凍りついた世界の支配者

▶ドメスティックバイオレンス(DV)加害者の特徴

 

ここでは、ドメスティックバイオレンス(DV)をする加害者と被害者の関係について描いていきます。ドメスティックバイオレンスをする加害者は被害者を見張っていて、被害者は徐々に身動きが取れなくなっていきます。別の言い方では、被害者は加害者の凍りついた世界(身動きはとれない世界)に押し込められていきます。このようなドメスティックバイオレンス、もしくはモラルハラスメントを行う加害者のことを「凍りつきの番人」と呼びます。

 

DV加害者(凍りつきの番人)は、自己愛の特徴やボーダーライン的な特徴を持っています。彼らは温かい人間の真反対の存在で、相手を凍りづけにして、どんどん搾取して、生き地獄のような状況に引きずり込むような人間です。彼らは、表向きは普通のように見えますが、心の中は、いつも虚しくて、空っぽで、自分に向き合うことができません。無意識下では、ぐちゃぐちゃな感情があり、嫉妬や怒り、無力感、劣等感、気持ち悪さ、執着の塊のようなものになって、相手を逃がしません。自分が傷つけられそうになると腹を立て、何倍にもして返すことで、相手に痛いを思いさせて、自分の痛みに気づかせます。心の中の自分は、解くことができない迷路のような世界を彷徨っています。親しくできる相手を見つけたらどさくさに紛れて自分の世界に誘い込み、自分が有利で相手が不利になるように仕組みます。そして、相手を身動きを取れなくして、自分が有利になるようなマイルールを押し付けます。

 

例えば、DVを行うような加害者の状態というのは、自己否定的で、警戒心が強く、慢性的なストレスと緊張を抱えています。ストレスが掛かると、体は縮まって、本人は何者かに押さえつけられているかのように感じ、いつも重圧に悩まされています。体の中には、闘争・逃走の莫大なエネルギーが滞っているため、それを持て余しています。しかし、一旦押さえつけられていたものが取れると、突き抜けた行動をとることもあって、そのエネルギーが暴飲暴食、衝動買い、SEX依存、感情の爆発、攻撃行動、ギャンブル依存、薬物中毒といった行動に走らせます。ただし、感情を発散させた後は、またやってしまった自分を責めることがあります。

 

DV加害者は、一般的に被害を与えるばかりの存在として捉えられますが、実際には、加害者自身も過去に虐待の被害者だったり、親のDVの目撃者だったり、いじめなどの被害者だったりと、今まで傷つけられる体験をしていることが多いです。それらの経験によって、心身は深く傷つけられており、疲れている状況にあります。そのような状態で、成しうる抵抗の手段として、暴力が振るわれるようになります。そのために、DV加害者に関しては、弱者の立場に置かれた人間が取りうる抵抗としての言動という可能性もあります。暴力を振るわせるように動機づけたり、または暴力を振るう(モンスター)を作り出したのは、ある意味では彼や彼女らを傷つけてきた存在が背景にあるかもしれません。

 

DV加害者は、生活全般のストレスに対して、身体が過敏に反応するようになり、頭や胸が締めつけられたり、頭や顎、首、肩、背中ががちがちに硬くなります。常に凍りついた状態でいると、神経の働きが交感神経と原始的神経(背側迷走神経)の間を行き来するようになり、自分の身体の感覚が分からなくなります。そして、痛みや、寒さや暑さに鈍感になり、共感性なども低下します。また、一人でいると自分のことが分からなくなり、自分で自分を成り立たせることが難しいため、相手を自分の思い通りに動かすことで、自分を強化します。

 

身体の節々は痛みやすく、不快な刺激に弱くて、小さなことでも、嫌な記憶が蘇ると、その記憶が襲い掛かってきて、じっとしていられなくなります。人間関係で争いごとがあると、身体は硬直して、爆発しそうになり、攻撃的な行動や自暴自棄な行動を取ることがあります。普段から、自分の安心できる場所が無く、職場環境や人間関係などがうまくいかず、辞めてしまうことを繰り返して、社会の規則やシステムに適応することが難しかったりします。また、自分で自分の感情や欲求をコントロールできない場合には、お金の管理ができず、借金をしたり、自己破産したりしやすいです。

 

▶凍りつきの番人(加害者)と被害者の関係

 

凍りつきの番人(ドメスティックバイオレンスの加害者)は、笑顔の下で、冷たそうで、恐怖を与えてくる不気味な笑みを浮かべており、いつ手のひらを反してくるか分からない恐怖があります。被害者は、加害者の表情に恐れて、心と身体が凍りつき、身動きが取れなくなっていきます。加害者も凍りついた世界に生きてきましたが、被害者も凍り漬けにされて、身動きをとれなくなります。支配される被害者は、加害者に対して、常に気を使って喋るようになり、怒りの感情が出ても、そのような感情は無かったかのように振る舞い、それらの感情から自分を切り離します。加害者の圧力に負けて、会話を強制されても、発する言葉は棒読みのようになり、何を話していいかわかりません。そして、常に手が飛んでくるかもしれないという恐怖に怯えるようになります。加害者の理不尽な要求に従っていると、被害者の言動には心が伴わなくなり、彼らの要求に従うばかりになって、同じような言葉を繰り返すことになるために、加害者は苛立って、被害者は八方塞がりになります。

 

凍りつきの番人は、被害者と冷たい世界にいますが、たまに、欲が出て、外の世界(別のターゲットとか)を自由に出入りします。しかし、また、戻ってきたときに、その場所に誰かいないと、空っぽの自分に向き合うことになるので、その虚しさが怖くて、自分で自分を埋め合わせることができません。凍りつきの番人は、パートナーをはじめとする他者に常にいてほしいという欲求があり、自分の空虚を埋めるために、パートナーを内に閉じ込めてしまう状況になります。

 

凍りつきの番人が被害者を攻撃する際には、人が変わったようになり、瞳孔が開いて、目を見開き、鬼のような形相になります。被害者は八つ当たりをされている状況に理解ができず、会話も食い違うような場面が出てくると、凍りつきの番人は話がズレたことに対して感情的になり、些細なことでも手がつけられないぐらい相手を罵ります。被害者は、委縮させられ、頭が真っ白になり、何を言っていいかも分からなくなります。このような罵りや説教は、長時間に及びこともあるため、被害者は軟禁されているように感じます。

 

凍りつきの番人が調子のよい時は、被害者に対して、嘘をつき、こうしたらいいと調子のよいことを言います。だから、被害者は、それを信じて行動します。しかし、凍りつきの番人から自由になろうとすると、番人は機嫌が悪くなり、怒り始めます。そのため、被害者は、結局番人から自由になることが許されず、言動の自由が奪われて、選択肢が無くなります。そのため、被害者は凍りついた世界から抜け出すことが難しく、冷たい氷水のなかでブルブルと震え続けていくことになります。被害者は、自由になろうとしても、手足は掴まれていて、頭はキリキリし、番人に身体を掴まれているような感覚に陥って、過去の思い出が足を引っ張ります。そして、被害者の身体は、冷たくなり、手足は痺れて、節々が痛くなります。

 

被害者は、凍りつきの番人の要求に応えるしかなく、右に行けと言われると右に行き、左に行けと言われると左に行くように、しつけられていて、自分の意志がなくなります。そして、常に凍り漬けにされると、自分の体の感覚が分からなくなり、空っぽの身体になります。支配する側と服従する側の双方の関係性によって、その被害者の魂や主体性が抜き去られてしまうため、体が空っぽの容器になり、加害者にいい様に操作されるようになります。管理された空っぽの身体同士がお互いに依存しあうことで、関係性を維持していくので、互いの空っぽの身体がどんどん強調されていくことから、別れることができません。完全な負のスパイラルに陥ります。

 

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