験しても、恐怖の感じ方は2-10倍くらい違います。

 

体にトラウマが刻まれている人は、背側迷走神経の凍りつき状態にロックされて、体の中の生理的混乱に恐怖するか、交感神経の闘争・逃走反応と戦うかして、自分の状態を調整できません。日常生活のなかで、ショックなことがあると、自律神経系や覚醒度の調整不全に陥り、ホルモンバランスが崩れて、体の症状が現れます。そして、体が回復する方向には向かわなくて、体に不調が出続け、ストレスが蓄積されていくと、うつやパニック発作、フラッシュバック、不眠、食欲不振などになります。また、体に疲労が蓄積されると、心に余裕がなくなり、気持ちがイライラして、負担を避けるような人生になります。最も酷い状態になると、体への不安と外の世界に過敏になり、自責や無力感、被害妄想、希死念慮に囚われて、動くことさえしんどくなります。

 

トラウマになりやすい人は、心身が弱く、神経発達に問題があったり、敏感すぎたり、緊張したりする体質の人です。こうした体の弱さは、遺伝的要因というよりも、早産、低体重児、子宮内ストレス、出産時の医療措置の影響、発達早期の外傷体験など、あまりにも早い時期に、命の危機などの脅かされる体験を既に負っていることから起きると考えられます。体が弱い人は、体力がなく、エネルギー量が少なく、体調のバイオリズムが激しいです。小さいときから、喘息や高熱、アトピー、頭痛、腹痛、吐き気、原因不明の身体症状に苦しんでいます。

 

次に、トラウマになりやすい人は、母親(もしくは父親)にトラウマや発達障害があり、成育環境が悪くて、親子関係にこじれが生じた状況で育ち、子ども時代にサポートしてもらえなかった人に見られます。命の危機を感じたときに、家族の誰かに助けを求めようとしましたが、その行動が取れず、闘争か逃走か、凍りつき反応を出すしかありませんでした。あとは、年齢が低い子ほど、体が小さく、筋肉量が少なくて、危険や脅威を感じた時には、息を止めて、心拍がスムーズに変動しなくて、交感神経のブレーキがかかり、不動化やシャットダウン、解離反応が起きるため、トラウマになります。

 

体の中にトラウマがある人でも、不快な状況で戦ったり逃げたりして、問題解決能力が高い人は、自分を守ることができます。一方で、危険を感じると石のように固まって動けなくなる人は、体の中に莫大なエネルギーを閉じ込めるために、体に症状が出て、ストレスへの対処能力が低くなり、危険に備えた生き方になります。自分が危害を加えられないか不安になり、自分のことよりも相手に意識が向いて、自分を守るために、首や肩、顎など全身に力が入ります。あとは、自己肯定感が高い人は、物事をポジティブに考えるため、トラウマ化しにくいです。自己肯定感が低い人は、認知がネガティブになり、トラウマ化します。

 

◎トラウマ化しやすい人は、

・自分を助けてくれる人がいない。

・体の不調が長引く。

・体に不安を感じてきた。

・全身が収縮する方向にある。

・緊張が強い。

・親の機嫌に振り回されてきた。

・他人の目が気になる。

・音や匂い、人の言葉、外の気配に過敏。

・頭で考えてから話す。

・行動が受動的。

・問題解決能力が低い。

・自己肯定感が低い。

 

◎トラウマにならない人は、

・自分を助けてくれる人がいた。

・体に不調があっても回復する。

・体に安心感がある。

・全身が収縮と拡張のリズムを刻む。

・リラックスする。

・親から愛情をもらう。

・人の目が気にならない。

・外の世界に興味・関心がある。

・心で思いついたことを話せる。

・行動が能動的。

・問題解決能力が高い。

・自己肯定感が高い。

 第8節.

トラウマと発達障害


発達障害の子は、複雑なトラウマを負うことが多いと思われます。と言うのも、彼らは、生まれ落ちた時から、神経発達に問題があり、通常の人とは感覚過敏や感覚処理が違っていて、外の世界のストレスに弱く、体が繊細に反応して、学校の集団場面で不適応になりやすいです。また、育てにくさから養育者との間でストレスが生じやすく、複合的なトラウマを抱えていることが多いです。

 

発達障害の子は、自分を取り巻く生活空間(家庭、学校、地域など)の全体がストレス過多になると、原因不明の身体症状が現れて、パニック、過集中、エネルギー切れ、解離、虚脱、うつ、フラッシュバック、悪夢、自己中心性、こだわり、感覚過敏がより強くなります。そして、トラウマを負って、傷ついている発達障害の子は、集団場面で空気が読めない、こだわりが強すぎる、身辺自立能力が乏しいために、教師に注意を受けたり、クラスメイトに馬鹿にされたりして、恥がトラウマになります。

 

トラウマの影響により、発達障害の子を4つのタイプに分けると

・積極奇異型・・・他者に積極的に接近し、相手の気持ちを考えることなく関わりタイプ

・尊大型・・・自分の思うようにいかないとキレて暴れるタイプ

・孤立型・・・周囲に関心が薄く、コミュニケーションが取れないタイプ

・受動型・・・受け身的で、人の命令に従ったり周りに流されたりするタイプ

 

ちなみに、発達障害とは、脳の気質的・機能的問題があり、心と身体がアンバランスに成長し、現在、学校や職場などで不適応行動があると診断されます。しかし、発達障害の原因が解明されきっていないのが現状で、発達障害の診断は、あくまで投薬治療につなげたり、特別支援などの教育・行政サ-ビスを得るためだったり、当事者や家族が診断によって自己理解を進めて生活上の問題に対処できるようにするためだったりします。

 

長年にわたるトラウマ犠牲者に対して、適切な支援を行うには、複雑性PTSDや解離性障害、統合失調症、双極性障害、自己愛性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害、摂食障害などのベースに発達障害があるかどうかを見極めることが重要になります。しかし、実際には、発達障害がベースにあることが見逃されたり、発達障害と虐待や、発達障害と発達早期のトラウマの後遺症による症状の区別をつけるのは難しいと言われています。

 

それは、機能不全家庭(虐待またはネグレクト)で育った人や発達早期にトラウマを負った人でも、健全な発達が必然的に妨げられてしまい、健全に成長していく機会がほとんど与えられないため、発達障害の子どもと同じく発達のばらつきが出てしまうからです。そのため、発達障害とトラウマの概念は、双方ともにあいまいさを残しており、現在の生きにくさは、環境要因と生物学的要因が相互に複雑に絡み合っていると考えたほうが良いでしょう。

 第9節.

トラウマを扱うことの難しさ


トラウマを扱うことの難しさは、トラウマを負って苦痛に悶えて、危機感が強い人たちがマイノリティだからです。トラウマを負っている人は、トラウマ体験を思い出すと、身体に症状が出て、とても辛くなるので、できれば無かったことにしておきたいとか、そっとしておいてほしいと思います。そのため、トラウマを思い出すことを避けたり、トラウマを語ることに抵抗があります。抵抗を乗り越えて、自分の辛い体験を話しても、分かってもらえないことが続くと、二重に苦しんで、そのことについて話さなくなります。

 

また、一般の人も、ある人がトラウマに苦しんでいるという現実を実際には気が付いているけども、見ていなかったように振る舞い、生活全般や社会を回そうとします。それに加えて、トラウマの経験がなく、心身が丈夫な人は、そもそもトラウマの存在自体に気づくことなく、他人がそれに苦しんでいることを想像することさえも難しい状況がみられます。この世の中の大多数の人は、体が丈夫な人達であり、ショックから立ち直ることができないくらい体が弱くて、ネガティブな見方しかできない人のことを理解できません。だからこのようにトラウマというのは、それを実際に経験した人以外には理解するのが難しい現象です。

 

また、どうトラウマを捉えるかは、その人の脳の状態によって異なります。例えば、トラウマを抱えている人の苦悩を見ると、自分のことのように共感的に考えられる人もいますが、その一方で、痛ましいトラウマを見ることで、感情に圧倒され、扁桃体が刺激されることで、そのトラウマが自分にまで降りかかるのではないかと恐れる人がいます。

 

臨床場面では、トラウマという問題を慎重に見ていかなければなりません。親がとにかく酷いという患者さんの味方になり、一緒に怒って、親を悪者のように扱うことが良いかどうかは難しいところです。トラウマ症状に苦しんでいる人は、環境に問題がある場合以外にも、その人の体が弱いためにそうなっている場合があります。物心ついた頃には、心臓が圧迫される痛みに襲われたり、緊張しすぎて気持ち悪くなったり、ストレスを感じて皮膚が痒くなったりする人は、自分の体の不快感を自分のものとして思うより、外の世界の他者に原因を求めます。そのため、トラウマが体に刻み込まれているけども、親の養育態度でそうなったのか、もしくは困難な出産や医療措置の影響、母親の胎内のなかで外傷を負ってしまったのかなど、丁寧に見ていく必要があります。

 

性暴力被害者や被虐待者は、医療領域の精神科医や心理士、教育現場の先生と相性があまりよくありません。彼らは専門家ですが、トラウマの影響があるかないかを見るための知識や理解が不足しており、そのようなことを学ぶ教育システムが現在のところありません。精神科医は、診察時間が短いために、今の症状に着目し、脳のメカニズムに原因を探り、その人の過去の出来事やこころの中まで見ようとはしません。一方、心理士は、個人のこころや発達に問題があると見立ててしまうために、その人の苦痛や身体的問題までに注意が向けれなくて、さらには、その人を取り巻く生活環境を軽視することがあります。また、学校の先生は、子どもの心や身体のことまで見ていく余裕がなく、安易に発達障害やその子の未熟さに原因を求めたりします。

 第10節.

トラウマの理解と今後


トラウマへの理解は、人それぞれの正義感や脳の仕組み、体の状態、成育環境の違いにより、いつの時代も分裂しています。最先端と言われるアメリカの精神医学の領域でも、トラウマへの理解は不十分なままです。日本では、戦後のトラウマの世代間伝達など、誰も語ってこなかったし、高度経済成長に浮かれまくって、人間の痛みの部分は見てみないふりをしてきました。

 

トラウマの概念は、社会内の権力の変化と共に流行り、衰退しを繰り返しています。現在の医療現場では、科学的根拠(エビデンス)が求められており、子供の頃の虐待やいじめ、親子間のストレス、医療ミス、戦争、自然災害、事故、重い病気、社会環境などの複雑に絡み合ったトラウマが原因で現在の精神疾患や身体疾患になっていると証明することが難しいために、トラウマは過小評価されています。しかし、最近では、科学の発展が凄まじく、小児期の逆境体験(トラウマ)を繰り返し直面するとその人の寿命をおよそ5年から20年ほど縮めてしまうという衝撃的な相関関係が明らかにされてきてます。ACE研究から、小児期の逆境的な体験を与える影響は、心の傷という曖昧なものでなく、子どもの神経系、免疫系、内分泌系へのダメージとして生物学的及び臨床的見地から示してくれています。

 

このようにトラウマを専門に扱う臨床家は、トラウマを負った人のこころー身体ー社会の繋がりを重視し、進化生物学や神経科学の新しい知見を取り入れながら、複雑な環境要因にまで目を配ります。トラウマというのは、個人のこころや発達の問題だけでなく、国家や社会、学校教育、家庭など環境側に多くの問題があるということを伝えています。

 

ちなみに、トラウマを見立てるというのは、トラウマを受けた人の主観的世界がどのようなプロセスで起きているのか、体と心の状態を見ていき、この世界の豊かさや残酷さ、いい加減さを使って説明していくことです。これから先の時代は、リベラル派(弱者への再配分、危害を加えられた人へのケアを重視)が衰退し、世界的に保守化や市場主義化が進んでいて、格差社会になっていくと思われます。一部の富裕層が富を独占し、大多数の人の心と体が蝕まれ、貧困は、治安の悪化、虐待やDVの蔓延、親子間の世代間伝達トラウマにはまり込んでいくでしょう。

 

今からでもトラウマを勉強されたい方は、ベッセル・ヴァン・デア・コークの著書「身体はトラウマを記憶する」、ピーター・ラヴィーンの著書「身体に閉じ込められたトラウマ」をおすすめします。また、トラウマを知るためには、トラウマの専門書のみならず、虐待などの被害を受けた当事者の言葉や、インターネットを丹念に調べていくことで真実に近づくことができると思います。

 

トラウマケアこころのえ相談室

更新:2020-05-23

論考 井上陽平

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