感覚過敏と生活全般の困難

▶感覚過敏と生活全般の困難

 

感覚過敏は、先天的な要因として考えられていますが、家庭内の虐待や学校のいじめから生き残ってきた人たちにも見られます。ストレスなどの環境要因で感覚過敏になる人は、子ども頃から、母親の機嫌に振り回されてきたり、父親から理不尽に怒られたりして攻撃を受けてきました。最初の頃は、自分の境界をしっかり張って守ることができますが、どんどん危害を加える親や兄弟が居ると、自分の思うように生きることが奪われて、自分の居場所が無くなります。このような家庭内でのトラウマがある人は、普段から警戒し、自分の気持ちを出さずに、我慢に我慢を重ねて、身体の中に過剰なエネルギーを滞らせています。家の中で親の気配を感じると、身体がサバイバルモードになり、息を止めて、耳をすまして、神経を研ぎ澄ませるようになります。限界を超えた先には、脳のフィルターが壊れて、自分を守れなくなり、理性よりも感情的になり、あらゆるものに素早く反応し、過敏になります。過敏症には、聴覚過敏、視覚過敏、嗅覚過敏、化学物質過敏症、電磁波過敏症などがあり、生活全般の困難から取り返しのつかない人生になるかもしれません。

 

トラウマのある人は、人により不快な刺激は様々異なりますが、自分の体内、人の気配、感情、表情、視線、音、声、話す内容、匂い、振動、光、気圧、温度などに過敏に反応します。そして、不快な状況が続くと、無意識のうちに、交感神経のスイッチが入って、過覚醒になり、心の余裕が無くなります。過覚醒では、反応が素早くなり、ちょっとした刺激でも、ビクッと反応して、イライラしやすくなります。そして、不快な感覚に悩まされて、落ち着かなくなり、じっとしていられなくなります。自分の力で、不快な状況を解決できないと、気が狂いそうな気持ちになるかもしれません。それでも、不快な刺激に打ちのめされていくと、疲れ切ってしまいます。自分の力でどうにもできない場合には、背側迷走神経が過剰になり、頭が痛かったり、考えがまとまらなかったり、耳鳴りがしたり、気持ち悪かったり、お腹が痛かったり、自分が分からなくなったりして、身体が重くて動けなくなるかもしれません。

 

発達早期に痛ましいトラウマを負っていると、赤ん坊の頃からのんびりできず、絶えず次の変化に備えて、身体の過緊張状態が続きます。そして、通常の人よりも、感受性の強さや刺激を感じすぎる傾向にあり、不快な刺激が心に突き刺さり、身体が硬直するため、様々なことが怖くなっていくかもしれません。また、物心ついた頃から、周りを警戒して、過緊張や凍りついた状態が続くと、視覚過敏や聴覚過敏になります。一方、身体で感じる力(皮膚や内臓、筋肉)が弱くなると、主体性が乏しくなり、人との関係なんかも長続きしなくなります。日常では、自律神経系の調整不全から、集団場面が苦手で、赤面恐怖やフリーズ現象、冷や汗、震えなどで、自分が人からどう思われているかを気にして、憶測や思い込み、恥の概念でしんどくなるかもしれません。また、大きな音、眩しい光、匂い、人混みなどが苦手で、その場から逃げたくなったりなど、様々な刺激に過敏に反応していきます。成人後は、自分の内側で何かを感じるよりも、周りに注意が向く人生だったために、自分の存在意義や生きる意味が分からず、アイデンティティの問題や、自分のことがよくわからなくなる人もいます。

 

感覚過敏がいかなる身体的症状を引き起こすかというと、繊細な神経のために、外界の刺激に影響されやすく、毎週ごとにも体調が変化するということもみられます。感覚過敏の人は、心地良いと思っている刺激に対しては、特に何も問題はありません。一般に、好きな感覚のところに留まり、そのことにこだわり、衝動的に好きな方に向かいます。一方、不快な刺激に対しては、身体が硬直して、ナイフが突き刺さるような耐え難い痛みを感じたり、闘争・逃走スイッチの過覚醒や凍りつきの迷走神経反射が起きて、パニックなどの様々な症状が現れます。例えば、気圧が低くなると 背側迷走神経が刺激されて、頭痛やお腹の調子が悪くなったり、貧血で起き上がるのも大変になります。そして、しんどすぎて、集中力が無くなり、何もしたくなくなりますが、何もできない駄目な自分を責めるようになります。身体を休息やリラックスさせようとしても、危機意識が高すぎて、アンテナが常に張っています。また、台風や痛ましい事件などが起きた際、自分に関係ないことでも感情移入しすぎてしまいます。感覚過敏の人が不快すぎる状況では、身体がガチガチになり、気持ち悪くなり、泣いてしまったり、怒ってしまうこともあります。

 

過敏症の中で最も多いのは、聴覚過敏であり、自分が出す音以外の周りの音が気になります。例えば、職場の中で誰かの愚痴をいっている声や話の内容、扉を閉める音を気にして、動悸が早くなり、じっとしていられなって、気分が悪くなります。聴覚過敏の人は、不快な音のせいで、身体が凍りつき、麻痺させられ、身体感覚が弱まり、体調が崩れます。身体感覚が麻痺すると、主体性が失われていき、自分よりも相手の存在が大きくなります。そして、周りの声や音、光、人の気配、感情、視線、自分の体内などを過度に気にするようになります。不快なことが続くと、身体は凍りついて、頭は痛くなり、自分が自分で無くなりそうになりますが、彼らは、自分が自分であろうとして、不快な刺激を作る相手と戦うか回避するかの戦略を取ります。その結果、感覚過敏の人は、闘争・逃走・凍りつきというトラウマのメカニズムの世界にはまり込みます。そして、頭が興奮状態で眠れなかったり、体が不動状態のために悪夢を見たり、睡眠の質やリズムが崩れて、昼夜逆転生活になるかもしれません。

 

トラウマや発達障害傾向で感覚過敏になっている人は、人間関係が苦手で、隣人トラブルが多くなり、最悪の場合は、統合失調症になる可能性があります。人口が密集した都市型生活は、苦痛でしかなく、様々な刺激に圧倒されて、生活が困難になります。身体の中に閉じ込めたトラウマのせいで、急なことや想定外のことや、不快なことがあると、驚愕反応を起こしますが、さらに解離性の幻聴が加わると厄介になります。例えば、自分の中の別の人格が、自分に悪口を言ったり、妨害工作をしたりしていることに、本人が全く気づかないでいると、幻聴によって、聞こえてくる内容が、現実に起こっていることと信じてやまず、恐怖心に囚われています。その情報に過剰に反応して、その情報を真実として捉えて、余計に幻聴が酷くなって悪循環に陥ります。幻聴が聞こえると、身体は過敏状態であるため、ずっとそれを気にして、寝ない、食べない状態に陥ります。身体的には、脳内の神経系の一部が過剰に機能している状態で、それらがものすごく尖って敏感になっていると言えます。このような尖った神経を持つ人は、薬で和らげることで楽になるかもしれません。また、自分の身を守れるように、いつでも逃げれる場所があり、生活が安心感のほうに向かえば、症状は軽減されます。さらに、自分のことを理解してくれる人がいると過敏性は和らぎます。

 

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