シゾイドパーソナリティ障害の特徴

▶シゾイドパーソナリティ障害

 

シゾイドパーソナリティ障害の人は、対人恐怖症や回避性人格障害と似ているところはありますが、全く違うところは、外の世界や対人関係に興味・関心そのものが薄いところです。シゾイドは社会的に孤立していて対人接触を好まず、感情の表出が乏しく、何事にも興味関心がないように見えるという性格特徴を表す言葉です。また、シゾイドは、スキゾイドと呼ばれることもあります。

 

対人コミュニケーションにおいて、視線や表情、姿勢、発声、覚醒、情動などの情報処理の仕方は、その人の性格傾向を見ていくうえで重要な項目になります。シゾイドの人の表情は、物静かで乏しいとか、喜びを感じたりしないとか、情緒的な冷たさがあるとか、よそよそしく、平版で無関心な表情をしていると言われています。また、身体は強い緊張状態で、ぎこちないロボットのようにな動きを見せたりします。この身体のぎこちなさは、人生のどこかで体と心が危険に曝されてきた痕跡であり、自らを守ろうとしているとか、自らの攻撃性が他者を破壊しないようにしているように見えます。

 

原因としては、発達のアンバランスさ、生まれ持った資質の弱さ、発達早期のトラウマなどが影響しているのではないかと考えています。一般的に、シゾイドの人は、愛する人と共にいることが難しく、愛する人と関係を持ちたいという初期の切望がトラウマ的に妨げられています。つまり、子ども時代に希望が失われています。また、視線をあまり合わせないとか、身なりを気にしないなど発達障害の症状と類似しており、識別が難しいと言われています。

 

▶シゾイドの精神力動論

 

精神力動論では、外の世界の人々と繋がろうとする力が抑制されており、人と繋がるときに生じる欲望や興奮、攻撃性を子どもの頃から危険に感じていて、抑圧されています。

 

シゾイドパーソナリティの人は、アメリカの精神分析学者ドイチェが記載した「かのような性格」があります。一見正常で、適応的な行動をとるようにみえるが、実は表面的な順応状態を繰り返しているだけで、他者と深い安定した情緒的関係を発展させることができていません。

 

シゾイド論(分裂病質論)の基本的枠組みは、フェアバーンから、英国対象関係論のガントリップに引き継がれています。対象に対する憎しみや怒りが、愛の対象を破壊してしまうのではないかという非現実的・妄想的な不安と罪悪感が抑鬱を生み、それに対する防衛としての分裂および理想化、投影、同一視などの防衛機制が活発な人格構造と、その基礎に働く力動的特徴を包含する概念です。

 

「愛が対象を破壊する恐怖」に加えて、ガントリップは「自己喪失」の恐怖に注目しています。自己が対象を貪欲に破壊してしまう恐怖と、その対象に飲み込まれてしまう恐怖は、並行関係にあります。シゾイド(分裂病質)人間はそのために対象とのかかわりそのものを危険なものとみなし、そうした関係から引きこもろうとします。しかし内的には引きこもっていても、表面的には相手や場面に応じて、態度や心のあり方を順応させる見せかけの同調によって、人との葛藤を回避する場合があります。このような場合は、自己と対象に関する分裂があるといえるでしょう。見かけのうえでは順応していても、内面では離人感、空虚感がいつも漂っています。この概念は、ウイニコットのいう本当の自己と偽りの自己は発達の早期に生じる人格の基本的分裂と捉えてみてもよく、これが著しければパーソナリティの障害なると考えることができます。

 

参考文献

Deutsch, H. 1965 "Neuroses and Character Types" ,Int.Univ.Press

小此木啓吾 1980 『精神分析論』(現代心理医学大系,第1巻B1b),中山書店.

狩野力八郎 1988 『性格の障害』(異常心理学講座,第5巻),みすず書房.