自己愛性パーソナリティ障害の方との接し方

▶自己愛性パーソナリティ障害の方との接し方17項目

 

自己愛性パーソナリティ障害の人は、自己存在感が希薄で、利己的で、共感性が欠如していて、自分のことで精一杯です。相手の視線や反応には敏感ですが、相手の内面まで理解しようとはせず、相手の立場に立って考えられないので、関わる人は利用されるだけされて捨てられるかもしれません。基本的には、自己愛の強い人ほど、自分のことが一番可愛く、自分に甘く、自分の快感や楽しさを追求しており、人を不当に利用して、優越的な地位にのし上がることを考えています。また、人前で恥をかきたくない気持ちと、人に良く見られたい気持ちが強く、素晴らしい自分であるために、人からの賞賛を求めて、相手の顔色をとても気にしています。さらに、対象を求める質が病的で、自分の誇大な理想を投影して、相手に完全性を求めており、自分の思い通りにいかなくなるとイライラします。そして、自分に反した予測不能なことをされるのが嫌で、細かいことまで気にするので、関わる人は疲れてしまいます。その他、一番強い相手には、媚びを売り、猫をかぶる一方で、弱い相手には、怒りをぶつけるか、コントロールして自分の万能的な自己像を構築していきます。

 

(1)恋愛では

自己愛性パーソナリティ障害の人は、狡賢く、平気で嘘をつき、浮気をしたりなど、その行動についての罪悪感はほとんどありません。恋愛においては、見た目重視で、見返りを求めて、自分のために相手を愛しているふりをしますが、本当に人を愛することができません。また、複数の相手と関係を持っていることが多く、常に有利な立場に居ながら、人間関係をコントロールしていきます。自己愛性パーソナリティ障害の男性は、もともと被害感情が強く、恋人を加害的でモノのように扱い、傷つけたことに対する罪悪感は薄いです。恋人には、完全性を求めており、自分の思い通りに動いて欲しくて、いい恋人を連れ歩くことで自分を満たします。また、自分と恋人を比較して、自分が上に立つことで気持ちを楽にさせます。そのため、彼らの恋人は、支配ー服従関係に陥りやすく、不幸になりやすいです。

 

(2)家族関係では

自己愛性パーソナリティ障害の夫は、妻を道具やアクセサリーのように扱い、家庭よりも職場や社会活動に一生懸命になります。仕事の量や経済状況、家事、育児などで不満が高まり、ストレスが溜まっていくと、妻へのあら探しが始まり、相手を馬鹿にすることを何でも言ってしまいます。何十年と結婚生活が続くと、妻に対しての共感性や愛情もなくなり、家のことは極力何もしたくなくて、自分が快適に過ごせるかどうかか重要で、好き勝手なことをしています。お金の管理に厳しく、自分のためにはお金を使いますが、パートナーにお金を使われるのは無駄で、細かくチェックします。また、自己愛性パーソナリティ障害の妻は、子どもを道具やアクセサリーのように扱います。キャリアを求めてとか、女として輝きたいと思っており、しかし、思うようにいかない鬱憤を子どもに晴らします。両者とも外面は良い人を装い、他人には親切に振る舞って、人から注目されて、賞賛が得られることが生きがいになっています。自己愛性パーソナリティ障害のパートナーは、ハラスメント行為を受けながらも今まで一生懸命やってきたので、関係を切り離すことができず、共依存になりやすいです。また、相手のどうしようもなさに途方に暮れ、こんな人とずっと一緒に生きてきた、あるいは生きていかなければならないことに絶望します。

 

(3)DVやモラルハラスメントの影響

家庭の中で、自己愛性人格障害の人から、DVやモラルハラスメントが長期に渡ると、パートナは一緒にいるのが苦痛になり、精神的にも肉体的にもどんどん疲労していきます。本来安らぎの場であるはずの家庭が相手を責めて罵るだけの場になり、気が滅入ります。パートナーは、うつや不眠、めまい、頭痛、腹痛、吐き気などの様々な症状が表れます。

 

(4)身体と怒りのメカニズム

自己愛性人格障害の人は、生活全般のストレスを慢性的に抱えており、身体はリラックスしづらく、緊張状態にあります。一般的に、副交感神経の働きが弱くて、安心感があまりありません。そのため、通常に人よりも、安全感や穏やかさを求めています。ただし、安全感を求めすぎて、強迫観念が強くなると、周りを巻き込むようになるので、人間関係がギクシャクしてうまくいかなくなります。パートナーとの関係で、緊張が高まると、体は身構え始めて、全身が縮こまっていきますが、今度は、無意識のうちに拡げようとして、怒りを表現することが多いです。この身体のメカニズムにより、パートナーはDVやモラルハラスメントを受けることになります。このような関係性を変えていくなら、パートナーは、今までの降り積もった感情を一度リセットする必要があります。そして、緊張感が強まる関係性や相手を委縮させている自分の無意識の表情や態度を自覚します。自己愛性人格障害の人は、怒りのメカニズムを理解し、不確実性に耐えて、相手を巻き込まなくていいような強迫観念に変えていきます。

 

(5)完全主義

自己愛性パーソナリティ障害の人は、完全主義で潔癖症で、神経質です。恋人やパートナーの外見から、表情、スタイル、服装、仕草など細かいところまで見ています。自分とセンスが合うかどうか、価値観が合うかどうかで付き合い続けるに値するか判断しています。また、彼らは、不確実性にイライラしやすく、常に安全や安心、実益を求めており、損得勘定や目的に沿って動きます。パートナーには笑顔や穏やかでいることを強要します。また、パートナーには、いいつけやルール通りにコンピュータのように動いてもらいたいと思っています。

 

(6)自他の区別の無さと集団性

自己愛性パーソナリティ障害の人は、自他の区別があまりなく、相手は自分と同じような考え方をしていて、自分の思い通りに相手を動かそうとします。また、共感性に乏しく、自分とは違う他人に合わせることが苦手なので、自分がリーダーになって集団を仕切ろうとします。基本的に、集団場面では、自分中心で自分の事ばかり話しています。自分がリーダーのときは、生き生きとしていますが、脇役のときは、オドオドして小さくなります。彼らは、集団を自分の手足のように動かそうとして、同調圧力をかけて、自分の空気に沿わない人に敵意を持ちます。また、敵対グループを作り、仲間意識や絆意識をアピールして、リーダーになっていきます。一方、人に自分を良く見せたいかとか、自分は素晴らしいという誇大妄想を持っているため、チームプレーが苦手で自己中心的な行動を取ります。

 

(7)相手を鏡のように使う

自己愛性パーソナリティ障害に人は、自己存在感が薄く、相手を鏡のようにして自分を映し出します。こちら側が笑顔で共感的に接すれば、彼らの心は安定していき、穏やかに過ごすことができます。こちら側が誉めれば、彼らの自信は深まり、とても喜びます。こちら側が嫌えば、彼らも嫌いになり、トラウマを植え付けてこようとします。こちら側が弱みを見せれば、彼らも、強がる必要がなくなり、等身大の自分を見せてくるようになります。自己愛性パーソナリティ障害の人が成長していくには、等身大の自分を育てていく必要があります。

 

(8)ターゲットにされると

自己愛性パーソナリティ障害の人は、理想化された対象との幻想的な一体感を求めていて、それが叶わないと、無力化していき、自分が自分で無くなる不安があります。そのため、理想化された対象をめぐる競争では、負けないように必死に頑張り、周りをコントロールすることもあります。そして、彼らは、競争相手(ポジション争い)になる相手を、ライバル視してしつこく粘着してくるようになります。ターゲットにされた人は、こき下ろしにあったり、悪い噂を流されたり、しつこく付き纏われたり、ろくなことがありません。彼らのターゲットになった人は、虐待やいじめ、パワーハラスメント、モラルハラスメント、セクシャルハラスメント、アカデミックハラメントを受けることになり、精神的に追い詰められます。そして、被害者は、無表情になり、うつや不眠、情緒不安定、体調不良、対人恐怖、解離などの様々な症状を呈して、生きる屍のような状態になることがあります。また、なかなか誰にも相談できないため、解決の糸口が見つからず、不幸な運命を辿りがちです。彼らのターゲットにされた場合は、自分の境界を高く設定して自分を守るとか、無視するとか、八方塞がりな状況にいるなら逃げるほうがいいです。

 

(9)言い争うこと

自己愛性パーソナリティ障害の人とは、言い争うことを避けた方が無難です。彼らは、子どもの頃から、過酷な環境で育っており、間違った親のもとで、理不尽な目にあってきました。そのため、彼らの考え方は独特で、生き抜くために、彼らなりの正論があります。彼らは、通常の人たちもより、猜疑的で細かいところまで気にしているのが特徴です。また、話し相手の矛盾を突くのが得意で、自分の正論を押し通そうとしますが、話し相手が乗ってくれないと、イライラします。そのまま目つきが変わる過覚醒の闘争モードに入ってしまうと、相手を打ち負かそうとします。そして、相手を打ち負かして、物事を白か黒かはっきりさせるまでしないと、気持ちがスッキリしません。その結果、実りのある議論にならないばかりか、人格否定されて、おまけに彼らの中身の薄っぺらさや感情の欠落に気づくことになり、時間を無駄にします。

 

(10)負の感情の大きさ

自己愛性パーソナリティ障害の人に嫉妬されないようにしたほうがいいです。彼らは、相手の容姿や服装、能力、育ちの良さなどに憧れる一方で、さまざまなことに妬み、羨みます。生活全般のつらさから負の感情が大きくなると、無意識のうちに相手を傷つけたくなり、危険な行動に走ってしまうことがあります。ターゲットにされた人は、トラブルに巻き込まれて不幸な運命を辿ります。

 

(11)接することの注意点

自己愛性パーソナリティ障害に人は、自己中心的で、狡賢いです。彼らに接する人は、出来ることと出来ないことをはっきりさせて、無理してまで何かをすることは辞めたほうがいいです。一生懸命に何かをやってあげても、見返りはほとんど返ってきません。また、彼らはどんどん厚かましくなっていき、要求のレベルが上がっていきます。そして、相手を自分の手足のように思っているので、自分の思う通りに動いてくれないと怒り出すようになります。

 

(12)逃げることも考える

自己愛性パーソナリティ障害の人と長い時間関わると、疲れ切ってしまうかもしれません。毎日、顔を合わせなければならないなら、ボロボロになる前に逃げ出すことも勇気のある行動だと思います。自己愛性パーソナリティ障害の人と関われば関わるほど、不当に利用されるため、病気に罹ったり、自分の運気を下げていきます。本当の自分の幸せを考えると、自己愛が強い人よりも、利他的な人と共に過ごした方が断然いいのは間違いないです。

 

(13)病的な自己愛への対処

健康的な自己愛の人は、社会的な交流のなかで、自分の安心感を獲得して、自分を大切に思います。一方、病的な自己愛の人は、社会のシステムには乗らず、闘争のなかで自分の安心感を獲得して、自分に価値があるように思います。 そのため、自己愛性パーソナリティ障害の人は、他者と協調するよりも、勝ち負けにこだわるところがあります。パートナーは、彼らのトラウマにまみれた闘争の歴史をしっかり笑顔で聞いてあげて、尊重していく必要があります。 

 

(14)自己愛性パーソナリティ障害からの脱却

普通に彼らと接していても自己愛性パーソナリティ障害の人を変えることはなかなかできません。もし彼らを変えようと思うなら、彼ら以上に強い個性を持ち、影響を与えられるかどうかです。また、彼らが憧れるような強く正しい人間になるとか、理想的な人間になれるかどうかです。人格の変容には、彼らが理想化した対象に対して、闘争モード(自己愛憤怒)に入ることで、傷つけてしまうことが起きます。そのとき、理想化された対象の方が彼らに対して、分かってあげられなくてごめんねという言葉をかけたり、闘争モード(自己愛憤怒)を引き起こした原因は自分の方にあるからと、自分の非や弱点を認めることが重要なポイントになります。そうすることで、自己愛性パーソナリティ障害の人は、理想化した対象を傷つけたことへの罪悪感や自責感、悲哀、償いの気持ちでいっぱいになります。そして、二人の関係(良い自己と理想化され対象)は、バッチリと当てはまるようになるので、対象を求める質が変容し、新しい行動が獲得されていって、自己愛性パーソナリティ障害が良くなります。

 

(15)自己愛性人格障害の人と仲良くする方法

自己愛性人格障害の人は、100%の安全や穏やかさ、実益を求めています。また、一心同体的な価値観の一致を求めています。安全や実益を求めているため、お金にケチな人が多く、プライドの高さから、自分がお金を使う分にはいいのですが、パートナーに勝手にお金を使われるのが嫌で、細かいことまでチェックします。このような特性があるので、パートナーは、彼ら以上にケチになった方が関係はうまくいきます。また、穏やかさを求めているため、パートナーは、作り笑顔でもいいので、笑顔でいたほうが良いでしょう。彼らが仕事から帰ってきたときは、喜んで元気に迎えてあげてください。また、疲れやすい体質なので、一人きりでいたいときには、そっとしておいてあげてください。彼らの身体は、肩が上がり、首が固く、お腹に力が入っていますが、パートナーは、その逆で常にリラックスした状態で過ごしてください。彼らがややこしいことを言っても、話半分で聞きましょう。彼らの背後にはトラウマによる過緊張や闘争状態があり、子どもの頃から、不安を危機を感じてきたからこそ、自己愛が病的に肥大化していることを十分に理解してあげて、自他の区別をしっかりつけましょう。そして、彼らを緊張状態から、さらに委縮させないように気をつけながら、たくさん良いところを探してあげて、褒めてあげることが重要です。また、パートナーの方も自分の個性や感情をしっかり言葉にしても良いと思います。そして、自己愛性人格障害の人があなたを尊敬するようになれば、永続的に良い関係が築けるでしょう。

 

(16)その他

自己愛性パーソナリティ障害の方と接する人は、自分も相手も安心できるような環境を作ることが重要です。また、自己愛性パーソナリティ障害の人は、内なる子どもの部分が理不尽な大人に捕まえられて、不条理な目にあわされ、無力に打ちのめされた体験をしています。そして、自分だけの使命を持って孤独に戦っているという視点を持てれば、関わり方を変えることができるようになると思います。最初は、彼らの環境を調整しながら、エネルギー量の調整とストレスの原因を取り除いていくことが求められます。また、接する人は、彼らに共感的に波長を合わせていくことで、彼らの断片化した自己がまとまりを帯びていきます。さらに、瞑想やヨガのエクササイズに取り組むと、身体内部や精神内部にも注意を向けれるようになるので、その流動性をじっくり味わい、生理機能や自己調整能力を強化していくことができます。

 

(17)瞑想による神秘体験と変容

自己愛性人格障害の人の心理療法ですが、従来の対話のみでは、全部表面ですべってしまって、心に響かず、改善されないまま終わることが多いです。当相談室では、トラウマの種類によって違ってきますが、本人に負荷をかけていくことで、自然治癒力を引き出し、神経システムを平衡状態にして、穏やかな性格に変えていく治療を行います。瞑想により、望みのなさや悲しみ、取り返しのつかない恐怖を思い浮かべて、身体の反応を見ていきます。そして、地獄の最下層の凍漬地獄に辿りつくことができれば、身体と心にものすごい反応を起こります。地獄を体験しつくすと、天国へと上昇していきます。涙が溢れて、温かいピリピリした波に包まれるかもしれません。温かいものが両腕や両太もも、身体の中に入ってくるかもしれません。手足が膨らんで、ほっぺも膨らんで、首と肩がリラックスして、お腹の中が熱く柔らかい感じがしてきます。このように身体の内側から変化を起こし、生きた心地を取り戻すようなセッションを繰り返し行っていって、新しい自分に生まれ変わることを目指します。

 

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