凍りつくトラウマ
▶凍りつきや不動状態とは

 

カウンセリングに来られる方は、統合失調症、双極性障害、ADHD、発達障害、うつ病、境界性人格障害、PTSD、解離性障害、解離性同一性障害、性同一性障害、慢性疼痛、慢性疲労、犯罪被害者、犯罪加害者など様々な方が来られます。様々な症状や問題を訴えてくる方の7割以上は、その背後にトラウマの凍りつきや不動状態を体験されており、その生物学的メカニズムからの解離や鬱、攻撃性に悩んでいます。そのため、精神疾患や問題行動の中核には、トラウマの生物学的メカニズムと原始的な神経の働きに注目する必要があると考えています。

 

▶自然災害と凍りつき症候群

 

トラウマの凍りつきは、災害救援の方からは、凍りつき症候群と言われており、ありふれた症状であるようです。人は虐待、自然災害、事故に直面すると、想定外の衝撃を受け、切迫した状況に陥ります。頭の中は真っ白で、身体は凍りついたように固まります。災害時に、パニックを起こす人は15%、適切な判断を下せる人は15%、身体が凍りついて動けなくなる人は70%と言われています。私も阪神大震災の被災体験をしていますが、そのとき、震度7の縦揺れ、横揺れの激しさで体が動かなかったのではなく、実際には、体が凍りついて動けなかったのではないかと考えています。日本は、自然災害が多いので、日本人の多くが、生活全般のストレスと慢性的な収縮状態のなかで生活している可能性があります。

 

▶凍りつくトラウマ

 

凍りつくトラウマは、予想外のことが起きる恐怖や思い通りにいかない恐怖などあります。アクシデント的なショックがすごい痛みになり、胸を突き抜けていきます。バンと刺された感じで、ものすごい痛みが走ります。血まみれ状態で胸の痛みやショックから、心臓や首、腕、指先、足、顔が勝手に固まっていきます。視野は狭くなり、全身が縮まっていって、息苦しくなります。手先と足先の末端から冷たくなっていき、膝の上までいくと、その辺に血液が流れなくなって、肌の表面に霜が張ったようになって、体がガクガクして、凍りつきます。

 

凍りつきからの回復には、痛みのショックでジンジンと麻痺していて、自分の体が自分ではない状態の感覚に意識を向けることから始まります。凍りついて固まった体に意識を向けていくと、ジンジンとした麻痺が取れて、血流が良くなり、温かくなって、全身がすっきり軽くなります。そして、体の中に空気が入ってきて、心地良くなり、前の自分から生まれ変わって、新しい体を手に入れたような感じがします。

 

▶トラウマの凍漬地獄

 

幼少期から、様々なトラウマがある人は、毎晩、地獄のような体験をしていることがあります。毎晩、闇に記された記憶が蘇り、神経が痛んで、身体が凍りつきます。重いトラウマがある人は、恐怖が蘇るたびの、原始的な神経が働き、身体が固まり動けなくなります。対人場面では、緊張が高まりやすくなり、人が後ろに立ったりすると、身体が勝手に反応して、固まるか、胸が痛むか、頭の働きが鈍くなるか、震えます。身体が凍りつく前後は、恐怖による過剰な覚醒と覚醒の低下の両方が起きており、体は収縮していきます。恐怖に身体が震え、胸が痛くて、心臓がばくばくいって、お腹が気持ち悪くなります。痛みで声はか細くなり、すすり泣きます。

 

苦しさが蘇ると、理不尽な目にあいながらも、服従させられて、言われたとおりにやってきたことが思い出されます。やりたくないことをもう嫌だと思いながらやらされてきたことに、限界がきて、凍りついて動けなくなります。人は、切迫した状況に立たされ、見捨てられたり、服従を強いられたり、八方塞がりになると、身体は凍りつき、不動状態に入ります。

 

人は、凍りつく前後に死んだような状態になります。その状態から回復しても、健全な攻撃性や復讐を果たせない自分に対して、自己否定が強くなり、自暴自棄な行動を取りやすくなります。例えば、過食、ギャンブル、買い物、行きずりのSEX、イライラ、怒り、危険な行動などをとり、その後、自責、罪悪感、自傷などに至ることがあります。解離性障害や解離性同一性障害の人は、凍りついて、固まり閉ざされたあとに、人格交代するか、機能を停止させて、無になったり、あちら側に飛んだりします。

 

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