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妄想性パーソナリティ障害の特徴

▶妄想性パーソナリティ障害

 

妄想性パーソナリティ障害の人は、警戒心や猜疑心、見捨てられる恐怖などがあって、不安や動揺を感じやすく、自分を危険や脅威から守ろうとして、全身に力が入り、呼吸が浅く早い傾向があります。不安や恐怖が強くなると、手足は冷たく、無意識のうちに凍りつき、心と体の繋がりが無くなり、自分の体の感覚が分からなくなり、自他の区別がつかなくなって、頭の中に妄想世界を作ります。

 

危険を素早く察知する原始的な神経の作用により、体はトラウマティックな状態に置かれており、環境の変化に対して、脳の奥深いところからは、恐怖が発せられて、警報が鳴り響き、自分が脅かされているように感じます。外の刺激により、神経が過剰に昂ると、自分を客観的に見れなくなり、この世界が危険であるかどうかを入念に調べて、細かいところまで気にするようになります。そして、あらゆる刺激を敏感に感じすぎて、全然関係ないことまで自分に被害を与えてくるように感じたり、打たれ弱くて、相手の行為を疑ったり妬んだりします。人間関係がうまくいかなくなると、屈辱感を感じて、相手への恨みに変わります。

 

妄想性パーソナリティ障害の人は、通常の人に比べて、体が弱く、トラウマ(PTSD)の影響に支配され、危険を素早く察知するために、脳のフィルターがうまく機能しなくなり、大量の情報が意識に上ってきて、それをうまく処理できなくなります。彼らは、この世界に対して、警戒心、猜疑心を持ち、そのような情報だけをインプットして、さらにうまく処理できないために、突飛な考えをしたり、幻覚や幻聴、妄想に悩まされたりすることになります。

 

一般に、不安や恐怖の影響を受けやすく、自分が特殊な人間であると信じたり、根強い猜疑心を持っていたり、自分は特別で何者かに監視されていると思ったり、隣人に攻撃を受けているなどという特殊な妄想にとらわれています。過剰に覚醒しているときは、情報処理の努力が凄くて、活発な思考や行動が見られ、自分の限界に対する認識を欠き、理性的な働きを求めても難しい状態にあります。覚醒状態が低い時は、頭がぼーっとして、夢と現実の境目が曖昧になり、この世界がぼやけて見えて、一日中、妄想(空想)ばかり考えるようになります。このような状態が平常時も続くと、思考の柔軟性は無くなり、妄想と現実の区別がつかず、妄想性パーソナリティ障害の形成していきます。

 

妄想性パーソナリティ障害の人の中核にあるトラウマの部分は、繭に包まれてあるか、離人的に眺められるか、意識の外に置かれていて、記憶に残っていません。トラウマの中核部分は、あまりに大きい衝撃があり、全身がこわばり、激しすぎる感情のために、息が止まり、一歩も動けなくなるようなものかもしれません。そのため、人との交流において、一定の距離を置くことで、トラウマという恐ろしい体験が浮き上がってこないようにしており、相手に支配されることや、相手を攻撃してしまうことを恐れています。

 

トラウマの中核や周辺部分の記憶が抜け落ちていて、その前後の記憶もうっすら覚えているかいないか、それが正しいか正しくないかも分かりません。自分に関わってきた人たちのことを猜疑的に見たり、ちょっとしたことでも人が怒ってるように見えたり、自分に都合の良いものだけを取り入れたりして、現実を正しく見ることができなくなります。自己の連続がトラウマにより断たれているために、自分がそうあってほしいという物語を頭の中でグルグル考えて、妄想の世界が膨らみます。

 

人間関係において、自分が周りの人にどう思われているか気になります。重要な人物には、自分のトラウマティックな心性をそのまま投影して、相手のことを深読みします。本人はそうした深読みが当たっていると思い込んでいることがあり、人間関係がややこしくなります。また、重要な人物に執着しながら、自分なりに理解しようと考えています。根底には、トラウマがあるために、人から悪意を向けられることが恐ろしくて、人間に対して、嫌悪感や警戒心が強く、そこから生き延びるために、あらゆる手段を講じます。

 

妄想性パーソナリティ障害の人は、自分の中の良いものや悪いものを投影しようと防衛機制が活発です。また、メラニー・クラインの妄想‐分裂ポジションが優勢な人と言えるでしょう。自分の思い通りにしたい相手には、自分の「良いもの」を投影して、相手を喜ばして、関係性を近づけていきます。危険な相手には、自分の「悪いもの」を投影して、危険があるかどうか捜し求めます。

 

妄想性パーソナリティ障害の人は、ある何か怯える対象があって、その恐怖を遠ざけたいという思いから、ある特定の妄想を抱くようになっていきます。例えば、その妄想は、自分のベッドの中には、数千匹の虫がいて、その虫に噛まれると、エイズに感染するという恐怖心から殺虫剤を大量に巻きます。しかし、それを自分が吸うことによって、心身の状態がどんどんおかしい方に向いていって、ぼーっとしたり、息苦しくなる身体症状が現れて、本当は殺虫剤を吸ったことが原因になるのですが、その人は妄想に憑りつかれているから、虫に噛まれたと判断します。

 

▶誇大妄想と被害妄想

 

妄想性パーソナリティ障害の人は、神経発達の仕方にアンバランスなところがあり、発達障害から統合失調症の傾向か、複雑なトラウマが起因しているか、アトピーなどのせいで体に安心感がありません。体が弱いために、心に余裕がなくなります。独特な見方をするようになれば、相手の気持ちを見抜けなくなり、仕事や作業でミスしやすく、人間関係に浮いて、集団の中で恥をかき、傷つき体験を繰り返してることが多いです。そのため、自分に自信がなく、劣等感を持っていることが多いです。一般に、人は人前で恥をかかされると、胸がざわついて、居てもたっても居られない気持ちになります。しかし、妄想性人格障害の人は、恥をかいても平気なように、自分が特殊な人間であるという誇大妄想に耽るタイプがいます。その一方で、痛みに耐えられず、人の目を気にしすぎたり、人間関係が気になって、危険があるかどうか細部まで入念に見たり、耳を澄ませるようになり、被害妄想に陥るタイプがいます。

 

誇大妄想に耽るタイプは、関係妄想が生じやすく、勝手に自分のことを好きだという妄想の世界を拡大し、誇張していきます。自分の心の中で起こっていることがまるで現実であるかのように思っており、相手の表情を見抜けずに、話をまったく聞きません。本人の見た目が悪い場合は、気持ち悪がられて、ストーカー化しやすいです。そして、過去に、集団からはじき出されたという無力感と誇大な妄想の間を行ったり来たりしていますが、どちらかというとヒーローのようになることを想像する方が気持ちが楽なので、日常の大部分を妄想に耽るようになります。

 

被害妄想に陥るタイプは、関係妄想が生じやすく、根拠もなく相手が悪意を持っているとか、他人が自分にとって脅威という妄想の世界を拡大し、誇張していきます。自分の心の中で起こっていることがまるで現実であるかのように思っており、そこに健忘や忘却、過剰記憶、作話、過敏性、自己関連付け、現実感喪失が混ざるため、推測、憶測、被害妄想が膨らみ、被害者としての物語が構築されます。過去には、虐待やいじめ、事件などに巻き込まれて、酷い目にあってきた経験があり、悪い噂が流されるとか、軽蔑した目で見られることを人一倍恐れています。他者と線引きの対処が苦手で、すっきりすることを好み、快か不快か、危険があるかどうかを分けることで自分の安全を保障します。

 

▶妄想性パーソナリティ障害の診断基準(DSM-5)

 

A.他人の動機を悪意あるものと解釈するといった、広範な不信と疑い深さが成人早期までに始まり、、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またそれ以上)によって示される。

(1)十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を与える、またはだますという疑いをもつ。

(2)友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪わている。

(3)情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない。

(4)悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む。

(5)恨みを抱き続ける。

(6)自分の性格またが評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに怒って反応する、または逆襲する。

(7)配偶者または性的伴侶の貞節について、繰り返し道理に合わない疑念をもつ。

 

B.統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、または他の精神病性障害の気渦中にのみ起こるのではなく、他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

 

参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院

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