▶レジリエンスを高める

 

トラウマから回復するには、喪失に耐えるだけの個人と家族、地域のレジリエンスを育てることが大事です。レジリエンスとは、精神的回復力、復元力、逆境力、弾力などと訳されますが、こころの傷つきから回復する力という意味で、メンタルヘルス領域で注目されている言葉です。ソマティックエクスペリエンスの理論で言うと、収縮と拡張という人間本来のペンデュレーションが出来ている人は、レジリエンスが育っています。

 

個人のレジリエンスは、その人を構成する様々な要素、かつ複雑な相互関係を持っており、また、生まれ持った資質と、育ちのなかで獲得されるもの、考え方、感じ方まであると考えられています。

 

◆生まれ持った資質は

 

①自分に大丈夫だと思えて、なんとかなるさとまだ起こっていないことで不安にならない。

②社交的に振る舞うことができて、人間関係が上手。

③自分勝手に根拠のない自信をもてる。

④社交的で誰とでも仲良くなれる。

⑤たとえ努力が報われてなくても、粘り強く最後までやり遂げることができる。

⑥辛いことでもやり過ごして幸せなときを待てる。

⑦挫折や困難な状況に対しても上手く適応できる。

⑧自分の感情を上手くコントロールできる。

 

◆育っていく過程で獲得されるもの

 

①人に思いやりの気持ちを持って行動することができる。

②過去の経験や行動から得られたものをたくさん持っている。

③相手の言い方や微妙な表情の変化から、相手の気持ちを汲み取ることができる。

④自分のキャラクターについて理解している。

⑤自分の気持ちや考え方がよく分かっている。

⑥相手とすれ違いやわだかまりがあっても、積極的に解決できる。

⑦嫌なことがあっても、自分の気持ちの変化に気づけている

⑧相手の気持ちや考え方に共感することができる。

 

人が複雑な社会を営むなかで、思考の構えや価値観を柔軟にして、ポジティブにもネガティブにも自分の価値を変えることができると、逆境体験もストレスになりにくいです。一方で、自分の感情をコントロールできず、自分の価値判断を過小評価しすぎると、逆境体験を乗り越えづらくなります。また、逆境体験を乗り越えられない人は、身体に安心感がもともとなく、予測できないことや不確かな人間関係を恐れます。さらに、安全かどうかが細かいところまで気になり、失敗することを過度に恐れていて、警戒心が高いです。

 

▶トラウマの克服には

 

トラウマの克服には、カウンセリングだけでなく、瞑想、ヨーガ、ダンス、スポーツ、武術、芸術、学術など、社会や人類、環境、自分の生活に役立つことに情熱的に取り組むことが良いとされます。そして、耐え難い現実の苦痛に対しても、後向きにならずに、前向きに努力したほうが自分のためになるという覚悟を決めます。しかも、自分の決めた大きな目標を対して、何年もかけて行うようなとてつもない時間と情熱を持てるかどうかがポイントになります。長年かけて取り組めるようなものは、自分の幸せといった利己的な動機ではなく、別の何かに心が向けられ、自分より他者の幸せや社会貢献、地球環境のために学問や芸術を追求していくことになるでしょう。