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身体表現性障害と転換性障害


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▶解離性の身体症状(身体表現性障害と転換性障害)

 

解離性の身体症状は、転換性障害とも言われていて、身体表現性障害のなかに分類されています。ちなみに身体表現性障害は、転換性障害、心気症、身体醜形障害、疼痛性障害があります。この原因不明の身体症状は、神経学的検査によって説明のできない神経症状を示し、ストレスの多い出来事の後に、パニック、けいれん、失声、聞こえない、視野狭窄、不動、麻痺、震え、歩行困難、疼痛、痒み、不快感などを示します。これら、長期に渡り、トラウマ的出来事の影響を受けて、慢性的な過緊張や凍りつき状態が続き、葛藤や目の前のストレスが心と身体の筋肉や皮膚、内臓、関節に相互作用して、自律神経系、内分泌系、免疫系の乱れから起こりますが、医学的には説明できず、原因となる身体の異常が見当たらないのが特徴です。このような身体症状は、男性よりも女性にはるかに多く、様々な外傷体験のときに、闘争・逃走反応を失敗して、反撃しないで、自分の身を守るために、ギュッと身体を丸めて、凍りつかせるか、死んだふりで対処している人に起きると考えられます。ただ、日常生活の困難に対して、このような防衛スタイルを続けていくと、身体の凍りつき(ガチガチに固まり、力が入っている)や麻痺(感覚や感情が分からない)、虚脱(身体が伸び切って力が入らない)が慢性化していって、筋肉が落ちて、心臓の働きや血液の巡りが悪くなり、酸素不足で、身体が衰弱します。そして、トラウマというな莫大なエネルギーが神経系に滞り、心と身体が別々になり、機能低下が起きて、のちに他種多様な原因不明の身体症状を引き起こします。

 

身体表現性の症状で苦しむ前は、普通に暮らすことができましたが、様々なトラウマ体験や原因不明の身体症状により、いつの間にか、本当の自分はどこかいってしまって、記憶があいまいで、自分が一体何者なのか分からなくなっています。生活全般のあらゆることや人と関わるあらゆることがトラウマのトリガーになっており、身体はこわばっていて、人から傷つけられるのではないかという恐怖があり、過去に酷い体験をしていることが多いです。長期間にわたって、警戒態勢を敷き、脅威を遠ざけようとする防衛が働いているため、目を凝らし、聞き耳を立て、身体は身構えています。また、次に何かが起きても大丈夫なように、物事をネガティブに考えるようになります。そして、苦手な人を目の前にすると、足はすくみ、身体はこわばり、眉間にしわが寄り、汗をかき、自分を守ろうとして、肩は上がっていき、口を必要以上に固く閉じて、歯を食いしばり、目に力が入り、首や肩、背中はバキバキに固まり、拳を握りしめます。普段から、葛藤を抱えることが難しい状態にあり、自分の感情を抑制していますが、困難な状況への対処がうまくいかず、不安に圧し潰されそうな状態です。酷い恐怖と不安にすくみ、怖くて縮こまって生活していますが、恐怖が迫ってくると、硬直した身体が収縮しきれなくなって、自己が崩壊しそうになります。そして、凍りついた身体から離れていく、機能停止する、解離する、意識が飛ぶ、力が入らなくなる、戦いに行く、逃げ出すなど、トラウマを負う人の心と身体は特殊な状態になります。身体には様々が症状が出て、神経の痛み、心拍変動、血の気が引く、めまい、ふらつき、頭の中が真っ白、声が出ない、チック、耳鳴り、蕁麻疹、驚愕反応、動きづらい、凍りつき、虚脱、フラッシュバック、パニック、過呼吸が起きたりします。このようにトラウマが身体に刻み込まれた人は、怖がりな性格になり、あらゆる外側の刺激に対して、過敏に反応して、交感神経系を活性化させますが、すぐにブレーキがかかります。そして、背側迷走神経のほうが過剰になり、低覚醒状態になるため、注意や集中に問題や、頭の中の働きが鈍くなっていくかもしれません。身体の体型としては、顔(目や口、表情)から首、胸、背中にかけて引き締まり、手足の筋肉は脱力していて、胃腸の消化器の活動性が上がっているため、痩せ型の方が多いです。

 

体調不良としては、腹痛、下痢、吐き気、めまい、立ちくらみ、頭痛、肩こり、痒み、喉の渇き、頻尿などがあります。過去の嫌な記憶が蘇ったり、ストレスがかかる場面では、首や肩に力が入り、喉が詰まっているように感じて、息がしづらく、頭や胸は締めつけられるように苦しく、背中はギュッと縮こまり、お腹はピリピリとした痛みがあって、理由もなく涙が出るかもしれません。また、恐ろしい体験をした人は、それ以後、目の焦点が合わなくなり、目の奥の神経が引っ張られて、眼球上転(白目を向く)が起きることもあります。このように頭、目、口、鼻、耳、顎、首、肩、胸、背中、お腹、手、足のなかで、トラウマに曝された部分は硬直から固まっていて、人との交流がうまくいかなくなります。身体感覚が掴めなくて、意識の水準が低下すると、頭の中もはっきりしなくなって、半分眠ったような状態になり、手足に力が入らず、ジンジンと痺れることもあります。手足で体を支えられなくなると、首や肩、背中あたりが硬くなり、動かしづらく、すぐに疲れてしまって、自分の胴体と手足が繋がっていない感覚がある人もいます。解離症状がある人は、身体が凍りついた状態にあるか、極度に脱力した状態にあり、自分の身体に注意を向けても、強い眠気が襲ってくるか、集中出来なくなるか、注意散漫になるか、別の事を始めるか、思考に注意が向きます。自分の身体の感覚が麻痺すると、ストレスの感じ方が分からなくなり、自分の気持ちもうまく伝えられなくなり、生活全般を無理にこなしている場合もあるので、全身に負荷がかかっています。健常者の人たちと同じように無理を続けていると、ストレスや不快感が様々な症状に直結していき、やがて痛みで凍りついた身体か、虚脱して体力がなく、機能低下した身体になります。そして、ストレスと戦えなくなると、脳や皮膚、気管支、消化器は炎症を引き起こし、関節は痛み、体が冷たく固まります。その結果、自己免疫疾患や線維筋痛症、慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、顎関節症などに罹りやすくなります。これは、彼らの性格が真面目で完璧主義でストイックな一面があり、身体が重荷になっていても、心と身体が一致しなくて、感覚が麻痺しているので、疲労に気づけなかったりします。また、外界の脅威に対して、原始的な神経が働き、生理現象に混乱が生じるため、自分の身体に留まることが難しく、自然治癒力が発揮されない状態になっています。さらに、身体の中には、トラウマという莫大なエネルギーを閉じ込めているため、じっとしていることが難しく、日中何かをし続けないと落ち着かないかもしれません。

 

トラウマの解離症状がある人は、無意識のうちに人から傷つけられるのではなかという恐怖があるため、学校社会の集団場面での交わりが苦手になり、身体が疲れやすく、自分を守ろうとして、身体に力が入っていて、生きている実感に乏しくなります。彼らは、身体が弱く、体力がなく、息がしづらく、声が出にくく、身体の中に不安があり、海の中を歩いているイメージや、水の中でもがき苦しみ溺れるようなイメージが出てきます。一方、頭はいつも青い空の中にいるイメージが出てきます。子どもの頃から、緊張が強くて、息を止めるのが当たり前で、酸素が足りなくて、金魚鉢のなかで泳いでいる金魚(人間)のような世界の中で生きており、解離して、壁の向こう側の世界に飛んでいきます。これは、金魚が水中から顔を出し、口をパクパクさせて呼吸している感じに近く、魚類に由来する背側迷走神経の働きの方が、ほ乳類のみの腹側迷走神経の働きより優位になっているからです。つまり、筋肉が緊張しすぎて、体が凍りついているために、社会交流システムを司る神経の働きが働かず、喉や気管支が縮まり、目、鼻、口、耳、頬、胸、肺で活動しようとしても、動かしづらいです。また、交感神経にブレーキがかかる状態が続くと、心臓の働きが弱くなり、筋肉を動かせなくなり、意識がぼーっとして、呼吸がしづらいとか、声が出ないとか、耳が聞こえない、めまい、力が入らない、喉が渇く、動けないなどの状態になることがあります。子どもの頃から、喘息やアトピー、高熱、頭痛、胃痛など原因不明の身体症状から逃れられず、解離の低覚醒状態が続くと、閉じ込められた場所から飛び出したいと思っているのに、抜け出ることができません。自分を覆うヴェールの中にいて、この世界の見え方が灰色なのか色が薄く、皆と同じことがしたいのに、神経の働きのせいですぐ動けなくなり、自動的に身体に制限がかかります。また、頭の働きも鈍くなり、考えがまとまらず、手足も不器用で作業がしづらい状態にあります。生活全般においてストレスや緊張が高まる場面では、頭の中がフリーズして、声が出ない、何も考えられない、話がまとまらない、感覚も分からない、集中できない、注意散漫、よく物を落とすなどの症状があるかしれません。解離性の身体症状を持つ人は、子どもの頃から、驚いたり、動けなくなったり、目の前が真っ白になったりして、皆に置いて行かれるようになり、いつもひとりぼっちで、普通の幸せがなかなか望めなくなるかもしれません。

 

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トラウマケア専門こころのえ相談室 

論考 井上陽平