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アレキシサイミア・失感情症


アレキシサイミア(失感情症)や離人症、解離性症状、抑うつ症状がある人は、子どもの頃から困難な人生を生きており、良くないことが起きてしまう度に、なんとかしようと頑張ってきましたが、それがいつも失望に終わっていました。そして、人生に行き詰まっていて、息苦しさ、胸部の圧迫、めまい、ふらつき、腹痛、頭痛、吐き気、脱力、朝起きれないなどで身動きがとれなくなり、いつからか檻に閉じ込められて、出口のない迷路を彷徨ってきました。

 

彼らは、大人たちの身勝手な言動に苦しめられており、自分の話を聞いてもらえませんでした。恐怖や警戒心から、身体は常に過緊張や凍りついた状態が続いて疲れていますが、そういうのは当たり前で、我慢している感覚もなく、自分の感情や欲求や思いまでもすべて飲み込むしかありませんでした。そうしていたら、いつの間にか、嬉しいとか楽しいとか悲しみの感情が分からなくなり、さらに自分の感覚すら分からなくなっていきました。

 

家庭や学校社会の中では、目立たないように、息をひそめて、何かに怯えながら、周りの人に合わせてきましたが、いつの間にか、自分を失くして、空想世界の中に閉じこもるようになります。そして、逃げ出すこともできなくて、適応のための怒りも表現できないまま、どうしていいか分からなくなると、不安や絶望の方が近づいてきて、胸の奥が硬くなり、そこから痛みが出て、息苦しくて、意識が飛んでしまうようなパニックに陥ります。その時は、過呼吸が起きたり、呼吸がほとんど出来なくなったり、手足が痺れたり、頭が真っ白になったり、言葉が出なかったり、動けなくなってしまって、その後、自分がどういうことをしたかも覚えていないという、途方に暮れる人生を歩んでいます。

 

このアレキシサイミア状態にある人は、自分の感情を表す言葉が持てなくて、感じていることを表現できません。さらに症状が重たくなると、現実感が無くなる離人感・現実感喪失症が起こります。その状態が続くと、私は人間であるという感じが無くなり、生きているか生きていないかも分からなくなることがあります。

 

彼らの家庭や学校社会の生活空間は、慢性的なストレスと緊張状態にあり、ある種の限界を超えていて、我慢できなくなり、イライラしたり、死ぬほど怖かったり、やる気が出なくなったりしますが、泣くことで、なんとか自分らしさを保ってきました。周囲には、強いふり、明るいふり、まともな人間のふりをして、その場に適応するために、自分の感情を抑え込んできて、無意識のうちに明るく元気に振る舞ってきました。

 

その一方で、憂うつな気分にとらわれ、物事を悲観的に考え、無気力で挫折感を抱いていて、呼吸がしにくく、胸が締めつけられ、辛くて、苦しくて、本当の自分は疲れ切っています。そして、気分が落ち込んでいるときは、部屋に閉じこもり、自分を悲劇のヒロインみたいな想像をして、誰かに守ってもらうような空想を展開し、ひとりで涙に暮れて、深く深く悲しむことで自分を慰めるしかありませんでした。しかし、本当の自分は何で泣いているかも分からなくて、何もないのに泣いています。また、自分の本当の感情に触れてしまうと、戸惑ったり、苦しくなったり、感情の持って行き場がわからなくなったりして、涙が止まらなくなります。

 

疲れ果てた後に、頭の中で考えることは、この世に存在しなければよかったとか、どうしようもない現実への絶望感とか、自分は何のために生きてるんだろうとか、得たいの知れない自分はいったい何者なんだろうと考えています。やがて、子どもの頃からの様々な葛藤や痛みが感じられなくなり、安全で保護的な避難場所が作られていきますが、そこも憂鬱な空想が広がる不毛な場所に変わります。偽りの自分は、外の世界で嬉しそうなふりをするけど、心の中の本当の自分は、笑わなくなり、誰とも喋らず、誰にも近づかず、反応しなくなります。

 

彼らは苦しみから抜け出して、外の世界の人々と繋がりたいとか、病気から良くなりたいとか、幸福や喜びを願っても、同時に、またひどい目に遭わされるに決まっているという否定的な感情から抜け出すことができません。そして、自分を理解してくれて、距離を近づけてくれる人が現れると、未来を期待し、情緒的な関係を持ち、無防備になりますが、トラウマ後のこころと身体内部の防衛が過剰になります。

 

彼らは、情緒的な関係を持ったその日に、悪夢にうなされ、吐き気やめまい、頭痛、腹痛、麻痺で体が動けなくなるなどして、人間不信が露わになります。彼らは、感情が揺さぶられ、二人の距離が近くなればなるほど、後戻りができなくなることを心配し、逃げられなくなる状況に恐怖します。不安に支配されると、胸が苦しくなり、涙が出てきて、呼吸がおかしくなります。そのため、良くなることや希望を持つこと、変わろうとすることに対して、絶望に立たされたように感じて、逃げ出したくなるとか、辛辣になるとか、自分が自分で無くなるとか、諦めるように条件付けられていて無意識のうちに抵抗します。つまり、身体の原始的なレベルでは今だ自分が安全な場所にいることを理解できていません。

 

こころと身体内部は、原始的な防衛システムが延々と作動しており、闘争や逃走、凍りつきや死んだふりの不動状態のときに生じた未完了なエネルギーが残っています。そして、解離症状や離人症により、感覚情報の断片化や自己感覚の麻痺、不動化などで、他者から良い刺激を受け取る力も失われていて、人生の方向性を見失います。悲しんで落ち込んでいる状態が当たり前になると、何事にも興味が持てなくなり、現実の人に関心が無くなります。

アレキシサイミアのチェック項目


①心と身体が繋がっていない。

②感情が鈍麻している。

③身体の感覚が麻痺している。

④神経が繊細で打たれ弱い。

⑤想定外のストレスに弱い。

⑥体調が悪くなりやすく、疲労感が強い。

⑦日中動けなくなる時がある。

⑧悪夢を見たり、睡眠不足が続いている。

⑨頭の中がぼんやりしている。

⑩空想に耽る傾向がある。

⑪集団場面や人混みが苦手である。

⑫内向的な性格である。

⑬寂しさが募る。

⑭恥をかくことが怖い。

⑮怒られたり、非難されることが怖い。

⑯過去のことを振り返って考えている。

⑰失敗しないように、常に先回りしている。

⑱大人のふりをしているけど、実は子ども。

⑲人の視線が怖く、目立たないようにしてきた。

⑳機能不全家庭で育ち、親子関係に問題がある。

㉑自分は傷つけられた被害者のように見ている。

㉒泣くことで自分を慰めて、自分を保つ。

㉓なぜ自分が泣いているか分からない。

㉔自分で自分を満たすことができない。

㉔他人を使って自分を満たし依存傾向がある。

㉖自分という存在が空っぽ。

㉗仕事や役割があれば自分の内面を見なくて済む。

㉘すべき思考で、やらなきゃいけないことをしている。

㉙誰かいないとどうしていいか分からなくなる。

㉚身体が凍りつきやすい。

㉛頭の中がフリーズしやすい。

㉜息をひそめて、じっとしている。

㉝自律神経系に挑戦不全がある。

㉞早い時期に何かトラウマを抱えている。

㉟発達障害の傾向があるかもしれない。

㊱好きなことや趣味が見つかりにくい。

㊲リラックスの仕方が分からない。

㊳のんびりゆっくりできない。

㊴真っ暗にして一人の世界に閉じこもることが安心。

㊵今まで安心できる居場所がなかった。

㊶希死念慮がある。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

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