凍りつくトラウマ
▶凍りつきや不動状態とは

 

カウンセリングに来られる方は、統合失調症、双極性障害、ADHD、自閉スペクトラム症、発達障害、うつ病、境界性人格障害、PTSD、解離性障害、解離性同一性障害、性同一性障害、慢性疼痛、慢性疲労、犯罪被害者、性暴力被害者、犯罪加害者、ドメスティックバイオレンス、モラルハラスメントなど様々な方が来られます。様々な症状や問題を訴えてくる方の7割以上(女性は8割)は、その背後にトラウマの凍りつきや慢性的な不動状態を体験されています。

 

人がトラウマの衝撃に曝されるとき、その衝撃で極限まで引き伸ばされて、一気にギュッと縮みます。そして、その縮んだところでロックされて動けなくなる状態がトラウマの状態と言えます。トラウマ後も、生きることが辛い人は、ギュッと身体が縮まっている状態から抜け出せずに、無意識下で過緊張や凍りつきが持続しています。この生物学的メカニズムの影響で、交感神経と背側迷走神経が過剰になっており。解離や鬱、パニック、過覚醒、フラッシュバック、身体の麻痺、睡眠障害、意識の狭窄、体内の炎症、喘息、頭痛、腹痛、肩こり、めまい、吐き気、下痢、便秘、原因不明の身体症状、攻撃性、自責感に悩みます。そのため、精神疾患や問題行動の中核には、トラウマの生物学的メカニズムと原始的な神経の働きに注目する必要があると考えています。

 

嫌なこと思い起こして、凍りつくまでの時間が短い人ほど、発達早期に外傷体験を負っていて、重度のトラウマや発達障害の傾向、うつ症状、解離症状、離人症状を持っています。些細なことで、凍りつく人は、緊張するとすぐに首や肩が固まり、指先が冷たくなります。嫌な気配に対しては、冷や汗が出て、ソワソワして落ち着かず、動き出したくなります。他者の怒りの表情や心ない言葉でショックを受けて凍りつき、無意味なことを強制させられると硬直するか、眠くなり、想定外の事が起きると体に痛みが走ります。長年に渡って、常に凍りついた状態で生活している人は、体の感覚や気持ちが無くなり、自分が自分で無くなります。ガチガチに凍りつくことで、気管支は狭まり、息は浅く、心拍数も下がって、血液の循環が悪くなり、手足が冷えます。また、体の関節の変形の痛み、もの凄い眠気、睡眠障害、頭痛、腹痛、胸の圧迫感に悩まされます。さらに、免疫機能や内分泌系に影響が出て、心身の様々な症状に翻弄されます。

 

▶自然災害と凍りつき症候群

 

トラウマの凍りつきは、災害救援の方からは、凍りつき症候群と言われており、ありふれた症状であるようです。人は虐待、自然災害、事故に直面すると、想定外の衝撃を受け、切迫した状況に陥ります。恐ろしい体験に怯えて、体や思考は硬直して、頭の中は真っ白になります。身体は凍りついたように固まり、言うことを聞かなくなります。災害時に、パニックを起こす人は15%、適切な判断を下せる人は15%、身体が凍りついて動けなくなる人は70%と言われています。私も阪神大震災の被災体験をしていますが、そのとき、震度7の縦揺れ、横揺れの激しさで体が動かなかったのではなく、実際には、体が凍りついて動けなかったのではないかと今では思います。日本は、自然災害が多い地域なので、日本人の多くが、生活全般のストレスと慢性的な収縮状態のなかで生活している可能性があります。

 

▶凍りつくトラウマ

 

凍りつくトラウマとは、予期せぬうちに起こってしまった体験で、恐怖や戦慄のショックを受けて、体がギュッと縮まって、凍りつき、体の中に膨大なエネルギーが閉じ込められます。人がトラウマに曝されると、アクシデント的なショックがすごい痛みになり、胸を突き抜けていきます。足をギュッとして、歯を食いしばり、バンと刺された感じで、ものすごい痛みが走ります。血まみれ状態で胸の痛みやショックから、心臓や首、肩、腕、指先、足、顔が勝手に硬直していきます。視野は狭くなり、全身が縮まっていって、息苦しくなります。手先と足先の末端から冷たくなっていき、膝の上までいくと、その辺に血液が流れなくなって、肌の表面に霜が張ったようになって、体がガクガクして、凍りつきます。動けないフリーズ状態では、体が重くて固まって、物事を考えられなくなり、どうしたらいいのか分からなくなります。また、目が乾き、焦点が合わず、目の前の一点をじっと見ています。凍りついた人を外から見ると、無表情、無反応なように見えます。凍りついている人は、周りの声は聞こえていますが、自分から話すことはできず、動けません。

 

一度トラウマを抱えてしまうと、体に痛みとして刻み込まれます。トラウマ後も、急な出来事や予想外の事が起きたり、思い通りにいかないことがあると、痛みで体が凍りつくようになります。また、身体がしんどくて、疲れていると、体が凍りついて、虚無に落ちていくかもしれません。

 

凍りつきからの回復には、痛みのショックでジンジンと麻痺していて、自分の体が自分ではない状態の感覚に意識を向けることから始まります。凍りついて固まった体に意識を向けていくと、ジンジンとした麻痺が取れて、血流が良くなり、温かくなって、全身がすっきり軽くなります。そして、体の中に空気が入ってきて、心地良くなり、前の自分から生まれ変わって、新しい体を手に入れたような感じがします。

 

また、解離症状の重たく、常に凍りついて生きている人が全身の滞っていたエネルギーを吐き出すかのように大粒の涙を流し、体をブルブルと震わせることがあります。ブルブルと震えるとき、固まる様に閉ざされていた感覚や感情、喜びの全てが心の中から溢れ返ります。そして、光の霧が溢れ返り混じり合う現実の感覚が戻ってきます。この五感の全てが震える神秘状態は畏怖すべきものであり魅惑的なものでもあり、ルドルフ・オットーの「聖なるもの」と言われています。

 

▶トラウマの凍漬地獄

 

幼少期から、様々なトラウマがある人は、毎晩、地獄のような体験をしていることがあります。夜になると、闇に記された記憶が蘇り、それに怯えて、頭の中がぼーっとして、硬直していきます。胸が苦しく、神経が痛み、身体は凍りつきます。凍りついた後に、絶望があると、手足がバラバラになるか、力が入らなくなって、地面に横たわります。重いトラウマがある人は、恐怖が蘇るたびに、原始的な神経が働き、頭がフリーズしたり、感情が消えたり、身体が固まり動けなくなります。対人場面では、緊張が高まりやすくなり、人が後ろに立ったりすると、身体が勝手に反応して、固まるか、胸が痛むか、頭の働きが鈍くなるか、震えます。身体が凍りつく前後は、恐怖による過剰な覚醒と覚醒の低下の両方が起きており、体は収縮していきます。恐怖に身体が震え、胸が痛くて、心臓がばくばくいって、お腹が気持ち悪くなります。痛みで声はか細くなり、すすり泣きます。

 

苦しさが蘇ると、理不尽な目にあいながらも、服従させられて、言われたとおりにやってきたことが思い出されます。やりたくないことをもう嫌だと思いながらも、やらされてきたことに、限界がきて、凍りついて動けなくなります。人は、切迫した状況に立たされ、闘うことも逃げることもできず、問題を解決できないまま、見捨てられたり、服従を強いられたり、八方塞がりになると、身体は凍りつき、不動状態に入ります。

 

人は、凍りつく前後に死んだような状態になります。その状態から回復しても、健全な攻撃性や復讐を果たせない自分に対して、自己否定が強くなり、自暴自棄な行動を取りやすくなります。例えば、過食、ギャンブル、買い物、行きずりのSEX、イライラ、怒り、危険な行動などをとり、その後、自責、罪悪感、自傷などに至ることがあります。解離性障害や解離性同一性障害の人は、凍りついて、固まり閉ざされたあとに、人格交代するか、機能を停止させて、無になったり、あちら側の世界に飛んだりします。

 

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