不登校・引きこもり支援

▶不登校・引きこもりの生物学的メカニズム

 

不登校や引きこもりの方は、過去にトラウマを負っていることが多く、恐怖と麻痺(不動状態)という生物学的メカニズムの中に閉じ込められています。学校社会の集団場面の交わりで、体の方が傷ついていって、社会交流システムを司る神経の働きが麻痺していきます。例えば、不登校の子どもの場合は、学校のなかにいじめっ子がいて、動くと目をつけられて攻撃されてしまうので、じっと動かないようにすることで、自分の身を守ります。これは、いじめっ子に叩かれたり、押さえつけられたりした場合は、やり返してしまうと、もっとやられるので、反撃せずにじっとしているほうが楽なのです。このような状態が続くと、学校の中が怖くて、身動きが取れないというふうに、脳や身体を繋ぐ神経が改変されていきます。そして、学校に行かなきゃいけないと思っても、登校前にお腹が痛くなるとか、気分が悪くなるとか、足に力が入らなくなります。学校に行こうと焦れば焦るほど、体と心が固まり凍りつき、動けなくなります。心は、学校に行こうと思っていても、脳と体はトラウマという原始的防衛が延々と作動しているので、筋肉は収縮して、引っ張られています。このトラウマによる原始的防衛というのは、過度な緊張状態が続いて、交感神経が過剰になり、強い恐怖や感情が覚醒させられると、背側迷走神経が働く、麻痺が規定の反応になり、体は固まって不動状態になります。そして、トラウマによる原始的防衛にはまり込んでしまった人は、不安や動揺を感じると、身体の方は過度に緊張していき、呼吸がしづらく、心拍数や血圧が低下し、無理に頑張ろうとすればするほど、体調が悪くなり、エネルギーが低下して動けなくなります。また、動悸やパニック、発汗、めまい、立ちくらみ、腹痛、頭痛、吐き気、固まる、麻痺することに対して恐怖していき、さらに、それを引き起こす外界の気配や人の視線に恐怖して、恐怖がさらなる体調不良や対人恐怖、気配過敏、麻痺症状を作り出すので、学校に行くことが非常に困難になります。そして、トラウマによる過剰な警戒や脳の奥底に恐怖があると、自分の意志に反して、頭が勝手に反応して、身体が動けなくなっていきます。たとえ自分のやりたいことがあっても、息苦しくなり、自分の壁にぶつかり、ぐったりと疲れてしまって、めまいや腹痛、身体が痺れて動けなくなります。そして、周りの人と同じことがしたいのにできない自分を責めたり、自分は劣っているという無力感を感じたりします。このような悲惨な状態にあっても、子どもは親の期待に応えようとして、無理に学校に通っていると、体と心が麻痺していくので、何も感じられないとか、何も考えられないという解離性症状が重たくなります。そうなると、思考がまとまらなくなり、上手に人前で話せなくなったり、楽しいという感情が沸かなくなったり、気分が落ち込んだり、悲しんだりして、椅子から立ち上がることも困難になることがあります。そして、こころの余裕が全くなくなると、できる限り、ストレスのない空間に引きこもることでしか対処できなくなります。

 

最近では、自律神経失調症の起立性調節障害のため、学校行こうとしても、血圧が下がって、めまいが起きて不登校になる子どもたちが多いと言われています。また、外出することが怖くなると、その恐怖から身体が固まって、動けなくなり、不登校や引きこもりになります。このように、不登校や引きこもりになるのは、単なるこころが弱いというだけでなく、自律神経系の覚醒度の調整不全と原因不明の身体症状が大きく影響しています。こころの状態が良くなくて、ネガティブな記憶ばかりが蘇り、過去の後悔に苦しんで、恐怖と麻痺のメカニズムにはまり込んでしまうと、こころの状態が体調不良に直結していくようになります。そのため、こころと身体の両面に当てたアプローチを行いながら、少しずつ楽しいと思える社会的場面に参加していくことで、不登校や引きこもりの問題は改善されていきます。

 

不登校や引きこもりの問題は、親の責任でそうなることもありますが、そうでない場合もたくさんあります。親の問題だけでなく、学校社会のいじめやストレス、発達早期のトラウマ、不運な出来事、子どもの発達や体質に問題があることも多いです。親が子どもの苦しい世界を理解していって、責めないでいると、子どもの状態も変わってくると思います。また、不登校の場合は、親は学校の担任と連携を深めて、お互いが子どもの状態を理解し、子どもの言い分をしっかり聞いてあげて、学校で居場所を作ってあげることが欠かせません。一般に、不登校や引きこもりの人は、怖がりで、引っ込み思案で、落ち込んでいて、原因不明の身体症状を持っていることが多いです。また、他者と成熟した人間関係を作り維持することができず、不適切で無力な行動をとりやすいです。さらに、早期のトラウマや発達の偏りにより、資質が限られていることも多く、学校生活や社会生活、人間関係などを適切に処理することができません。

 

▶不登校・引きこもりへの対処法

 

不登校や引きこもりの支援では、トラウマという体の生物学的メカニズムを解きほぐしていく必要があります。カウンセリングでは、まず、セラピストとの信頼関係の構築していきながら、安心なイメージや安全な身体感覚を探していきます。次に、対人恐怖や視線恐怖、気配過敏などを取り上げて、身体の緊張している部位に注意を集中させることで、どのように人から傷つけられることを恐れていて、どのように自分を守ろうしているのかが分かり、過去のトラウマの防衛パターンが露わになります。その未解決なトラウマを行動として表現することで、解きほぐしていき、自分の防衛スタイルの認識を深めることで、自分の無意識のうちに取っていた行動をコントロールできるようにしていきます。また、身体の安全な感覚と不快な感覚の間を振り子のように行き来して、自発的に不動(麻痺)の状態に入っていきますが、麻痺が痛みに変化して、心地よさや達成感を味わっていくと、恐怖と麻痺が分離していきます。最初のうちは、理性よりも、身体の生物学的メカニズム(身体の麻痺や過剰な覚醒からの凍りつき・不動)の方が強いので、緊張-麻痺の間を行ったり来たりしています。しかし、身体とこころに焦点をあてたアプローチを続けていくことで、防衛的態度の闘争・逃走モードや解離・不動化モードから社会的交流システムを活性化させていきます。最終的には、脳や神経系のネットワークが本来の姿を取り戻していくことにより、体質が改善されていき、安心-緊張の間を行き来できるように少しずつステップアップしていくことが可能になります。

 

生物学的メカニズムに対を成すのが心理学的問題になります。学校に登校できない子どもや、気配過敏、対人恐怖、パニック障害、めまい、吐き気、腹痛、動けないなどで引きこもり状態にある人は、高校を中退するとか、授業についていけなくなるとか、学歴へのコンプレックスがあって、社会人になるための自信を失います。そして、劣等感や恥の感情が強くなるほど、他人と比較して落ち込んで、体調は悪くなるので、なるべく人の目につかないように、人生を諦めるように条件付けらていきます。それと同時に、自意識が過剰になっていくため、柔軟性や弾力性に乏しく、非常に硬直していて、複雑に組織化されたパーソナリティになっていきます。そのあたりの心理学的問題を紐解いていくのは、とても大変な作業になりますので、セラピストとの対話を通して変えるだけでは物足りなく、楽しいと思える社会的交流の機会を増やしていくことが求められます。また、家族や友人を支えにしながら、少しずつ誰かと外に出る習慣を身につけていくことが必要です。

 

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