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親にネグレクトされた子ども


親にネグレクトされた子どもは、親に愛情を貰おうと近づき、親の期待に応えようと頑張り、褒められるために先回りの行動をします。しかし、親の愛情をなかなか貰えず、親が機嫌が良いときは、一瞬愛情を貰えたように思っても、すぐ手のひらを返されて、酷い目に遭って終わるので、子どもは自分の居場所が無くなり、寂しい思いを抱えながら、自分の好きなものに入れ込んでいきます。親に捨てられてしまった子どもは、自分の存在が否定されていると感じて、消えたいと思い、隅っこで縮まり、個性が消えるか、一方で、親の関心をもらおうと必死に振る舞い、人の注目を集めて、個性を出しすぎる場合もあります。

 

彼らは、家庭の悩みに支配されたり、学校生活に疲れたりして、自分と周りの子たちとは何となく違う気がしたまま成長します。皆は幸せそうだけど、そういう感覚や幸せという気持ちが自分にはなく、元気がありません。学校の友達とは分かり合えないことが多くなり、学校以外の特別な友達が必要になります。

 

親にネグレクトされて育つと、小さい時から寂しくて、元気がなく、その不足感を何か別のもので求めることが多いです。元気がないというのは、その子の性格やその後の人生に重大な影響を与えます。学校の勉強や運動も集中して取り組むことが出来ず、将来の夢に対しても、自分にはできないと思い込むようになります。

 

また、一人で遊ぶときは、寂しさを紛らわすために、人形やものに魂を吹き込んでそれを扱います。イマジネーションの高い子どもは、想像したものが夢の中に出てくるようになります。夢の中に何度も出てきたキャラクターを自分の大事なもののように扱って、再び会ったり話したりするのを楽しむようになります。また外出するときには、金平糖や飴、ぬいぐるみなど自分の気に入ったものを持ち歩いて、寂しい時などにはそれを食べて、自分にとってお守りのような薬として扱います。自分の気に入ったものを薬として持ち歩く理由には、周囲の人々とうまく馴染めないことが多いために、自分を元気づけるものを見つけて、それで元気をだす薬が必要と考えるためです。

 

親に捨てられてしまった子どもは、小さい頃から、体調を崩して、保健室で休んでいることが多く、友達と遊ぶよりも、一人でいることを好みます。現実が苦痛になって、解離傾向が高まると、話していた人物がもう一つの人格になったり、一日中妄想に耽ったりします。現実の世界から自分の世界に引きこもっていくと、現実の世界と空想の世界のギャップに耐えられなくなり、さらに現実の生活の辛さが増していきます。

ネグレクトを受けてきた子ども/大人の症状


親にネグレクトされた子どもは、言いようのない不安感を抱え、体に落ち着きがなく、生きる力が弱まり、その後の人生に悪影響します。ネグレクトされている状態とは、生理的にも愛情的にも飢餓状態で、養育者に必死にしがみつき、自分が注目されることで何とか飢えをしのごうとします。しかし、幼児期の頃から、しがみつく子どもは、ネグレクトしてくる母親との間で折り合いがつかず、衝突を繰り返し、自分のことを分かってもらえないと癇癪を起し、公の場でも泣き叫んで暴れるようになることもあります。

 

また、親にネグレクトされた子どもは、ストレスや緊張から爪を噛むとか、髪を抜くなど自傷行為に及ぶことがあります。ストレスを感じることに弱く、敏感で、そのようなときには、自分の癖のようなものがでてしまうことがあります。一人になると心細くなり、大切な人に愛してほしいと望み、愛してもらえない寂しさを感じます。愛情不足を何かで埋めようと、依存したり、人に認めてもらおうと頑張ります。

 

 

思春期に入ってからは、人に愛されたい気持ちがあるのに、愛されなかった場合には、それらを埋めようとして、食物を食べすぎて苦しくなることがあります。また、愛情不足で育っているので、愛情をもらうことに執着していく場合があります。本来ならば、愛情そのものにそれほど意識しないで生活したり、愛情を与えることを考えたりすることが多いです。しかし、愛に飢えて、孤独な思いを経験した子は、その不足感を埋めるように行動する可能性が高いです。愛情をもらえる人間になるために、もっと素晴らしい自分を目指して努力して、完璧主義や強迫傾向が高まります。その一方で、親からの愛情を諦めて、一人で生きていくと決意し、強くなっていこうとしたり、愛情を貰えなかったことを恨んで擦れていく人もいます。

 

親にネグレクトされた子どもは、幸せとは何かとか、なぜ生きているのかと考え、誰からも必要とされていないように感じています。そして、愛されているとか、守られているという感覚がないまま育ちます。大人になった後は、寂しさと戦いながら、自分と向き合って虚しくなるだけで、心が満たされることがありません。人から愛されたことがないから、愛し方が分からず、途方に暮れます。また、相手が自分に求めてくる場合には、下心があると思ったり、自分がどう返していいか分からず、怖くなります。人との関係が深くなればなるほど、苦しくなって自分を見失います。愛されたいという思いが強いから、自分勝手な行動をとってしまって、相手に嫌われたり、相手を傷つけてしまうことが起きます。

 

愛情不足で育って大人になっても、自分になにか得意なことや、集中できることがある場合は、想像力が豊かであることや、ひとりで物事に取り組む能力を発揮することもあります。寂しくて辛い経験が、光を見出そうとする力に変わり、プラスに働くこともあります。また、親に愛情を貰えなかったことをいつまでもこだわり続けるのではなく、さっさと諦めて、必死になって、自分を見つめなおし、前向きに人生を営む人もいます。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

更新:2019-12-28

論考 井上陽平

 

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