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愛情不足で育った子供と大人


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 第1節.

親の愛情不足、それとも子供の発達障害


今の人生が上手くいっていなかったら、その根本には、親から愛情をたっぷり注がれていなかったのではないかと思いたいものです。自分は母親から愛情を貰えなかったと思い、母親を憎むことがあります。1980年代は、母原病という言葉が流行り、お母さんの愛情不足が原因でうまく育たないことが話題になりました。今は母親の逆襲が起こっていて、この子は発達障害があるから、愛情を注いでもコミュニケーションが取りにくいために、うまく育てられなかったと訴える親が多くなりました。親は親で自分のせいじゃないと言い、子供は親の愛情不足で育ったため、上手く生きれなくなったと言います。

 

しかし、トラウマというのはさまざまなものがあり、虐待でもなく、母子関係でもなく、発達障害でもなく、自分の記憶に全くないようなストレス体験がトラウマになることもあります。例えば、出生時の医療措置の外傷や子宮内のストレス、アトピーや喘息など身体の弱さ、手術中に麻酔が切れて恐ろしい体験、ぞっとするような事故、事件に巻き込まれるなどが原因になり、身体が外の世界のストレスに対して、自動的に反応するようになります。そして、トラウマによる身体の症状から、動悸がして、息苦しくなり、胸が痛み、解離して、親子関係がこじれるようになり、更なるトラウマを負っていく方がたくさんいます。

 第2節.

日本の夫婦の繋がりは


日本の夫婦間はだいたい愛情関係で繋がっていないと言われており、損得勘定で繋がっていることが多く、愛情不足で育った方は多いのではないでしょうか。損得勘定やお金にこだわる親を見ている子供は、親のことを尊敬することができません。そんな親に育てられた子供は、自分に価値があるように思えません。また、自分を肯定することができなくて、自尊心は当然のように低くなります。

 第3節.

ネグレクトがトラウマになる2タイプ


家庭の中で阻害されている子供は、親から愛情をもらえず、注意を注がれず、関心をもたれていません。子供は愛情なぬくもりを肌で感じないまま育ち、距離を置かれて、ネグレクトされます。ネグレクトされて、愛情不足のトラウマを負った人は、大きく分けると二種類のタイプに分かれます。

 

一つ目は、子供は自分の存在が否定されていると感じるから、自分は消えたいと思い続けます。親に愛情・関心を向けてもらえないことで、影が薄くなり、存在が小さくなって消えていきます。家の中では居場所が無く、寂しさを抱えて、隅っこのほうで縮まり、小さく丸まって存在感が無くなります。自分の色が無くなり、個性が出なくなります。

 

二つ目は、親に無視されてきたことに対して、怒りのエネルギーだけで生き延びて、この世界を恨みます。その負のエネルギーが反発心や誰かを傷つける痛みに変わって、野獣やモンスターになります。

 第4節.

愛情不足で育った大人の特徴


根本的に子供は、家族に依存して生活しています。子供の身体が成長していく過程で、親がその役割を担っています。親の愛情が不足していると、子供は自分を支える根っこの部分が欠落していきます。そして、心と身体がきちんと成長できなくて、生物学的なところに弱さが出ます。身体の機能や脳の成長がスムーズにいかないと、大人になった後も、心の問題や生物学的な問題が出てきます。

 

子供は、基本的に食事を取り、寝る布団があり、保護的な親に囲まれて、安心して、愛情を貰えて、のんびりゆっくり過ごすことが成長の過程において最も重要です。その一方、親が子供の日常を支えるものを提供せずに、親の不機嫌で外に追い出されて寒い思いをしたり、食事を与えられずに飢えを感じたりして、愛情をほとんど感じられない環境で育つと、心や身体に様々な症状が現れるようになります。

 

愛情不足で育った大人は、小児期の頃から、辛い思いをしてきて、親に心配をかけないようにするため、きちんとした良い子でいて、喜ばせる方法を考えてきました。親に愛情を貰おうと、あれこれと考えて頑張り、いつも気を遣いながら話をしてきましたが、やがて愛情を貰えないことに悲しみ、苦しんでいきます。親から愛情を貰えなかった大人は、身体の中で渦巻く怒りの感情や虚しさに苦しみ、誰かに愛されたり、癒されたりして、普通に暮らすことを求めています。そして、幼い頃に得られなかった愛情を、他の誰かに求めて依存します。

 

しかし、愛情が欲しいと求めれば求めるほど、それが叶わないと傷つきも大きくなります。そして、愛情を何度求めても傷つくことを繰り返して、怒りや恨み、悲しみに変わり、負のエネルギーに疲れ果て、どうせ私なんか誰も愛してくれない、愛されたことない人間なんだから、愛し方なんて分からないまま、いつもひとりなんだと思います。また、どうせ誰にも愛されないからという理由で、距離を置くようになり、心を閉ざして、人間関係を諦めていきます。

 

愛情を貰えなかった子供は、元気がなく、他者と関わりたいという気持ちも薄く、前途多難な人生を歩むことになり、出口の無い迷路の中を彷徨っているかのように見えます。愛情不足の子供は、まず、自分が親に愛されなかったと思うと耐えられないので、そのことからの否認から始まります。彼らは、名付けようのない悲しみのなかで、愛着対象を失い、もうここから抜け出せないと絶望し、どうしていいか分からなくて、そのことについて考えられなくなります。再び、そのことについて考えようとしても、思考は停止し、圧倒される感情に支配され、我を失いそうになり、苛立つかもしれません。

 

彼らは、愛着対象の代わりに、何か別の依存対象を愛するようになり、それを自分の大事なもののように扱って、尊厳を見い出していきます。しかし、次第に本当に笑うことや本音や本当の感情を見せること、勉強を努力すること、楽しみや嬉しさを感じることなど、生きる意欲を失っていきます。

 

小児期の頃からの長年にわたるトラウマがあると、いつも何かに怯え続けて、こころは固まり閉ざされていき、あぶくのなかに閉じ込められてしまって、自分の意志で身動きもできなくなります。時が経てば、自分の居場所や周囲の環境、友達は変わっていきますが、こころの中には、凍りついて、今なお変わることのないものが残り続けています。そして、親の期待を裏切ってしまった自分は悪いからと、自分なんて誰かに愛情をもらう資格もない、塵のように捨てられると思ったり、変えようのないどうしようもない不幸を呪い、それでも生きていかなければならいので、この現実に絶望します。

 

親から虐待を受けている場合、見た目は健常者でいられますが、こころの中は障害者で、こころの痛みまで誰も気づいてくれず、理解しようとはしてくれません。人は、外から見える姿と内側に抱えている苦悩との間のずれが大きくなればなるほど、心を閉ざしていきます。そして、親との関係で傷つき、愛情不足な方ほど、良い思い出を語るだけの記憶がなく、世間一般の普通に合わせることがとても辛く、空気を読むことを求められる学校社会のなかでは孤立しがちです。

 

愛情不足を埋めるように、強いふり、明るいふり、賢いふり、まともなふりをして、自分の本音や本当の感情を隠して、いくつも仮面を被って笑顔を貼り付けて過ごしています。しかし、こころの奥底には、名づけようのない大きな感情があって、成熟とは程遠いほどの未熟なままの私がいて、ひとりぼっちで寂しくしています。その感情に触れようとすると、息がしにくく、胸が痛み、頭も痛くなり、訳もなく悲しくなって、突然泣いてしまうことがあります。

 

しかし、このような書き方をしましたが、異なる事例もあって、愛情不足で育った子供は、愛情を大事するような大人になり、良い家庭を持ちたいと思って、良い親になることもあります。また、酷い環境に生き抜くために、めっちゃ強くなって、変なところの性質が特化する者もいます。

 第5節.

母親の愛情を求めてきて、それが叶わなかった絶望


母親を失う経験というのは、どの人にとっても、耐えがたい究極の経験であると思われます。その事実は、それは母親という存在が唯一無二の代替え不可能な存在であるからです。例えば、生後にお乳を飲ましたり、お漏らししたときにその汚れをきちんと始末して、新しい下着とかに取り換えたりとかの生きる上での生命線は母親が担ってきたからです。母親という存在は、誰にとっても特別で、その存在は取って替えられないために、その喪失感に耐えられない人がいます。

 

母親の愛情を強く求めて、期待を裏切らないように何でも頑張ってきたのに、それが叶わず、たったひとりの母親が亡くなってから、何も考えられなくなり、自分のことが分からなくなります。このような人は、子供の頃から、親子関係の逆境体験の連続で、例えば、父親から母親への暴力を見てきたり、父親や兄弟などから酷い虐待や暴力を受けてきました。

 

本当はしんどいとか、辛いとか、母親に言いたかったけども、何も言えませんでした。そして、母親を悲しませたくなくて、何もないふりをしてきました。本音や本当の感情を言えずにきたので、だんだん自分の感情が薄くなりました。母親から見たら、自分がうまくやっているように見えていたかもしれませんが、心の中は傷だらけで限界でした。今でも心の中は傷ついたままで、母親が生きている間に分かってほしかったと思っています。

 

そして、最後まで、母親の愛情を求めていたのに、理解してもらえなかったことや幼い頃の自分をそのまま受け入れてほしかったという気持ちで苦しみます。小さい頃の自分は、悲しくて、孤独で、お母さんに対して「お願い、助けて」「私を見捨てないで、どこにもいかないで!」と叫んでいます。そして、ひとりきりになると自分のことがよく分からなくなるので、それが何よりも恐ろしいから、そばにいてほしいと叫びます。

 

しかし、その声も届かずに、苦しみ続けて、元気が無くなり、頭がぼんやりして、夢と現実の境目が分からなくなります。そして、心細くて、恐怖の中で、自分がなくなってしまうような感覚と戦います。最終的に、自分が自分でなくなってしまうと、心は死んだようになります。極限の混乱状態において、記憶は残らず、吐き気、腹痛、頭痛、心臓の鼓動が遅い、息ができない、めまい、動けない、フラッシュバック、虚脱など、様々な症状が現れます。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

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