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現実感がない病気


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発達早期にトラウマを負った人は、神経が繊細に反応し、人一倍敏感な体質になるため、環境がうまく機能してくれないと、常に体が凍りついて、自分の感覚や感情が麻痺して、筋肉や皮膚の感覚が分からなくなります。体の感覚が分からない人が現実に手を伸ばそうとしても、すぐシャットダウンしてしまって、常に頭の中のある空想世界に入っていきます。魂が抜けていって自分の体を切り離せるようになると、別の領域に入ることが出来て、魂は見える場所どこまでも行けるようになることがあります。

 

人間の体というのは、生命の危機に瀕すると、もの凄い衝撃で全身が固まったり、伸びたりして、バラバラになるような痛みが襲いますが、そのような痛みを感じると、戦ったり逃げたりができなくなるので、その痛みの感覚を切り離すことができます。そのため、外傷体験を負った人が、その後も適切なケアがないと、常に体は固まったり、伸び切ったりした状態が続き、自分の体の感覚が感じられなくなることがあります。そして、不快な状況に続いて、嫌悪刺激に圧倒されていくと、泡や霧のように自分の存在が消えてしまうことがあります。

 

自分の感覚が分からないときは、トラウマまみれの体になっていて、脳は緊急事態だと判断し、心は混乱します。一人になると、自分の軸が無いために、どうしていいか分からなくなり、今を感じようとすると恐怖が出て、落ち着かなくなって、何をしてていいかも分からなくなります。自己感覚が喪失して、自分が自分で無くなってしまった人は、外的な対象(人や役割)がいることで、自分が成り立ち、一人になると、孤独や寂しさに圧倒されて、自分が自分で無くなります。

 

このような神経が繊細すぎる人は、対象喪失、嘘、裏切り、見捨てられる体験などのトラウマに曝されて、そのフラストレーションに耐えれなくなると、心が壊れてしまって、人と繋がれなくなり、社会的交流システムが遮断します。そして、この世界との繋がっている感覚が無くなり、人と繋がっている感覚も無くなり、誰に助けを求めてもいいか分からなくて、必死に頑張っていても、どんどん孤立していきます。

 

心が壊れてしまった人は、必死に頑張っても、周りは大切にしてくれなくて、受け入れてももらえなくて、周りからは、何か様子がおかしいと言われるようになります。心が壊れた人にとっては、この世界があまりに冷たく、厳しく感じて、身体が固まり凍りついて、崩壊していきます。そして、この世界の見え方が違って、吸っている空気もおかしくて、現実感を失い、体の感覚が分からなくなってしまっては、ほとんど動くことさえできなくなります。

 

体が凍りついて、原始的な神経が働く、慢性的な不動状態に陥ると、本来の人間性を失い、今までとは逆の性格になり、ネガティブなことが頭の中でグルグル回ります。現実感が無くなると、世界のなかに一人取り残されて、誰とも関われていない感じになります。この世界は動いていても、自分には現実感がありません。次第に自分の身体感覚が分からなくなり、自分に意識が向かなくなり、この世界が敵意に満ちて怖く、空想や妄想に耽ったり、頭で考えることに囚われます。

 

自分が自分で無くなってしまった人は、他者の欲望のなかでしか生きれなくなります。彼らは、大事な人が去っていくと、心細さに圧倒されて、自分を保てません。また、大事な人が居なくなると、何も感じなくなり、自分が消えてしまいます。一方、大事な人がいると、自分の存在が発生して、自由に生きれるようになり、目標が戻ります。そのため、相手に依存する生き方になり、相手の顔色を伺いながら、相手が喜ぶと、自分の幸せを感じます。さらに、自分がしたいという行動に対して、相手が喜んだ顔でいてくれると、自分の感覚が強くなりますが、それは非常に脆いものです。

 

現実感がない人は、人が変わり、環境が変わり、立場や時間が経過すると、自分の軸が失われていくので、他者が自分の思い通りに動くこと望むようになります。自分が自分であるために、分かり合えると嬉しいとか、分かってもらえることを欲しています。彼らは安心感や安全感のある世界を求めており、大事な人が自分のことを分かってもらえないことに悲しみ、その関係性に囚われていきます。

 

現実感がない人が、他者を求めても分かり合えなくて、人と仲良くなる積み重ねが難しくなると、他人に対する興味が無くなります。現実世界がうまくいかなくなると、この苦しい状況から逃げたくなりますが、どこにも逃げられない人は、どうしていいか分からくなり、動けなくなって、不安なことばかり頭に浮かび、気力が無くなります。一方、現実逃避して、現実離れした夢の中で生きたり、空想に耽ったりする人もいます。解離傾向が高い人は、夢と現実や妄想と現実の境目が曖昧になります。そして、現実を生きていた解離する前の自分はいなくなり、ショックを受けて解離した後の自分を本来の自分だと思い込み、体を麻痺させたまま、空想や妄想に耽り、一人でずっと考え続けます。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室 

論考 井上陽平

  

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