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境界性パーソナリティ障害チェック


境界性パーソナリティ障害の人は、複雑性PTSDのような症状に似ていますが、幼少期に虐待を受けていたり、性被害にあったりなど致命傷を負っているかもしれません。虐待を受けた子どもは、形だけの家族の中で育ち、親の関心の無さ、ネガティブな感情を向けられ、食事を減らされ、意地悪されて、その度に、親の視線が言葉が体にダイレクトに突き刺さり、元気を無くします。家族という本来ならば楽しい時間のはずが、虐待を受けてる子供には最も辛い時間になります。そして、希望が失われて、生きる気力がなくなると、憂鬱で息を吸うことさえ苦しく感じます。だからこそ、彼らは、愛情に飢えています。大人になったときに、信じてもよさそうな人を見つけるとしがみつき行動が激しくなり、見捨てられる不安に怯えます。

 

幼少時代から、逆境体験が多く、慢性化したトラウマの影響から、社会の中で交流するための脳が育たず、脅威に反応するための脳が発達します。生活全般において、脅かされる状況が続くと、身体は縮こまり、筋肉や血管は収縮し、酸素不足で、血の流れが悪くなり、脳内(扁桃体の興奮、海馬の萎縮、前頭前皮質の変化など)の器質的変化をもたらします。また、身体は命の危機に瀕した経験を記憶していて、自律神経系や免疫システムは調整不全に陥り、その人個人を特徴づけている行動や考え方、知覚の在り方にダメージを与えます。また、子どもから大人になるまでの発達的変化の過程で形成されていく人格構造に欠陥をもたらし、全ての人生に悪影響します。複数のトラウマによって形成される人格の障害としては、境界性パーソナリティ障害が知られています。

 

境界性パーソナリティ障害は、異性関係や職場の人間関係でトラブルを繰り返します。この心の病のキーワードは、人間関係のトラブル、見捨てられ不安、しがみつき、自傷行為、過食嘔吐、情緒不安定、白黒思考、空虚、児童虐待、母子関係、性虐待、性被害、発達障害、早期トラウマなどが挙げられます。歴史的に見ると、もともとは神経症だと思って治療していたのにも関わらず、良くなるどころか徐々に治療関係が破綻していくため、神経症と精神病の境界にある病気とされました。現在では独立した病気として位置づけられ、ボーダーラインから境界性パーソナリティ障害として呼ばれています。この心の病の背景としては、マスターソンの母子関係、ハーマンの複雑性PTSD、生得的な発達のアンバランスさ、神経発達の症状、トラウマが与える脳の器質的変化、機能異常、自律神経系の調整不全などが挙げられます。予後としては、40歳頃になると徐々に落ち着いてくるという楽観的な意見もありますが、慢性疼痛や慢性疲労、慢性疾患など身体症状がきつくなる場合があります。

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境界性パーソナリティ障害のチェック40項目


ここでは、境界性パーソナリティ障害に見られる特徴をまとめています。境界性パーソナリティ障害は、子どもの頃から、劣悪な環境で育ち、神経発達が阻害されていることが多いです。特徴としては、痛みを感じやすいことから、被害者意識が強く、心の底から相手が悪いと思っているかもしれません。外界の刺激(快か不快)によっては、交感神経や原始的な神経(背側迷走神経)の働きが切り替わり、心身の状態や覚醒度が変わって、自分の状態も変わってしまいます。些細なことでも、ひどく傷ついて、落ち込むために、感情の起伏が激しくなります。普段から、落ち着かなくて、常に不安定な状態に置かれており、いつも虚しくて、自分の中身が空っぽで、私が私でなくなりそうな不安があり、一貫性を保てません。パートナーの存在は絶大で、不安定になりながらも、必死にしがみついて、自分の凍った体を溶かします。

1)メンタライズ機能の低下


境界性パーソナリティ障害は、被虐体験やいじめ被害、性被害などにより、フラッシュバックや恐怖状態、身体症状、被害感情、疲労が強くなると心の余裕が無くなります。心の余裕が無い状態では、他者の行動から、他者の内面を想像したり、推測したりが難しくなり、自分自身を外側から見ることが出来ず、ネガティブな考えがグルグル回ります。そして、相手の気持ちを理解したり、相手に合わせることが難しくなり、合わせようとしても疲れてしまいます。

2)愛着対象への見捨てられ不安


境界性パーソナリティ障害は、人間不信がベースにあり、好意を向けてくれる対象に対して、攻撃としがみつき(嫌い/行かないで)があり、安全100%を求めています。基本的に、好意をもたれても、いつ居なくなるのかを心配し、実際にあるいは想像上の見捨てられに伴う不安があります。彼らは、行動や気持ちのコントロールが難しく、情緒不安定なので、攻撃したり、しがみついたり、試し行動したりと、相手とぶつかり合う緊密な関係性になります。不快な状況に置かれた場合は、他者にしがみつき、問題解決してもらうことで、自分の気持ちを楽にします。一方、怒りや試し行為で、関係を壊してしまったときはパニックになります。また、一人になると、不安、焦り、恐怖、寂しさ、孤独、苛立ち、興奮、麻痺、空虚などが入り混じって、混乱していくため、何かに依存しないと心のバランスを保てません。一人きりになると心細くなり、発作が起きる不安や、自分が自分で無くなるような不安から、誰かにしがみつきたくなって、友人や同僚に何度も電話をかけるなどの行動を取ります。パートナーには依存して、四六時中、自分だけを見てほしいと思っています。

3)過覚醒状態


境界性パーソナリティ障害は、脅かされる状況が続くと、過覚醒状態(興奮しているとき)になり、前頭葉の実行機能が十分に機能しなくなります。過覚醒のときは、気持ちが落ち着かず、周囲が見えなくなり、リスクを考えずに無計画な行動を取るため、破滅に向かって突き進むことがあります。また、感情が鎮まらず、悶々として、能力の限界に対する認識を欠き、理性的な判断を求めても難しいと言われています。その一方、実際にリスクや脅威に曝された時は、過敏に反応して、怖くてどうしようもなくなり、解離や不動反応が生じるかもしれません。

4)衝動的行動と抑うつ


境界性パーソナリティ障害は、過覚醒になると、目の前の刺激に対して、身体がその場その場で反応して、リスクを考えずに衝動的な行動をとります。特に、逃げ場のない状況に追い込まれて、切迫感や感情的な苦痛が高まると、居ても立っても居られなくなり、その場に凍りつくか、多動になります。さらに、不快すぎる状況から逃れられない場合は、何とか問題解決をするために行動を取りますが、解決する術がないと、胸が痛くて、息苦しくなり、気が狂いそうで、まともに動けず、自分が消えていくような体験をします。このような場面では、自分を落ち着かせるために、過食、浪費、自傷、暴力、暴言、多量服薬、しがみつきなどの危険で、損失が生じることを行うかもしれません。その一方で、自分の手に負えなくなり、感情に振り回されて、何度も失敗を繰り返してしまうと、自分を嫌悪して恥じて、みじめな、おちた(抑うつ)状態になります。

5)断片化した自己と情緒不安定


境界性パーソナリティ障害は、自分でありながら、自分に属しているとは感じられない思考や感情があるような状態で過ごしています。そして、意味もなく怒りが沸いて来たり、訳もなく悲しかったりと感情をコントロールできないことに悩んでいて、私が私でなくなることを恐れています。なかには、自分の中の悪魔(トラウマの犠牲者の内的世界では、自我を攻撃し虐待する残忍な人格化が見られる)が暴れ出すことを恐れており、自己破壊恐怖がある人もいます。一方、身体の状態が元に戻り、機嫌が良くなると、ニコニコした表情で近づいてきます。普段から、気分の浮き沈みが激しく、感情のジェットコースターで、人を巻き込んで疲弊します。

6)自己と対象の分裂


境界性パーソナリティ障害は、子どもの頃から、人間のずるさや欲を見てきて、その部分が非常に嫌で、神経質になっています。人間のそんな一面が怖く、自分の中のネガティブな面を受け入れることができず、純粋であろうとします。彼らは、解離した情動的トラウマを持っており、それが原因で生じる激烈な感情状態や、生理的混乱から生じる身体症状を最も悪いものだと経験しています。そして、頭の中は、敵か味方かの二極思考で、自己と対象を分裂させる防衛が働いており、自己と他者の肯定的特質と否定的性質の両方をあわせ、現実的に全体として捉えることに失敗していきます。現実世界の辛すぎる痛みは、分裂排除されていき、過剰な自意識/自己嫌悪、精神/身体、善/罪悪、生/死、成熟/未熟、高慢/従順、純潔/不潔といった二分法の中に確かさを求めて、自己と対象の否定的性質から自分を守ります。例えば、過剰な自意識が自己の嫌悪する身体に鞭を打ったり、純潔さを守ろうとして欲望を隠したり、根底にある醜い自分を軽蔑したり、自分を過度に責めたり、他者の悪い部分を批判したりが起きます。

7)大きな矛盾と葛藤による行動化


ある人のせいで自分の人生を台無しにされたという意識と、自分の人生は報われていないという意識が根本にあります。そして、過去の後悔や自責感、怒り、虚しさに飲み込まれて「憎くてたまらない気持ちと、どうしても許せないけど、でも許したいという気持ち」など、大きな矛盾と複雑な葛藤を抱えています。普段は、他のことをすることで意識をずらして考えないようにしていますが、思い出すと、交感神経が興奮し、投げやりな態度で大切な人に当たったり、引きこもったり、負の連鎖に引きずり込まれて、我を見失い、思いがけない行動に走ってしまうこともあります。

8)物事の見方


曖昧な状況や不確かな人生に耐えることが難しく、こころで思ったことがそのまま現実であるかのようにこの世界を体験しています。脅かされる状況が続くと、合理的な思考が働かなくなり、感情に支配されて、妄想的で自他の区別がつかなくなります。また、両極端な考え方に陥り、物事の見方が固定化されます。自分が信じている世界がすべてなので、他者の感情や要求を認識する能力に問題が出ます。

9)理想化と脱価値化


生きるか死ぬかモードのなか、いつも必死に生きているため、冗談が通じず、言葉通りそのまま受け取る傾向があります。基本的に不信感が強いですが、と同時に、好きな相手のことはすぐに理想化し、献身的に接し、信じやすいところがあります。しかし、美しい面に価値を置く彼らは、理想が高いために、多少の努力では認めないところがあります。相手が上辺の言葉ばかりで、行動が伴っていなかったり、相手の反応が自分の思ったものと違ったりすると、胸がざわついて、凄く不快な気持ちになり、相手を脱価値化させます。

10)誰にも分かってもらえない


複雑なトラウマを受けた人は、子どもの頃から、身体が弱かったり、様々なところが痛かったり、発作が起きたりして、恐怖に怯えてきました。些細なことでも、身体がこわばり、圧し潰されるような痛みを感じ、その痛みを誰にも分かってもらえないと感じています。また、解離傾向が強い人は、身体感覚や時間感覚、感情が分からないなかで育っていることが多く、感じ方や思考パターンが普通の人とは違います。そのため、自分が普通の人とは何か違っていることに思い悩みます。そして、大切な人に対して、自分の気持ちを分かってほしいと訴えますが、自分のことを分かってもらえないことに悲しみます。

11)動かしがたい他者との関係


脅かされる状況が続き、過覚醒になり、寝不足で体調が悪くなると、自己感覚が麻痺していき、自他の境界が曖昧になって、自分と他者が別のものであるということが理解しづらくなります。相手の感情がもろに入ってきたり、自分が相手の気持ちに深く入ったりします。一般的に、自分の思った通りに進むと、気持ちが楽になりますが、自分の思った通りにいかないと、落ち着かなくなり、イライラします。恋人とは、ずっと一緒にいたくて、自分の居場所になり、その大切な人から必要とされることが心地良いと感じます。その一方、恋人から見捨てられることを恐れるあまりに、相手の選択肢をどんどんと奪うようになるかもしれません。彼らは、現実的に難しいことでも何とかしてほしいと思い、対象を求める質が極端になります。

12)人間関係に敏感でトラブルメーカー


人間関係において、相手の表情、言葉、仕草に敏感で、人との距離の取り方に問題があり、上手に立ち振る舞うことができません。人に嫌われることや自分が脅かされることへの不安が強く、とても傷つきやすい状態にあり、感情のコントロールが難しいことが特徴です。一般に、相手に期待して、安心させてくれることを望んでいますが、安心させてくれない相手が悪いという気持ちになり、試し行動をとったり、他人を操作したりして、周りを巻き込んでトラブルメーカーになります。そのため、社会への適応が難しく、対人関係がうまくいかないことが続き、人を疑って見るようになります。また、周りの人が悪いことをしていると考えている部分と、人間関係を壊している自分に嫌悪している部分があります。

13)白黒思考


子どもの頃から、親の愛情を欲しくて近づきますが、期待してはすぐ手のひらを返されて、恐怖に怯えたり、気分が落ち込んだり、自己批判を繰り返してきました。何度も脅かされることで、神経が繊細になり、心と身体が限界に達しました。もともと良い子でしたが、これ以上苦痛を感じたくないので、人生の方向性が変わります。彼らは、失敗が許されず、切迫した状況にいて、強い緊張状態のなかを生きており、白黒極端に分けます。例えば、その場しのぎの優しさや愛情はいらないので、本物かどうかを試して、0か100かの境界線を設定し、人と壁を作ります。いつ周りが地雷を踏んでくるか分からないから、境界線を引いて自分を守ります。

14)自分を守るために


境界性人格障害の人は、自分の心を搔き乱されると、フラッシュバックやパニックが起きてしまって、体が凍りついて震え、自分が自分で無くなり、自傷行為や破壊的な行動を取ってしまいます。そのため、喧嘩をすると、自分を守ることに必死になって、相手にまくしたてるように喋り、正論を振りかざします。そして、自分で自分を抑えられなくなって、突き放すような言葉を言ったり、試し行動を取ったりします。

15)その時の気分と体調


神経過敏なところがあるので、心の状態次第では、すぐに体調が変わり、気分の浮き沈みが激しく、中間がありません。気分がとても幸せな時は、元気に活発に動くことができます。気分が落ち込んでいる時は、無気力で、怠くて、身体が痛み、寒気がします。

16)身体の過敏さと行動化とその後


トラウマのPTSD症状により、自分の思うように生きれない状態が続くと、脳のフィルターが壊れ、心のバリアが機能しなくなり、人の気配や態度、表情、音、匂い、光、振動など過敏に反応するようになります。人の声や気配など過敏に反応するようになると、集団場面がきつくなり、神経は張りつめた状態が続き、過覚醒になり、イライラ感や不眠に陥って、生活全般が困難になります。そして、不快すぎる状況において、筋肉は硬直して、苦しくなり、ゾワゾワとした不快感に憑りつかれて、落ち着かなくなります。さらに、居ても立っても居られないイライラが出て、絶望したり、耳鳴りがしたり、涙が出てきたり、気分が悪くなったりして、その問題を解決するための行動を取るか、怒りの行動を取るか、投げやりな行動を取るか、自罰行為をするか、回避行動を取るかなど様々なパターンがあります。一方、不快すぎる状況を改善できない場合には、原始的神経が働いて、頭痛、腹痛、吐き気、身体が重くてまともに動けなくなります。

17)嗜癖・依存症


身体の中に安心感がなく、寂しくて、孤独で、自分の居場所がありません。過去を振り返っても空っぽで、身体に注意を向けても怠いか、不快感か、痛みだらけなので、その慢性的な空虚感を何かで埋めようとしています。家の中で一人でいて辛いときや不快感の解消のために悪いことだと分かっていても、ある特定の行為や物質使用を続けようとします。例えば、浪費、SNS、性行為、アルコール、ギャンブル、無謀な運転、むちゃ食い、恋愛依存、薬物など。

18)解離性健忘と被害者意識


重篤な解離症状により、記憶がほとんど残らなくて、抜け落ちた記憶を断片的につなぎ合わせて生活している人もいます。また、脅威が差し迫ってきたとき、もともとの私は、体が固まって喋れなくなり、脳がシャットダウンしたり、自分の体から離れたりします。我を忘れている間に、交感神経系に乗っ取られていて、体が勝手に動いて、態度が非常に悪かったり、無視したり、八つ当たりしたりしますが、その本人は怒ったときの記憶が抜け落ちています。そのため、いつも傷つけられた被害者であり、都合がいい記憶しか残らないので、自分が加害者だと自覚できない事が起こります。その結果として、パートナーとの関係においても、過去の被害にあっことに敏感になりすぎて、すぐ傷つけられたと騒いでしまい、人間関係が難しくなります。

19)人生の方向性の喪失


単純で短期的なことには取り組むことができますが、複雑で長期的なことは、最悪の事態を想定しすぎたり、想定外のことが起きるかどうか不安になり、緊張やパニック、思考過多、統制の利かない不安、体調不良など引き起こします。そのため、人生計画が不安定になり、常に将来への不安が強く、何も楽しめません。たとえ何かに取り組んでも、すぐに断念してしまったり、新規場面も苦手だったりして、自分は何もすることができないという諦めが条件付けられています。

20)安心感や基本的信頼がない


日常生活の生々しい刺激に対して、敏感に反応し、不快感が強くなり、過去のトラウマ的状況を再体験しやすくなり、落ち着かず、ソワソワ、モヤモヤ、ザワザワ、ピリピリが何度も出てきて、安心できる感覚が育ちません。また、不安や緊張感、焦りがベースにあり、親子関係にも失敗してきたために、どうしても人間関係が信頼できません。そして、「一人じゃ寂しい、皆と仲良く過ごしたい」という受け入れてほしい気持ちはありますが、実際、温かい居場所は居心地が悪く、長続きしません。心の中から「どうせ自分なんか愛されない」という自己否定的な声や、「その場限りの優しさはいらない」という人間不信があります。

21)体調の悪さと空虚さ


子どもの頃から、長年に渡るトラウマの影響のせいで、交感神経の過覚醒から、背側迷走神経の支配下のもとで、身体が凍りつき、内臓や関節、皮膚の調子が悪く、体調不良や疼痛、炎症が起きやすいです。ストレスがかかる度に、胸が苦しく、息がしづらく、気持ち悪くなるなど、体調不良を起こすので、不快な感覚や感情を切り離していくと、自分の感覚が分からなくなり、からっぽ(空虚)な自分になって、生きながらに死んだような感覚になります。いつも何か埋まらないようなものがあり、心の中は空虚で、虚しいばかりなので、それを埋めようとして、過食したり、人間関係に依存します。

22)救いようのない世界に生きている


幼少の頃から、悪意に満ちた世界を生きており、異常な環境のなかで、異常な状態にあって、様々な自分の感覚や感情を切り離すことで生き延びてきました。一人になると自分のことが分からなくなり、空っぽな自分に向き合うと怖くなり、虚しくなり、人間不信と本当の愛情に飢えています。心の中の自分は出口の見えない迷路のような内的世界の中を彷徨っています。親しい相手を見つけたらどさくさに紛れてその迷路の中に誘い込み、自分が有利で相手が不利になる構造を作り出します。そして、身動きがとれなくなった相手を縛り付けて、自分に都合のよいマイルールを押し付けます。

23)聡明で感受性があり、豊かな空想を持っている


高機能のBPDの人は、複雑なトラウマを抱えながらも、生きるか死ぬかの大変な状況のなかを精一杯生き延びてきた経験から、知性や創造性、身体性を兼ね備えています。そして、遠回りしてきた人生ゆえに、世間一般の普通の人とは違います。体は固まり凍りついたり、体から離れて頭の中で生活したり、体にぽっかり穴が空いていたりします。自分の体に安心感というものがなく、感情や感覚が極端に揺れ動くため、外側のものに安心感を求めるようになりますが、それがうまく合致すると、非常に聡明になり、並ならぬ感受性や豊かな空想を持ち合わせるようになります。

24)同一性障害、不安定な自己像や自己感


境界性パーソナリティ障害の人は、自分のルーツやアイデンティティが希薄です。彼らは、常に警戒して、緊張した状態が続いており、慢性的なストレスの影響から、体がしんどく、離人や凍りつきなど防衛が活発で、自己感覚やで身体感覚、時間感覚、空間感覚など通常の人とは全く違い、自分を得たいの知れない人物と思っていることがあります。

25)自己不全感から安全希求や強迫観念


様々なトラウマ的な体験に曝されることにより、自律神経系や免疫系に問題が現れ、感情や自己調整機能に調整不全があります。そのため自己の不全感から、脅威源を特定し、思考や行動をコントロールしようとして、強迫観念や強迫行為に陥りがちです。また、完全主義で自分の安全を保障したがる側面があります。

26)多面性を持っている


子どもの頃に虐待やネグレクトなど受けている可能性が想定されます。人間は、生きるか死ぬかの世界のなかで精神や肉体が耐えれなくなると、ある種の変性意識状態を通じて自分を変化させることで生活全般の困難を乗り越えていきます。それと同時に、自己同一性の障害を抱えることになり、一貫した自己像が持てなくなります。人によって場面によって気分がコロコロ変わり、自分で自分の感情や行動をコントロールすることが難しい状態にあります。例えば、傷つきやすく未熟で窮乏した子どもだったり、ある時は、スリルを楽しんでいるように見えたり、またある時は、傲慢で尊大で横柄で利口ぶっていて頑固だったりします。

27)子どもっぽさと大人の部分


社会の役割をこなす大人の部分と、凍りついて発達不十分な子どもの部分があり、不安定な自己像を持ちます。ストレス下では解離状態になり、子どもになったり、大人になったりします。子どもの部分が全面に出ているときは、横柄でわがままだったり、臆病で何も出来なかったりします。大人の部分が表に出ているときは、社会のなかで頑張ろうとしています。この間をさまよってしまうと、本当の自分が分からなくなり、いつも心の中は空っぽです。

28)退行傾向と闘争モード


さまざまな外傷体験を負うことで、加害者の攻撃性に同一化した部分やしがみつきを行う部分など神経系の発達が原始的な時代に逆戻りします。それ以降は、時間の流れが止まったかのように、心の成長が遅くなり、何時までも心は子どものままになってしまって、声は弱弱しくなります。子どもでいることのメリットは、正常な大人では正気でいられないくらい悲惨な体験を抱えることができます。一方、安全が脅かされそうになると、子どもの部分を守るかのように、闘争に満ちた情動的人格部分が怒りをぶち撒けます。この間をさまよってしまうと、頭の中は混乱していき、身近な人間に対しては、怒鳴り散らす、罵倒するなどの過剰に反応します。職場などでは、不適応にならないために、自分の感情や感覚を切り離し、想像力を無くし、ひたすら目の前のことをこなします。

29)ネガティブな記憶や思考の癖


子どもの頃から、危険な目に遭うことが多く、物事がどうなっていくか不安になり、物事の本質をつきつめようとするところがあります。危険な目に遭わないために、相手の顔色を伺い、頭の中をフル回転にして考えてしまいます。また、実際に危険な目に遭ってきたため、強い感情が喚起された場面を鮮明に記憶するようになり、記憶力が高くなります。また、感情が動かされる度に、その経験が身体に残り、記憶に残るようになります。過去の後悔や将来に対する不安から、考え事をしてしまったり、普段の何気ないことから、嫌なことが思い起こされたりして、気分が落ち込んで、どんどん悪い方へ考えが進んで負のスパイラルに陥ります。

30)パニック発作


見捨てられる体験や支配、脅し、悪意、二重拘束などの対人関係のストレスに反応して、過剰な覚醒状態になり、呼吸は浅く早く、動悸も激しく、興奮が高まるにつれて、どうしていいか分からず、居ても立っても居られなくなります。その後、心臓がドキドキしているのに、正常な反応が妨げられると、筋肉が硬直して、気管支が狭まり、息ができずに過呼吸になるか、身体が凍りつきます。一方、凍りつく前に、不適応な代償行動や激しい攻撃性を取る場合もあります。この凍りつき状態から、さらに絶望が襲ってくると、胸が苦しく、顔面は青白くなり、呼吸はほとんどできず、心臓は止まりかけます。自分では、この一連の急激な生理的反応をコントロールできないために、死が襲ってくるような恐怖として感じると、パニックや過呼吸、めまい、吐き気、痙攣、腹痛、怒りに襲われます。それ以後も、周りを気にして無理に頑張ったり、誰かに脅かされたりすると、交感神経の耐性領域をすぐ超えてしまい、急激に背側迷走神経のブレーキがかかるために、筋肉の硬直や凍りつき、更に筋肉の崩壊のせいで発作が起きます。日常生活では、パニックになることを恐れて、予測不能なことや不確実なことに対して、不安や恐怖を覚えます。

31)心配性と将来不安


境界性パーソナリティ障害の人は、今までさんざん危険な目に遭わされたために、恐怖に怯え、危険やリスクを恐れるようになり、脅威を特定しようとします。常に警戒しながら、自分がどう動くのが良いか、頭の中であらゆることを想定して、想定外のことが起きても大丈夫なように、様々なことを準備しています。そのせいで、小さいときから、最悪なことを想定した生き方になり、先読み癖から、物事をネガティブに考え、こんな状況でいいのか心配になり、将来の不安や人から嫌われることを心配しています。例えば、自然災害に備えて準備したり、食糧危機やインフレ、治安の悪化を心配しています。また、経済的な不安から、お金に執着して、今を楽しめなくなっています。

32)倒錯行為


トラウマにより、心身が繊細すぎる人は、怖いものを目にすると体が石のように固まります。そのため、警戒心を高めて、自分にとって安全かどうか、脅威があるかどうかを見極めて、自分を脅かしてくるものほど注意が向き、凝視することが癖になります。自分がまた脅かされないかを確認していくうちに、自分を脅かしてくるものへの興味になり、好奇心として取り違えることが起きたりします。あとは、生活全般が困難になると、正気ではしのぎ切れなくなり、何もないふりや明るいふりをして過ごすようになります。そして、苦痛の度合いが笑いや快感に変わります。彼らにとって、苦痛は快感や解放であり、希望は絶望になり、好きという感情は寂しさに変わり、この大きすぎる感情の扱い方が分からず、やがて何も感じなくなり、感情は消えていきます。

33)妄想様観念と解離性症状


外界に対しては、対人恐怖や気配過敏があり、身体内部にはトラウマがあるために、生理的混乱が生じやすく、人から傷つけられることを恐れています。生活全般が困難になると、身体は麻痺していき、現実世界はシャットダウンして、現実か夢か分からない世界で生きるようになります。自分の世界に深く入るようになると、現実より妄想様観念が作られます。また、外の刺激により、激しい感情が掻き立てられると、自分を客観的に見れなくなり、自分は正しいという誇大妄想や、自分は傷つけられるかもという被害妄想に取り憑かれて、激しい攻撃性を表します。

34)スピリチュアリティへの親和性


早い段階からトラウマを負い、脅かされることが繰り返されてきたため、その防衛のために個人的なものを超えて、トランスパーソナルなものが位置を占めるようになります。彼らは、脅威に備えて、情動の嵐の中を生きている一方で、時折、凍りついて、固まる様に閉ざされていた感覚や感情、喜びの全てが心の中から溢れかえるような「聖なるもの」を体験することがあります。この五感の全てが震える神秘状態は畏怖すべきものであり魅惑的なものでもありますが、この体験により、聖性とかスピリチュアリティへの親和性が高まります。トラウマ治療では、このような神秘体験を意図的に持っていけるようにします。

35)希死念慮


小さい時から、これ以上後悔したくないとか、自分の感情や行動を制御できず、周りに迷惑をかけるくらいなら死にたいと思っていることがあります。日常生活が困難になると、絶望や無力な世界に閉じ込められていき、楽になることが死ぬことに結びつきます。人生が八方塞がりで、虚脱状態に陥ると、身体が怠く重く、頭も働かず、生きていくことが面倒になり、死にたい、消えたいと楽になる方法を考えます。また、死ぬことは怖いので、一思いに殺してほしいとさえ思っています。現実を生きることが苦痛すぎて、実際に自殺未遂や薬の大量服薬、失踪に至るケースもあります。

36)完全性や理想を求める精神からの攻撃


トラウマ体験による痛みやこわばり、過覚醒による興奮した身体、脅かされる無力感、崩れ落ちる体験など、感情と感覚の側面は身体に残り続けています。身体は耐え難いトラウマ体験と同一化しているため、不快な刺激は、身体を闘争・逃走モードなるか、凍りついて麻痺した状態になります。そのため、自身の身体の不快な感覚を抑え込み、完全性や理想を求める精神によって、身体は攻撃されます。彼らは、怒りや憎しみ、快楽への欲求を軽蔑し、個人的な高潔さ、精神性の高い生活を送ろうとしています。

37)正義感と仲間意識


境界性パーソナリティ障害の人は、今まで散々な目に遭わされてきて、痛みに圧し潰されてきましたが、その痛みを分かってもらえませんでした。自分に痛みを与えてくる世の中をひどく恨み、汚いものや欲を見てきたため、いろんなことを考えなくてはならない人生になり、正義感に燃えます。彼らは、正義感が人一倍強く、悪者は正義によって打倒されるべきだと考えています。自分と同じような境遇の人に対して、同じような気持ちになって、仲間意識から助けたいと思うことがあります。そして、自分たちが正義で、悪者と戦いますが、仲間から自分の思ったような反応が返ってこないと、怒りになるか、もうどうでもいいやと投げやりな態度になります。

38)苦手な場面ほど平然とやり過ごす


人によりますが、苦手な場面ほど、自分の身体の感覚が麻痺していき、その場を平然とやり過ごして、上手く立ち回ることができたりします。危険な人物が目に前にいるなら、怒りから闘争モードのスイッチが入り、立ち向かっていきます。

39)攻撃性と人との距離感


危機的な環境を生き延びてきたためにパワーが強く、押さえつけられそうになると戦うか逃げるか反応が出ます。身体の中には、加害者の攻撃性と加害者に反撃するために使われた攻撃性が取り込まれています。脅かされることが繰り返された人ほど、攻撃的な情動パーツが解離しているため、人との距離がうまく掴めず、ちょっと嫌なことがあると、身体が凍りつき、相手のことが敵にしか見えなくて、敵か味方か、白か黒かに分けてしまいます。

40)痛みの身体


トラウマとは、生死に関わるような衝撃のことであり、その衝撃は、身体に痛みとして刻まれます。痛みの身体の人は、そのあとも様々なところが痛むようになり、痛みに凍りつくトラウマを抱えます。例えば、自分が無防備なときに、不意を突かれると、ビックリして、心臓が握りつぶされそうな痛みがダイレクトに突き刺さります。そして、心臓がバクバクして過覚醒に移行するか、頭の中が真っ白になって考えられない、動けない、解離など起こします。彼らは、痛みに剥き出しになった身体を持つために、これ以上傷つく余裕がなくて、常に身構え、神経をピリピリさせ、できる限り先読みするようになり、最悪の事態を想定した生き方になります。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

更新:2020-06-27

論考 井上陽平

 

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