シゾイドパーソナリティ障害の特徴

▶シゾイド・スキゾイドパーソナリティ障害

 

シゾイドパーソナリティ障害の人は、対人恐怖症や発達障害、回避性人格障害と似ているところはありますが、全く違うところは、外の世界や対人関係に興味・関心そのものが薄いところです。シゾイドは社会的に孤立していて対人接触を好まず、感情の表出が乏しく、何事にも興味関心がないように見えるという性格特徴を表す言葉です。また、シゾイドは、スキゾイドと呼ばれることもあります。症状としては、恐怖症、社会不安神経症、解離性症状、離人症、現実感喪失症、原因不明の身体症状、パニック発作などがあり、行動としては、対人関係を避けて、引きこもりがちです。

 

対人コミュニケーションにおいて、視線や表情、姿勢、発声、覚醒、情動などの情報処理の仕方は、その人の性格傾向を見ていくうえで重要な項目になります。シゾイドの人の表情は、物静かで乏しいとか、喜びを感じたりしないとか、情緒的な冷たさがあるとか、よそよそしく、平版で無関心な表情をしていると言われています。また、身体は強い緊張状態で、ぎこちないロボットのような動きを見せたりします。この身体のぎこちなさは、人生のどこかで体と心が危険に曝されてきた痕跡であり、自らを守ろうとしているとか、自らの攻撃性が他者を破壊しないようにしているように見えます。さらに、手足などの身体感覚は麻痺していることが多く、不器用なので皆と同じことがしづらく、あまり何も感じないようにして生活しています。

 

原因としては、発達のアンバランスさ、生まれ持った資質の弱さ、虐待やネグレクト、医療トラウマ、発達早期のトラウマ、学校社会のトラウマ、母子関係のこじれ、生活全般の困難などが様々なことが影響しているのではないかと考えています。一般的に、シゾイドの人は、愛する人と共にいることが難しく、愛する人と関係を持ちたいという初期の切望がトラウマ的に妨げられています。つまり、子ども時代に希望が失われています。子どもが本来持つ、母親を求める対象愛の部分よりも、対象愛を憎む部分が、日常生活の大部分を担っていて、社会に対して無関心か、批判的です。また、親しい人と関わるとしんどくなり、相手を飲み込んで失う恐怖やその相手に飲み込まれてしまって自分を失う不安があります。あとは、視線をあまり合わせないとか、身なりを気にしないなど発達障害の症状と類似しており、識別が難しいと言われていますが、彼らは、人の心が分からないというよりは、集団場面で様々なことに傷つき、人に悪意を向けられないように、できるだけ目立たず、社会的な関わりを避けて引きこもっている状態です。

 

▶シゾイドの身体とトラウマの痕跡

 

シゾイドの人は、様々な外傷体験を負っており、幼い頃に降り積もった痛みが身体の中に埋め込まれています。その痛みの部分は生き延びようとして、他の地球上に存在するものと同じようにその人の身体の中で生き残ります。そのため、様々な外傷を負った子どもは、喉が弱かったり、喘息気味だったり、お腹が痛くなったり、吐き気がしたり、頭痛がしたり、手足が痺れたりしています。人に悪意を向けられると、喉が苦しくなり、息が止まり、身体に痛みが出てきます。痛みが成長していくと、痛みが自分になっていき、本来の自分に取って代わろうとします。自分が心と身体の痛みに取って代わったならば、身体は過剰に覚醒した状態に切り替わり、人に痛みを負わせたり、もっと痛みを欲するようになります。しかし、シゾイドの人は、自分が人を破壊してしまう恐怖と、人から傷つけられることを恐怖しているので、思考に偏らせて、身体は死んだような状態になっています。

 

シゾイドの人は、ふとした瞬間に人から悪意を向けられることが怖く、身体は緊張しており、相手の意に沿わないと恐ろしいことが起こると思っています。そして、相手を意図を予測して動きますが、自分の思い通りにいかないことや予測が出来ないことが起こることを恐怖し、思わぬことが起こると身体中に痛みが走る人もいます。いつもリスクを考えて生きていて、周りに合わせないと生きていけないと思っており、複雑な社会の中でどうやって生きていけばいいかが分かりません。敏感で打たれ弱くて、いろんな刺激に振り回されてしまって、すぐに落ち込み、頭の中でクヨクヨといつまでも悩んでいます。人に接することがストレスになっており、自分を取り繕って周りに気を使いすぎるため疲れています。大人になった今では、うまくいかない昔の自分が憎らしく、社会に対して苦手意識があります。そして、自分のことだけしか考えられない人間ばかりがいる社会と関わりたくないと思っています。彼らは、家族を含めて、親密な関係が鬱陶しくて、世間体も気にせず、一人でいることを望んでいます。身体の方は死んだような状態なので、モチベーションが出てこず、生きる意味がどうしても見つからず、かといって人生に妥協できません。頭の方は生きる意味がどうかとか、死ぬことなど考え続けていて、批判的な結論に辿り着いていく傾向があります。

 

▶シゾイドの精神力動論

 

精神力動論では、シソイドは自我がその人の体の中へと引きこもり、外界と接触を持たない状態と言われます。外の世界の人々と繋がろうとする力は抑制されており、人と繋がるときに生じる欲望や興奮、攻撃性を子どもの頃から危険に感じていて、抑圧されています。そして、内的には分裂が存在し、ある部分が人間関係を抑制していて、根底には、孤独感や恐怖を抱えています。ユング派的には、ヌミノースなエネルギーが脆弱な自我を支えています。そして、ヌミノースが作りだす防衛的ファンタジーの世界にすっかり魅了されているので、外の世界の人々と繋がりが失われています。

 

シゾイドパーソナリティの人は、アメリカの精神分析学者ドイチェが記載した「かのような性格」があります。一見正常で、適応的な行動をとるようにみえるが、実は表面的な順応状態を繰り返しているだけで、他者と深い安定した情緒的関係を発展させることができていません。

 

シゾイド論(分裂病質論)の基本的枠組みは、フェアバーンから、英国対象関係論のガントリップに引き継がれています。対象に対する憎しみや怒りが、愛の対象を破壊してしまうのではないかという非現実的・妄想的な不安と罪悪感が抑鬱を生み、それに対する防衛としての分裂および理想化、投影、同一視などの防衛機制が活発な人格構造と、その基礎に働く力動的特徴を包含する概念です。

 

「愛が対象を破壊する恐怖」に加えて、ガントリップは「自己喪失」の恐怖に注目しています。自己が対象を貪欲に破壊してしまう恐怖と、その対象に飲み込まれてしまう恐怖は、並行関係にあります。シゾイド(分裂病質)人間はそのために対象とのかかわりそのものを危険なものとみなし、そうした関係から引きこもろうとします。しかし内的には引きこもっていても、表面的には相手や場面に応じて、態度や心のあり方を順応させる見せかけの同調によって、人との葛藤を回避する場合があります。このような場合は、自己と対象に関する分裂があるといえるでしょう。見かけのうえでは順応していても、内面では離人感、空虚感がいつも漂っています。この概念は、ウイニコットのいう本当の自己と偽りの自己は発達の早期に生じる人格の基本的分裂と捉えてみてもよく、これが著しければパーソナリティの障害なると考えることができます。

 

▶シゾイド・スキゾイドパーソナリティ障害の診断

 

DSM-Ⅳ-TRは次の診断基準のうちの少なくとも4つ以上を満たすことで診断される。

  1. 家族を含めて、親密な関係をもちたいとは思わない。あるいはそれを楽しく感じない
  2. 一貫して孤立した行動を好む
  3. 他人と性体験をもつことに対する興味が、もしあったとしても少ししかない
  4. 喜びを感じられるような活動が、もしあったとしても、少ししかない
  5. 第一度親族以外には、親しい友人、信頼できる友人がいない
  6. 賞賛にも批判に対しても無関心にみえる
  7. 情緒的な冷たさ、超然とした態度あるいは平板な感情

 

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参考文献

Deutsch, H. 1965 "Neuroses and Character Types" ,Int.Univ.Press

小此木啓吾 1980 『精神分析論』(現代心理医学大系,第1巻B1b),中山書店.

狩野力八郎 1988 『性格の障害』(異常心理学講座,第5巻),みすず書房.