繊細な心と他者を見透かす力の錯覚

▶繊細な心と先読み

 

発達早期のトラウマの影響を受けて体が弱く、古傷が疼く人は、想定外のことが起きないようにするため、警戒心を強めて、危機管理能力が高くなり、人を見透かす力が育ちます。彼らの体は、トラウマ時の痛みを忘れることができなくて、外側に注意が向き、心はいつも繊細で、時限爆弾を抱えています。長年に渡って、痛みに凍りつき、無理した状態で生活してきたために、相手の否定的な反応や急な出来事、不快な状況が続くと、身体中に大きな痛みが瞬間的に走ります。そのため、自分の予想の範囲内であれば、何事もなく過ごせるのですが、思わぬことや想定外のことが起きると、驚愕反応が起きて、筋肉がギュッと縮まり、痛みが走ります。特に、胸の辺りの痛みや心臓が止まりそうな恐怖があり、体のなかに重くて硬いかたまりがあるために、苦しくなります。この体の痛みのせいで、彼らは、相手の行動を予測して、自分の思い通りにいかないことや予測できないことに恐怖しています。トラウマを負っている人は、原始的な神経の働きから、自律神経系の調整不全が起きるため、緊張は強くなる場面では、体が敏感に反応して、様々な症状が現れます。そのために、人間関係において、自分の状態や相手の気持ちを、二手三手先まで読んでしまうことが当たり前になり、危険を避けて、安全でいたいと思っています。そして、いつもリスクを考えながら、集団に合わせており、相手の言動を予測して、同じような失敗が起きないように注意深く生きています。

 

トラウマを負った体は、サバイバルモードになり、神経が張りつめています。生き延びるために、危険や興味あることを察知しようとして、人の声、話す内容、気配、物音、匂いなど、全てに意識を集中させます。相手が今どこで何をしているのか、次に何をしてくるか予測して、心の準備をしており、相手の心を読み取る力が育っていきます。このように日常を送るうえで危険を回避するために、他者の行動や考え、感情を探るようになっていきます。そして、自分という感情や感覚があると様々なことを感じて痛みを感じるために、自分の存在を消して、相手に同調して暮らすほうがより安全であると思います。また、本当の気持ちは辛くて、身体の節々も痛くて、しんどかったりするので、自分の感情や感覚を感じないでいるほうがメリットが大きくなります。

 

▶他者を見透かす力

 

トラウマがある人は、脳のフィルターが故障していて、自分を守ることができなくなっているために、あらゆる情報が頭の中に入ってきて、混乱状態にあります。小さなことでも不安や警戒、恐怖心が出てきて、自分がなぜ被害に遭ったのか、自分がなぜ巻き込まれたのか気になり、過去に起きた出来事を消化できずにいます。一方、予測不能なことに耐えられないので、人間関係に過敏になり、傷つけた相手のことを知ろうとするとか、世の中に何が起きているかを把握しようとしています。頭の中であらゆる情報を調べ集めて、分析して、再被害に遭わないようにするため、情報処理に過剰になっています。相手の気持ちを読んで、ニーズに合わせるなど何らかの方法で自分を助けようとしますが、その方法が見つからない場合は、過去に起きたことを、こうすればこうなる、こうすればこうだったかもなど仮定の想像をグルグルと考えて、思考が止まらなくなります。

 

このように、他者の行動や気持ちを先読みして、相手のことをある程度把握して理解していると思えることで安心感を得ています。トラウマを負っている人は痛みに凍りついた体を持つために、感覚や感情を無くして、自分のことを空っぽにすることができます。自分の存在が消えると、誰かに意識を向けるしかなく、他者の意識が入ってきて、相手を読んだり見透かしたりすることが可能になります。自分を消して、相手に入っていくということを繰り返し、相手のしてほしいことをやってあげたり、相手の行動を見透かすことで日々をサバイバルしようとします。

 

このような状態が、小さい子どもの頃から長年に渡ることで、通常では分からないことまで、自分なりに考えたり、予測したり、推測することができるようになります。そして、そのような予測が現実に当たっているかどうかは実際には分かりえない事であっても、本人は、自分の予測が当たっていると思うようになっていきます。自分が予測したことや思ったことが当たっていると思い込んでいくうちに、他者のことを理解できていると思うようになり、そのため自他の区別がつきにくくなって、他者や様々な状況に対して自分の見解で判断するようになっていきます。

 

そしてトラウマを負って嫌な経験をたくさんしている人は、自分の身に危険がないかどうかを見ています。繊細な心を持ちながら、自分にネガティブな影響を及ぼす可能性を探ります。自分を守るために過剰に警戒し、最悪なことが起きないようにと相手の行動を先読みして、ネガティブな可能性を考えるようになります。物事を先読みしすぎて、それが誤りであることもあることに気づかずに、常に物事が悪い結果をもたらすなど、悲劇的な結論にジャンプしてしまいます。先読みして他者を見透かす力は、危機迫るものを遠ざけようとする防衛として働きますが、このような能力があることを知り、うまく開花させることができれば、ポジティブな方にも使えると思います。

 

▶HOME 

▶HSPの特徴

▶境界性パーソナリティ障害

▶神経の繊細さ過敏さ

▶感覚過敏と生活全般の困難

▶ネット予約 

▶電話カウンセリング 

▶お問い合わせ