存在の耐えられなさと自己をめぐる闘争

▶存在の耐えられなさと自己をめぐる闘争

 

自分が自分であるという自己の核がなく、存在することに耐えられない人は、何らかの原因で、脳と身体の神経が繊細すぎて、無意識のうちに危険を感じるために、壊れやすい身体を持ち、生物学的な脆弱さがあります。この脆弱性は、生まれ落ちた時からの発達障害か、発達早期に痛ましいトラウマのショックを受けている可能性があります。

 

神経発達に問題がある人の場合は、外界の感覚刺激に弱く、身体が凍りついていき、ロックされた状態になります。さらに、家庭や学校、社会の権力のストレス下では、顔のパーツや身体の筋肉が神経に引っ張られるために、身体が捻じれる、バラバラになる、解離する、虚脱状態に固着するなど、自分を保つことが難しい状態にあります。そのため、常に力を入れていないといけない状態で、環境側のストレスにより、神経が痛んで、捻じれて、バラバラになるなど様々な不具合が出ます。

 

神経が繊細で、生物学的な脆弱さを抱えると、人の視線や他者の悪意を感じだるだけで、息が止まる、胸が痛む、吐き気がする、パニックになる、逃げ出したくなるなどが起きます。人に近寄って来られると、どうさばいていいか分からなくなります。学校の集団場面や人混み、バスや電車のなかは地獄の状態かもしれず、身体が物凄く反応して、うまく対処できなくなり、ぐったりと崩れ落ちていきます。

 

あまりに脆弱なために、生活全般が非常に困難になり、身体の痛みから逃げて、思考からも逃げて、苦痛すぎる現実からも逃げ続けた結果、空っぽになり、何も感じなくなり、何も考えなくなります。そして、自分を空っぽにして、誰の目にもつかないように、息を潜めながら、いないふりをします。いつも一人きりで過ごして、頭の中で考えを巡らすか、空想に耽ります。

 

このように、外に出たり、人目につくだけで、身体が凍りつき、解離するか、虚脱状態に至るほどのトラウマが刻み込まれている人がいます。身体が解離や虚脱状態に陥ると、自分の皮膚感覚が溶けて、輪郭が曖昧になり、透明になって、意識が遠のき、現実感が無くなります。そのときは、息が吸いづらくて、身体を動かそうとしても、手に力が入らなく、足の方も力が入らなくて、足を引きずりながら歩き、身体は怠く重くて、支えるのも大変です。そのため、暗闇の中で心を閉ざして、うずくまって過ごすほうが安心です。

 

人の視線に耐えられなくて、人目につかないように過ごす人は、皆と交われず、皆に忘れられるような存在です。自分の身体の感覚や輪郭が消えていくと、首から下が無くなり、透明な存在になる人もいて、自分の状態や自分のことがよく分からなくなります。このような状態に固着してしまうと、トラウマティックな緊急事態が絶え間なく続くことになるため、環境側と自己をめぐる闘争が激しくなり、皆に置いていかれます。透明な自分の身体の中には、大きな穴があり、その穴は寒々しくて、何もかも引きずり込もうとしています。その大きな穴を覗き込むと、耐え難い恐怖や虚しさが襲ってきて動けません。

 

透明な存在に固着している人は、この現実世界に自分の身体を持って存在することに耐えられません。つまり、この世に縛りつけられた身体を持ち、逃避することができないという状況に耐えることができなくて、脳や身体の神経が常に脅威を感じています。そのため、自分という存在を成り立たせようとしても、人の視線や気配、大勢の存在を感じてしまうと、恐怖で固まり、すぐに引っ込んでいきます。

 

自己存在が成り立たず、現実にしなければならないことが出来なくて、焦りや苛立ちが強くなり、上手くやれない自分を責めます。現実はただただ苦痛でしかなく、身体が重く怠くて、動かそうとしても動いてくれません。身体はヘドロにまみれて、身体の中から枯れていき、何をしても無理という諦めがあります。また、人間関係も最初は期待しますが、すぐに相手に裏切られた感じて、うまくいかなくなります。人と関わっても、情緒不安定になるだけなので、誰とも関わらないように、何も期待しないようになり、絶望のサイクルを繰り返します。

 

まとめると、自己の核がなく、存在の耐えられなさとは、非常に繊細な神経を持つために、小さなことでもトラウマティックな緊急事態になり、過覚醒、凍りつき、虚脱状態に至ります。そのため、自分の身体を所有したくてもできずに、自分が自分でなくなってしまって、透明な存在になります。彼らにとって、外側の世界は、不気味で恐ろしい世界のように目に映るかもしれません。もし自分を守ってくれる存在に出会えれば、過度に理想化して、助けを求めることになるでしょう。

 

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