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愛情不足で育った子供と大人の特徴


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 第1節.

親の愛情不足、それとも子供の発達障害


多くの人々が「生きづらさ」を感じることがありますが、その原因は一様ではありません。一つの考え方として、親の愛情不足が子供の「生きづらさ」を生む原因の一つであるとされています。ここで言う「愛情不足」とは、親からの感情的なサポートや理解、注意が足りなかった状態を指します。これにより、子供は自分の価値を認識できなかったり、他者との関係形成に困難を感じたりすることが考えられます。

 

一方で、子供自体が発達障害を持っている場合、それが「生きづらさ」の原因となることもあります。発達障害は、社会的コミュニケーションや行動の特性からくる難しさを持っています。そのため、日常的な生活や人間関係で挫折や困難を経験することが多くなる可能性があります。

 

しかし、これらの要因は排他的なものではなく、複数の要因が絡み合って「生きづらさ」が形成されることもあるのです。親の愛情と子供の発達の問題、どちらが原因かを一概に断定することは難しく、それぞれのケースにおいて綿密な理解とサポートが必要です。

 第2節.

日本の夫婦の繋がりは


日本の夫婦関係には、多くの場合、深い愛情よりも実利や損得を重視する側面が強いとの指摘があります。このような夫婦関係の中で育った子供たちは、愛情溢れる家庭環境を享受できないケースが少なくありません。夫婦間での損得勘定や経済的な問題が中心となると、そのような価値観を受け継ぐ子供たちは、親の行動や態度を尊敬しにくくなることが考えられます。

 

特に、お金や物事の取引を重視する親の姿を日常的に見て育った子供は、自身の存在意義や価値を正しく認識するのが難しくなりがちです。自分自身を正当に評価することが難しいため、自尊心が低くなる傾向にあると言えるでしょう。このような背景から、愛情や尊重、そして自己価値の重要性を再認識し、それを次世代に伝えることが求められています。

 第3節.

ネグレクトがトラウマになる3タイプ


家庭内で、子供の成長や感情が十分に支えられていない場合、その子供は親からの愛情や注意、関心を十分に受け取ることができずに育つことになります。子供にとって、親の愛情やぬくもりは基盤となるものであり、それを肌で感じることなく成長すると、自分は家族の中で孤立していると感じ、精神的なネグレクトを経験することになります。このような愛情不足とネグレクトの経験は、子供の心に深いトラウマとして刻まれ、大きく3つのタイプの反応を引き起こすことがあります。

 

まず一つ目は、自分の存在価値が否定されていると感じる子供です。彼らは、自らの存在が意味を持たないのではないかと考えるようになり、消え去りたいという思いを持つようになります。親からの愛情や関心を受け取れないことで、自分の影が次第に薄れ、存在感が失われてしまいます。彼らは家の中での居場所を失い、寂しさの中で静かに隅に縮こまって生活するようになる。その結果、彼らの個性や色彩が失われていくこととなります。

 

二つ目は、居場所や存在意義を求めて奮闘する子供です。彼らは自分の感情や欲求を押し殺して、他人の役に立とうと努力します。また、人々の注目を集めたくなることがあり、そのために過度に個性を発揮することも。しかし、深くはいつも愛情や関心が不足していると感じ、満たされない気持ちや自己不足感に苛まれることが多いです。

 

三つ目は、無視や拒絶の経験から、怒りというエネルギーで反発する子供たちです。彼らは親やその他の周囲の人々に対して強い敵意や怒りを抱え、時には非行に走ることも。この怒りは、自分を傷つける行動や他人への攻撃的な態度に変わることがあり、社会に対する敵意や疎外感を持ち続けることになります。

 

このような背景から、家庭の中での愛情や関心の重要性を再認識し、子供たちが安心して成長できる環境の確保が必要です。

 第4節.

愛情不足で育った大人の特徴


子供たちは、その成長や発展の過程で、家族、特に親に強く依存しています。彼らが健康に育つためには、親が安全で愛情溢れる環境を提供し、子供の身体的、精神的な成長をサポートする役割を果たすことが不可欠です。親からの愛情やケアが不足すると、子供は自分を安定させる基盤や支えとなる部分を失ってしまいます。これが継続すると、身体や心の健康な発展が妨げられ、脆弱性が現れることがあります。特に、身体の機能や脳の正常な発達が滞ると、大人になっても心や身体の問題が継続的に現れるリスクが高まります。

 

子供の健やかな成長のためには、まず日常の基本的なニーズを満たすことが大切です。具体的には、バランスの取れた食事、暖かい布団での良質な睡眠、そして何よりも親や家族からの保護と愛情を感じることが求められます。このような安定した環境で、子供は安心してゆったりと時間を過ごし、健全に発達していくことができます。

 

一方、親がこれら基本的なニーズを提供しきれない状況、例えば親の感情の起伏によって外に放り出される、食事の提供が不十分で常に飢えを感じるなどの状況下で育つと、子供の心や身体は大きなストレスを受けることになります。そして、このような不安定な環境で育った子供は、将来的に心や身体の様々な問題を抱えるリスクが高まります。親として、子供の成長をしっかりとサポートすることが、その健やかな発達の鍵となります。

 

子供たちは本質的に家族、特に親に依存して生活しています。特に愛情という感情は、子供の成長や発達にとって非常に大切な要素となります。愛情を十分に受け取れない環境で育った人は、子供のころから様々な困難に直面します。多くは、親を不安や悲しみで傷つけないよう、良い子でいようと努力し、親を喜ばせる方法を模索します。彼らは親の愛や関心を引きつけ、その愛情を手に入れようと懸命になります。しかしこれらの努力が報われない時、彼らは深い悲しみや苦しみを感じることになります。

 

親からの愛情が得られなかった結果、彼らの心は怒り、寂しさ、虚無感といった感情に包まれます。自分を愛してくれる人を探し、その人の愛やケアに依存することが多くなります。しかし、愛情を受け取るスキルや経験が不足しているため、愛情を示してくれる人の動機を疑ったり、相手に何らかの形で恩返しをしなければならないと感じることがあります。

 

愛情に飢えた状態で、その欲求を強く持ち続けるほど、その欲求が満たされない時の失望や痛みも大きくなるのです。期待と裏切りのサイクルを繰り返すうちに、人々への信頼が揺らぎ、他人を疑念で見るようになります。その結果、彼らの心は怒り、恨み、悲しみなどの負のエネルギーに捉えられてしまうことが多く、自己評価が低下します。「誰も私を愛してはくれない」「愛される価値がない」という考えが根付き、人間関係や恋愛においても自分本位な行動を取ることが増えます。そして、その結果として、相手が遠ざかると感じ、自分が拒絶されていると捉えることが多くなります。このような思考パターンが続くと、人々との関わりを避けるようになり、心を閉ざし、深い孤独感に苛まれるようになります。

 

子供は本質的に家族、特に親に深く依存して日々を過ごしています。そのため、愛情を感じられず、怒りや嫌みの言葉ばかりが繰り返される家庭環境で育つと、その毎回の言葉が子供の心に深い傷を残します。次第に、傷つくことへの耐性が低くなり、真実の感情を隠し、衝突を避けるような表面的な会話をするようになります。

 

子供の中で、真に伝えたい感情や想いは封じ込められることとなり、外から見れば強く、明るく、賢く、そして普通の子供のように見えるかもしれません。しかし、その多くの仮面の裏には、深く複雑な感情が隠れており、その感情は子供自身の成熟度とは裏腹に未熟なまま押し殺されています。これらの抑圧された感情に触れる瞬間、突如として息苦しさや胸の痛み、頭痛に襲われ、悲しみの余り涙が溢れ出すこともあるでしょう。

 

愛情を感じられなかった子供は、エネルギーを失い、他者との関係も希薄になります。人生の道程において、彼らは絶えず困難に直面し、解決の手がかりを失い、迷路の中で迷い続けるような存在となります。彼らは、自分が親に愛されていないという事実を直視することができず、この認識からの逃避を始めるのです。この深い悲しみの中で、彼らは愛着の対象を見失い、絶望的な気持ちになり、その状況からどのように逃れるべきかの方法すら見いだせなくなります。

 

その代わりとして、彼らは別の何かや誰かに依存するようになり、それを自分の存在価値や安定の源として大切にします。しかし、時間が経つにつれ、心からの笑顔や真実の感情を表現することが減少し、学業や趣味への情熱も次第に失われていきます。その結果、彼らは生きる喜びや意義を見失う恐れがあるのです。

 

子供はその成長過程の中で、大きく家族、特に親に依存しています。小児期から続くトラウマは、子供の精神に深い影を落とし、持続的な不安や怯えを引き起こします。その結果、心は次第に硬化し、閉ざされてしまいます。この状態は、身体が泥沼に取り込まれるかのように、自らの意志で動けなくなることを示しています。時は流れ、環境や友達が変わることもあれば、心の中の冷たく硬直したものは変わることなく残ってしまいます。親の期待を裏切ったと感じることで、自己評価は低くなり、自分には愛情を受け取る価値がないと感じるようになるかもしれません。その結果、避けられない運命や現実に対して絶望感を抱くこととなります。

 

特に親からの虐待を経験している子供たちは、外見上は健常であるように見えますが、心の中は深い傷を抱えています。この内なる痛みに気付く人は少なく、さらに理解しようとする人はさらに限られています。外見と内面の間に大きなギャップが生まれることで、その子供は心を更に閉ざす傾向にあります。親との破綻した関係や愛情の欠如から、美しい思い出や楽しかった瞬間を回想することが難しくなることもあるでしょう。一般的な社会規範や学校の中でのコミュニケーションが求められる中、彼らは孤立しやすくなります。

 

ただ、こうした経験を持つすべての子供が同じ未来を迎えるわけではありません。愛情不足で育った子供の中には、その経験を逆手に取り、愛情深い大人になるケースもあります。彼らは愛情に価値を置き、自らが望むような温かい家庭を築くことを願うかもしれません。また、厳しい環境の中で生き抜く経験は、その人の特定の能力や資質を磨くこととなり、その結果として特別な強さや魅力を持つ大人になることも考えられます。

 第5節.

母親の愛情を求めてきて、それが叶わなかった絶望


母親を失うというのは、多くの人々にとって、計り知れないほどの大きな痛みを伴う経験です。その背景には、母親という存在が私たちの生活において、取り替えのきかない、非常に特別な役割を果たしていることがあげられます。考えてみれば、私たちがこの世に生を受けた瞬間から、母親は私たちの身体や心のニーズに応えてくれました。生まれたばかりの時にお乳を提供してくれたり、幼い頃に起きた小さなトラブル、例えばおむつや下着の交換などの日常的な世話を手際良く行ってくれたのは、多くの場合、母親でした。そのような日常的なケアを通して、母親という存在は私たちの安心や安全、そして生命そのものを支える重要な存在となっています。

 

多くの人々は、子供の頃から親の愛情を強く求めます。中でも母親の愛情は特別で、多くの子供はその期待を裏切らないようにと、何事にも最善を尽くして成長してきます。しかし、実際の生活の中で、全ての期待が叶うわけではありません。特に、たったひとりの母親を失うという経験は、子供の心に計り知れない大きな影を落とします。そんな中でも、自らが逆境の中で育った人々の苦しみは一層深いものとなります。

 

たとえば、子供の頃から家庭内での暴力や虐待を目の当たりにしてきた人々は、その心の傷が深く、成長してもその影響を受け続けることが多いです。そのような環境で育った子供は、自らの苦しみや痛みを表現することが難しく、真心からの「辛い」「しんどい」という気持ちを母親に伝えることができなかったことが多いです。その結果、真の感情を隠し続けることで、感情が麻痺してしまい、心の中に深い傷を抱えることとなります。

 

そして、母親が亡くなった後も、その心の傷は癒えることなく、幼少期の自分の叫び声が今も耳に響いているように感じられます。「お母さん、助けてほしい」「私を見捨てないで」という切ない叫びは、過去の自分と現在の自分の間に橋をかけ、その苦しみを増幅させます。

 

このような深い心の傷は、人によっては極端な症状として現れることがあります。日常の生活においても、夢と現実の区別がつかなくなることや、極度の吐き気、頭痛、心臓の鼓動の遅さ、息苦しさ、めまい、身体の麻痺、過去のトラウマを思い出すフラッシュバック、強烈な虚脱感などの症状が現れることがあります。このような状態に陥ると、自分自身を失ってしまうような感覚に襲われ、まるで心が死んでしまったかのように感じることもあります。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

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