インナーチャイルド

▶インナーチャイルドとは

 

インナーチャイルドとは、心と身体の内側にいる子どものことです。個人の中心にある本当の「私」であり、冒すことのできない無垢さ、穏やかさを表しています。その一方で、トラウマによって、傷つき怒っていて、自分の意志に反した行動を取るか、恐怖にすすり泣いて、痛みを負っているインナーチャイルドもいます。褒められてきた良い子どもには、保護的な守護者がつき、罰を受けてきた悪い子どもには、迫害的な批判者がつき、内的にシステム化されていきます。

 

解離性症状が重い人のなかには、身体の中にインナーチャイルドがいて、膝を抱えたまま凍りついていることがあります。また、そのインナーチャイルドは、あなたの心の奥底で夜な夜な加害的な人物の足音に怯えているか、永遠に氷漬けにさせられているかもしれません。インナーチャイルドがどのようにして生まれるのかというと、幼少期にトラウマがあって、冷たく厳しい道を歩いている子どもは、その環境に適応するために、特別に早く成長する必要があります。その一方で、弱弱しく甘えるだけの自己部分は、生活全般の困難により、心と身体は凍りついて、身体の中に閉じ込められてしまったり、宙に浮いていたりします。こうして、成熟して大人になっていく子どもの部分と退行したままの未熟な子どもの部分が別々に成長いくことがあります。

 

精神分析家のシャーンドル・フェレンツィは、内なる子どもを、「無意識内の純粋に心的に苦悩している存在。覚醒時の自我がそれについてまったくなにも知らないもともとの子供である。この断片には、極端に疲労し消耗した状態、つまり神経症的(ヒステリー的)爆発のあとにおとずれる深い眠りかあるいは深いトランス状態においてしか触れることができない。分析家は、努力を重ねきわめて特殊な行動規範にのっとることによってはじめて、この部分、すなわち抑圧されたありのままの感情と接触することができる。それは気を失った子供のように振る舞い、自分自身についての認識をまったく欠いており、うめき声をあげるくらいしかできないので、精神的に、ときには身体的にも揺り起こしてやらねばならない。起こって出来事の現実性を徹底的に信じていなければ、「揺り起こし」も説得力や効果をもたない。しかし、分析家にその出来事があったという確信があり、苦悩する存在への共感的な感情がともなっているならば、周到な問いによってその存在の思考力と志向性を導いて、かつてのショック状況について少しでも語り思い出すところまで導くことができるだろう。」

 

▶インナーチャイルドに呼び戻すと

 

子どもの頃にトラウマがある人は、恐怖により身体が麻痺していくと、何も感じることができなかったりします。そして、自分が自分でなくなってしまいます。トラウマを解放させるためには、インナーチャイルド(内なる子ども)に出会う必要があります。方法としては、セラピストの指示のもと、身体のみぞおちあたりのソワソワや、お腹のあたりの温かみ、胸のあたりのザワザワ、首やあごの緊張しているところに意識を集中させていくことで、当時の状況や感覚、感情を思い出すことができます。子どもの頃の苦しかった感覚に戻ることで、身体の固まった部分に意識を向けられるようになり、時間をかけて感じていくと、温かくピリピリした波に変わります。また、当時の蘇ってきた感情をしっかり言葉にすることで、身体の麻痺から覚醒状態に持っていくことができます。このようなセッションを繰り返すことで、本来の私の感覚が戻ってきます。

 

ただし、解離性症状の重い人がインナーチャイルドを解放してしまうと、現在の大人の私の生活に混乱を与えてしまうかもしれません。インナーチャイルドの持っている嫌な記憶や身体の痛みが蘇ってきて、それに耐えられないと、体調が悪くなり、身体がおかしくなることがあります。そして、インナーチャイルドが解放された分、自分が自分で無くなってしまって、子どもに戻ってしまうことがあります。特に、夜に部屋で一人でいるとき、思考力の低下から、子どもに戻ることがあります。今まで甘えられなかった子どもの部分が出てくるようになると、本来の私の意志に反して、普段だったらできないような恥ずかしいことをするとか、親しげに話すとか、過去の傷つきを話すとか、後先考えず勝手な行動を取ってしまうかもしれません。そのため、大人の私は、しばしば嫌な思いをするようになるかもしれません。

 

参考文献

シャーンドル・フェレンツィ:『臨床日記』(訳 森茂起)みすず書房

 

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