トラウマ解放エクササイズ

▶トラウマからの解放

 

子どもの頃からトラウマを受けている人は、体や情緒に隔たりがあります。人は体と心が危険に曝されると、自らを守ろうとして無意識のうちに、筋肉は収縮します。しかし、慢性的に体の収縮が取れずにいると、体は闘争・逃走・凍りつき・擬死状態にすっかり染まり、ストレスホルモンに浸され続けます。そして、過活動や過緊張から、心的エネルギーが乏しくなると、仕事しても簡単なことで失敗したり、周りの人から、やる気がないとかのレッテルを貼られたりします。また、ストレスから睡眠障害や疲労が蓄積されていくと、生き生きと世界が枯渇していき、生活全般が困難になって、現実感が失われていきます。さらに、周りに迷惑をかけたくないからとか、心配をかけたくないからと無理を続けていくと、脳や体の方が炎症や痛みを引き起こして、慢性疾患や原因不明の身体症状に罹りやすくなります。

 

▶トラウマ解放のリラクセーション

 

身体を動かさず、ただじっと座ります。呼吸を深くして、お腹が膨らむように鼻から息を吸い込み、お腹から少しずつ息を吐いていきます。目を閉じた状態で、安心できるとか望ましいイメージを浮かべながら、リラックスして過ごし、身体の内なる感覚の気づきを得るために、呼吸に意識を集中させるか、または体内の宇宙を見て回ります。何か生理的な反応に気づいたら、今度はその変化が起きるまで、そこに意識を集中させてじっくり感覚を確かめていきます。重要なポイントとしては、人の意識(脳のネットワーク)は、自分の体を自然回復させる力があるということです。意識に痛みが混じっていると、身体が縮まり、痛みになりますが、フラットな意識で、身体を見ていくと、本来の自分の姿に戻ります。意識を向ける場所として、最も変化が期待できるのは、脳と顔、喉辺りになります。脳と顔のパーツを繋ぐ神経や筋肉に意識を向けると、今まで浮かび上がらなかった体の感覚に気づくかもしれません。その後、様々な変化を見せていく体の感覚を追跡していくと、最終的に温かくなり、リラックスした状態に至ります。

 

例えば、離人症の場合は、頭(心)と体が繋がっていません。痛みの体を切り離して、頭の中で生活するようになります。頭と体を一致させるには、凍りついた肩を動かして緩めたり、頭と体を繋ぐ首をマッサージをしたりして、手や胴体に感覚を戻します。手の場合は、物に触れている指の感覚に意識を向けて、じっくりと味わっていくところから始めましょう。足の場合は、正座をした足に意識を向けていくと、じんじんして痺れているという感覚が生まれます。それをじっくり味わい、正座を続けることで、じんじんとした感覚が段々と強くなります。その感覚に注意を向けながら、足を崩すと、足全体に電気が走りまくって、足の指先に神経が通っていることが分かります。そして、足の裏を床に接地させて、実際に動かしたように足を動かしてもらって、地に足をつけて歩いているという実感を持つことができるようになります。こうしたセラピーを繰り返すことで、足がフワフワした状態から重力を感じとれるようになり、次第に離人感は取れていって、前よりも生き生きとした感覚を味わえるようになります。フラットな状態で自分の身体の感覚に向き合うことが怖い人の場合は、望ましいイメージや安心できる記憶を思い出して、頭の中で思い浮かべてください。何か幸せなイメージを膨らましていくことで、頭と身体の神経は繋がっているので、身体の状態は変わります。この身体感覚は変化に気づくことで、自分が自分でないという離人感は解消されます。そして、幸せな自己イメージをしていくことで、全身は温かくなり、強さに取って代わるでしょう。

 

離人症は、自分の身体が自分ではないと感じられるとか、自分が自分で無くなる病気です。この症状が出ているときは、理性を司る大脳新皮質に対して、筋肉や内臓感覚を伝える場所である「島」という部分が活性化していません。そのため、マインドフルネス瞑想やソマティックエクスペリエンス、アクセプタンス&コミットメントセラピーを組み合わせて、体内の宇宙を見て回り、内なる感覚に意識を集中させて、繰り返していくことが有効です。まずが、心地良い時の身体の状態を見て、自分の身体と仲良くなっていきます。その一方で、不快感、焦り、苦しい時の自分の身体を見て、その身体と仲良くなります。不快な時の身体を受け入れた後の心地よい解放感を知ることができれば、不動・麻痺状態に入ること自体を恐れなくなるので、症状が回復していきます。

 

▶リラクセーションの効果

 

内なる感覚を感じながら、注意を向けていくことにより、身体の緊張している部分に気づけて、自分の防衛的態度が分かります。自分の防衛的態度が分かれば、それを手放して、次には自信を持って、外の世界の人々と繋がれるように、身体の緊張状態や人に対する敵意を少しずつ解きほぐしていきます。リラクセーションのための身体の観察や意識の向け方が分かってくると、自己調整能力が高まり、大舞台を含めたあらゆる場面での応用が利きます。次第に、内なる声を聞く耳と自分を外から見る目が獲得されて、外の世界の見え方も少しずつ変化していきます。そして、こころに余裕が出てくると、個としての自分も強くなり、一年前にはとても苦しかった出来事が、今では同じ出来事が起きても、憂鬱さや不安定な感情を糧にできるように成長していきます。その結果、悲しみや苦しみを能動的に受け入れて、自己コントロール能力、目的達成力、集中力が高まり、やるべき勉強や仕事に取り組めたり、一呼吸置いてからこの世界の人と関わることができるようになります。トラウマという逆境から立ち上がると、人は多面性という個性や創造性を獲得していくことになります。

 

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