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闇が深い女の特徴―孤独と解離に生きる心


暗闇の中で生きる人にとって、色鮮やかな街並みを歩くことは、自分を保つにはあまりにも刺激が強すぎる。周囲の世界は光に満ち溢れているのに、その光に触れることができない自分がいる。「私は闇、普通の人は光。」そのあまりの違いが、誰かと深くつながり続けることを難しくしてしまうのです。

「普通の幸せ」を望むことは叶わないのかもしれない。夢を追い、病気に立ち向かい、どれほど辛くても諦めずに前を向こうとする。でも、鏡に映る自分の姿は、光からは程遠く、深い闇に包まれている。その闇は、どんなに努力をしても消えることなく、希望の手が届く先を遠ざけてしまうのです。

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暗闇の中で生きる人々の孤独な戦い


暗闇の中で生きる人々は、幼少期から希望を持てず、何度も脅かされるような劣悪な家庭環境で育ちました。彼らは、現実感を失い、まるで夢の中にいるかのように、もどかしい感覚の中で過ごしています。暗闇に入ると、世界はぼんやりとした輪郭だけが残り、実体が感じられない。その原因の多くは、親の喧嘩や家庭内での暴力、学校でのいじめといった過酷な経験です。こうした苦しみが積み重なる中で、彼らは日常生活に対して無力感を抱き、何も感じたくないという思いに駆られます。

 

それからというもの、彼らは誰にも気づかれないように、心を閉ざし、自分がそこにいないかのようにふるまうことで、現実の苦痛が過ぎ去るのをひたすら待ち続けます。周りの声が遠くなり、自分の存在が薄れていく中で、暗闇に閉じこもり、孤独な考え事をする日々を送ってきたのです。

暗闇の中で麻痺する心と凍りつく身体


日常生活が辛く、苦痛ばかりだと、何も感じたくなくなります。恐怖や痛みを繰り返し受けるうちに、自分の居場所が失われ、体から心が切り離されるように感じて、次第に心を閉ざしてしまいます。痛みを避けるために、自分の身体から離れたような感覚になり、遠くから痛みを受けたもう一人の自分を見つめるようになります。そして、現実世界をシャットダウンし、身体の痛みや不快な感情を麻痺させていくのです。しかし、気がつけば、傷だらけの身代わりの自分がそこにいて、本来の自分はどこにもいません。

 

日々の生活の中で、痛みの経験が積み重なると、それはトラウマとなり、体はまるで石のように固まってしまいます。固く冷えた身体は動けなくなり、心はヘドロに包まれ、何かに掴まれているような感覚に囚われます。暗闇から抜け出そうとしても、沼に足を取られ、ますます深くはまり込んでしまいます。やがて心には何も届かず、何も感じられなくなり、視界も聞こえるものもすべてが消え、暗闇の中でただ一人考え事に耽るだけの日々が続くのです。

痛みが生み出す暴力的な自分と終わらない葛藤


大人になるにつれ、痛みを感じるたびに、本来の自分が現実から消えていく。そして、暴力的な部分や他者に迎合する部分、子供のような部分が前面に出てきます。精神的・身体的・性的暴力によって受けた痛みは、目の前の攻撃者との関係の中で膨れ上がり、やがて自分を飲み込むまでに成長していきます。その結果、本来の自分はますます脆弱になり、少しの嫌なことでも体は凍りつき、頭は混乱し、自分が自分でなくなる感覚に襲われます。さらには、自分の中から別の人格が現れるため、強い部分や攻撃的な部分、迎合的な部分が勝手に振る舞い、自分自身でいることがどんどん難しくなります。

 

このような状態では、誰かと深い関係を築くことは困難です。日常の痛みが増すたびに、過剰な同調から攻撃的な行動へと変わり、相手を罵倒したり見下したりする言動が増えていきます。その一方で、自分の中に潜むモンスターが「お前は幸せになるな、また逃げるのか」と暴れ出し、全ての人間関係が崩れていきます。

 

こうした行動の結果、社会生活の中で周りから誤解され、失敗や傷つく経験が積み重なり、本来の自分が表に出ることはますます難しくなってしまいます。結果として、自分は永遠の孤独の中に閉じ込められ、誰とも深く結びつけないまま、孤立を深めていくのです。

見捨てられた孤独の中で―普通の幸せを望めない私


皆に置いて行かれ、いつもひとりぼっち。普通の幸せが自分には届かないと感じ、焦りと寂しさに苛まれながら、自分の運命を呪うように生きていかなければならない。「私は光の世界にいる幸せな人たちとは違う」「苦しむのが当たり前で、愛されない私が悪い。生きる価値もない」といった諦めの気持ちに支配され、自分を責め続ける毎日が続く。

 

社会の中で幸せそうに生きる人々を見るたび、羨望が頭を痛ませ、心を沈め、体調を崩す。精神的な落ち込みから引きこもり、無気力で涙が止まらなくなる。そして、表の世界で誰かと接点を持とうと試みても、不安と恐れがすぐに壁を作る。温かさを感じることに慣れず、見捨てられる恐怖に苛まれ、結局、暗闇の中に戻ってしまう。

 

温かさや愛を受け取ることができず、孤独の中で生きることを選ばざるを得ない自分。普通の幸せを望んでも届かず、深い孤独の中に取り残され、誰とも交わることのない人生をただ耐え忍び続けている。

深海に閉じこもる心―暗闇で生きる人々の特徴


暗闇で生きる人の特徴を振り返ると、過去の経験で傷ついた彼らは、これ以上の苦しみを受け入れることができず、他者との関わりを諦めてしまいます。彼らは、生きる力を最小限に抑え、解離や離人症に頼って、誰もいない場所で静かに休息を取ろうとするのです。酷い状況下でも、何とか前に進もうと考えますが、傷を癒す方法が見つからず、絶望や無力感に苛まれ、自分を隠す場所を探し、そこに身を潜めます。

 

心身ともに疲れ切った彼らは、その痛みを切り離し、自分の内側に閉じこもることで、かろうじて安全を確保します。そこは、まるで深い海の底にいるかのような孤独な空間で、自分の声は誰にも届かず、他者の声もこちらには入ってこない場所。静寂に包まれたその場所で、彼らは傷ついた心を抱えながらも、ただひとり、孤独とともに生き続けています。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室 

論考 井上陽平

 

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