自己愛のチェック

▶自己愛的な性格傾向を持つ原因

 

自己愛は、ナルシズムとも言います。ナルシズムという言葉は、ギリシア神話のナルキッソスの泉に映る自分の姿に恋したという話に由来するものです。自己愛とは、自分で自分のことを愛することとか、自分に対してすごいとか、素晴らしいという感覚であり、誰でも持っていますが、自己愛が強すぎると病気に見なされます。健康的な自己愛とは、自分のことを大切に思えたり、自分のことを価値があるように思うことです。病的な自己愛とは、わがままで、自分が可愛くて、人の都合より自分を優先して、相手の立場を全く考えられない人です。

 

乳児期から児童期にかけて、虐待やネグレクト、不運なトラウマ体験などを受けて育つと生存本能を司る脳幹や大脳辺縁系は、通常の人とは違った形で成長していきます。扁桃体は、警戒心を高め、身体は緊張から身構えており、不快な刺激に対しては、闘争・逃走反応を引き起こして、目の前にあるものが敵か味方かを判断していくようになります。そして、子どもは近づく、離れる、闘う、逃げる、興奮する、固まるなどの自分の意思に基づかない行動に支配されるので、落ち着かなくなります。そのため、自分の落ち着く快適な刺激を求めて、自己中心性が高まり、その後のこころや精神の発達に影響を残します。また、病的な自己愛は、発達早期の時期に、恐怖や衝撃にって無力化されたトラウマ体験があって、それが二度と起きないように恥や敗北よりも、力や優越感を求めて、自己像が誇大化していきます。さらに、人は長期間に渡り、ストレスや不安を受けると、理性で自制することが難しくなり、自分の体のなかにある欲求や誘惑に負けていくようになります。

 

不幸な生い立ちを恥じている子どもは、人の目を気にしており、自分の劣等性が表に出ないようにと必死に隠しています。そして、自分の幸せな思い出を語るだけの経験がないので、無意識のうちに、自分を誇張させるために話を盛ります。同じクラスの子どもとの会話は、自分の変えようのない不幸を思い出す言葉や文章が様々に散らばっていて、躓き、傷ついていきます。そして、絶望や悲しみ、落ち込んでいきますが、空想の中だけは自分を守る唯一の場所になり、自分は何でもできるんだとか、凄いんだと思い込むようになります。さらに、自分の弱さを責めて忌み嫌い、完璧さを求めて、大人に認められたいと努力していくので、自分は凄くて、平凡な周りの人を見下すようになり、妄想と現実との区別がつかなくなることがあります。また、現実は自分のことをいつも評価してもらえず、家庭や学校でストレスが続くと、それに応じた闘争や逃避などの覚醒状態になり、自己中心性、自己没頭、不寛容などの性格傾向を持つようになります。そして、虚栄心が強く、貪欲で、他者をコントロールして、慢心し、思いやりのない人間に育ちます。大人の振る舞いをして、見栄え良くみせている裏では、子どもの頃に固着した情緒障害児の姿があります。

 

▶自己愛度チェックの50項目

 

自己愛性パーソナリティ障害の人は、人との関係の取り方に問題があります。本当の自分は、無力で希薄なのですが、ダメな自分とすごい自分が両極にいます。そして、どちらかというと、覚醒度が高くて、すごい自分の方が日常生活の大部分を担っています。また、対象を求める質が病的で、行動が極端なため、不適応に陥りやすく、家族や恋人、友人、同僚、クラスメイトたちが被害を受けることになります。

 

①子どもの頃のトラウマにより無垢な子どもの部分は無力化されていて、生活全般の困難から諦めるように条件付けられています。一方、誇大化した自己は、傲慢で妄想的に振る舞い、理想的な対象との同一化を欲しています。この2つの自己像に分裂しており、自己調整機能や覚醒度のコントロールの仕方が不安定です。

②親子関係などで恐怖に怯えて自己感覚が小さくなったり、恥をかかされたり、無力化されるような体験があって、その防衛のために、自分を誇張させて見せるようになっています。

爬虫類には有効であった太古的防衛操作の中に全身すっかり汚染されています。

自己感覚・皮膚感覚(私は人間であるという体験)が希薄なため、自分の境界線はしっかり守ろうとしますが、他者の境界線を侵害して、無意識のうちに自分が有利な構造を作り出します。

自分は賞賛されるべきとか、よく見られたいと思っており、過剰に自分の見栄えを気にしていて、理想化された対象と同一化を求めています。賞賛を得る機会があるときは、高いパフォーマンスを見せます。

人と比較して、自分が優位に立つことで幸せを噛み締められて、気持ちが楽になります。逆に、自分が優位に立てないと気持ちが落ち込んで、いたたまれなくなり、その場にいられなくなります。

人は自分と同じように考えるのが普通と思っています。そして、自分のやりたいようにやっているときや、相手が自分の思い通りに動いているときは、気持ちが落ち着いて、一番人間らしい感覚が持てます。

親子間や学校社会のなかで、無力に打ちのめされた体験があり、変えようのない悲しみとか、どうしようもない怒りとか、自分なんて何をやってもダメとか、劣等感、孤独感、つまらなさ、満たされない気持ちを抱えています。と同時に、いずれ自分はすごい人間になれるんだという万能感と信念で補償します。

ストレスホルモンが高くサバイバル状態で、自分と他人と比較して勝ち負けにこだわります。現代の競争社会には適応しやすい面もありますが、他方で、危険を察知したときに、表情がガラリと変わり、闘争・逃走モードに入りやすいので、過緊張や短気で怒鳴るなどしてしまい不適応になりがちです。

覚醒度の高さから、理性よりも本能や身体性の働きが活発であり、自分や他者の精神状態を十分に読み取ったり受け取ったりすることが苦手で、不寛容、自己中心的思考、自己没頭的、操作的です。

注意や集中の向け方に問題があり、同時に複数の視点を抱えることが難しい状態にあります。

⑫他者の拒絶に過剰に反応してしまい過敏です。他者に批判されると憤怒や固まって、うまく情報処理することができません。あいまいなことに耐えれず、周囲の評価に過敏で、完璧さを求めて、強迫観念と強迫行動に陥りますが、完璧さを求めれば求めるほど、ストレスが溜まるので悪循環になります。

幼い頃からの不幸を回避しようとして、先手を打って自分の安全な環境を作ろうとします。競争相手(ポジション争い)は、自分を脅かす危険な人物になるので、ターゲット化していき、こき下ろしたり、悪い噂を流したり、しつこく付き纏います。

舌のよく回る巧みな人物であり、議論好きで、嘘をついてまで人を騙し、恫喝、説得、早口、威嚇、脅して相手を縛り付けます。

自動車を運転中、他の自動車の割り込みに対して激怒したり、仕返したりします。

⑯自己中心的で常識外れの行動を取り、悪質クレーマーで、ウェイターのサービスが悪かったり、待たされたりするような些細な問題であってもすぐに腹を立て、他人を攻撃してしまいます。

⑰見た目重視で美しく若い女性が大好きです。恋人には完璧さを求めてダイエットを強要し、浮気が多く、搾取性があって誇大的で、言葉巧みにたくさんの女性と交流し、ロマンティックな気分に浸ります。

⑱過去の恋人の写真をいつまでも残していて、周りに見せたり、若い頃の武勇伝を話すことが好きです。

⑲捕食する側にいる自己愛性パーソナリティ障害の人は、若いうちは周りをコントロールすることに長けているので社会的に成功者となりやすいです。その一方で、中年期特有の危機に陥ることがあります。

⑳自我と無意識の欲求との境界が開放されており、理性や自制心を働かすよりも、不快を避けて快を求める快楽原則(性的エネルギー)で活動しています。

自己愛性パーソナリティ障害の人のなかには、生まれ持った資質の弱さや軽度の発達障害の傾向を持つ人がいます。

幼少期のトラウマは、一瞬にしてその人をバラバラにして力を奪い取りますが、今も意識や認識過程の視野が狭く、こころが成長しきれず、まとまりのない状態にあります。

㉓親子間のこじれから、ぐれて家出や非行に走るとか、頻繁な転居の経験があり、子どもの頃に愛着基地が剥奪されていたため、自己存在が希薄で帰るべきホームがありません。通常の人に比べて、所有の概念が薄く、どこでも生活できる代わりに自他の境界があいまいです。

子どもの頃から、家庭が貧しかったり、母親が家出していたり、父親から暴力をふるわれる母親の姿をみていたり、自分の身体が弱かったりと不幸な生い立ちの人が多いです。そして、自分の不幸な生い立ちを恥じていて、周囲の目を気にしながら、それが表に出ないように隠しています。

㉕自分のなかに理想化されているものと価値下げされたものが両方あります。

本当は何をしていいのかわからず、ぼんやりとしたなかで生きており、こころは空虚で、その場その場で生きています。そして、自分の行動があとでどんな結果を招こうがおかまいなしです。

自分が生きているのか死んでいるのかわからず、寂しさとか自分の加害性には無自覚です。その一方で、力を求め、スリルを味わうことで自分の生きている感覚を取り戻します。

㉘自分は傷つけられた被害者であり、いつも頑張っているので、正しいと思っています。その一方で、自分の正しさに反する相手を蔑み、批判して、見下しています。

独特な正義感や誇大妄想を持っていて、自分の都合でしか考えられず、自分は正しいことをしていると思っています。その一方で、自分は正しいことをしているからと理性のかけらもないような行動に出ることを自分に許可しています。

子どもの頃から、プライドが高く、極度に傷つきやすいので、自分を守るために、攻撃性を身につけていきます。

自己愛性パーソナリティ障害は、境界性パーソナリティ障害と人格構造の水準は似ていますが、自己の構造は比較的安定しています。

自他の境界があいまいなので、すぐにLINEやメールアドレスを交換して、思わせぶりなメッセージを送ってきます。また、妻や夫の家族にも直接悪口を言ったりすることが平気で出来ます。

㉝こころで生きるよりも自動化された習慣のなかで生きており、想像力よりも固定化された枠組みのなかで物事を見ています。

身体の様々な不調や身体状況に捉われており、漠然とした不安があります。人間身体の有限性を否定し、完璧でありたいと思っていますが、ストレスホルモンが過剰なため、糖尿病、がん、心臓病、脳卒中などの成人病に掛りやすいと言われています。

㉟過活動で身体は緊張していて、疲れやすいです。基本的に、共感性に乏しく、人に合わせることが苦痛で、なるべく人の輪の中心に立とうとして、自分の思い通りにやることで気持ちが楽になります。

㊱相手に自分の価値観やマイルールを押し付けて、自分は常に正しく、相手が悪いとなります。また、相手の批判に耐えることができません。

㊲解離型の自己愛では、自分が自分でなくなるという根源的な死の不安から、鏡に映っている自分の姿を何度も見てしまうことがあります。また、自己感覚を失うと、自他の区別がつきにくくなり、他者のことよりも自分が生き残ることを優先します。

㊳気分が幸せなときと落ち込んでいるときの落差が激しく、その間を行き来しています。気分の良いときは、優しく振る舞えますが、気分の悪いときは、尊大で相手をこき下ろします。

㊴損得勘定で繋がっている夫婦のもとで育ち、親からプライドを持てとか、強く生きろとか、一番になれと言われて育っています。過剰な良い子の部分と悪い子の二面性があります。

例えると、子どもの頃からコップの中にストレスがまんたんに溜まっています。いつ溢れ出してもおかしくない状態で生活していて、溢れてしまうと、怒りとして表現するか、身体症状が表れます。

人を愛するという利他性よりも、見返りを求めて、自分のために相手を愛しているふりをします。

外向的ですが、情緒不安定で神経質で、いつも何か満たされない感覚があります。

㊸会社の中では、他人と比較して、自分の方が上だと気持ちが良くなるので、上昇志向が強く、ばりばり仕事をこなします。ただし、仕事でエネルギーが切れてしまうのと、パートナーには思い通りに動いてもらいたいので、家庭内でモラルハラスメントを行うようになります。

自分が傷つかないように他人の顔色や気持ちに過敏に反応し、警戒した状態で過ごしています。身体は、身構えていて、情報処理が過剰で、頭をフルに使って、自分のことをたくさん話します。

㊺子どもの頃から、大人の身勝手な言動に振り回されており、それに対して怯えや怒りがあって、それでもなんとか必死に生きています。そのため、普通に暮らしている人や楽に生きている人への憎しみがあります。

㊻男性は体を鍛えて屈強な肉体にして、女性は美しいスリムボディーにしていますが、心の方は、とても気が弱くて、大変小心者で、極端な怖がりです。また、子どもの頃から、気管支が弱くて、喘息気味で虚弱体質に悩んでいることがあります。

仕事がうまくいかない場合は、自分の万能感が満たされず、周りをコントロールできないので、欲求不満になり、職場を転々としがちです。

一人の時間に耐えられず、取り巻きと行動します。周りには、無能なイエスマンを置いたり、足がわりに使おうとします。

㊾相手に合わせているときは、息苦しくなり、しんどくなります。そのため、我慢していることが増えると、根暗になり、イライラして、悪態をついてしまいます。

損得勘定で動いていて、自分のことしか考えられません。また、他者から否定的な評価を受けると、その他者を全力で攻撃します。

 

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