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複雑なトラウマの末路


複雑なトラウマを負っている人は、この世界で、何度も脅かされて、恐怖を感じてきました。そして、トラウマの影響は、脳や体に生物学的な変化を与え、精神的、肉体的な苦痛に変わり、現在では全身に及ぶ疾患と言われています。ここでは、複雑なトラウマを負い、重症化している人の悲惨な末路について載せています。

①嫌悪刺激に弱い

複雑なトラウマを抱える人は、刺激に敏感になり、環境の変化に弱く、警戒心が過剰です。自分にとって良い刺激は、自分を守るバリアになります。しかし、悪い刺激は、筋肉を硬直させ、息苦しくなり、不安、焦り、驚愕反応、恐怖になります。不快な状況に留まらなければならない場合は、落ち着かず、居ても立っても居られないイライラ、投げやりな態度、無気力に支配されていきます。

②過敏さと様々な症状

トラウマの状態に固着して、過覚醒や凍りつく人は、外の世界に対して、気を張り詰めすぎて、人の気配や物音、匂いなどに過敏になり、都市型の生活が困難になります。ご近所との関係がうまくいかなくて、隣人の出す音やノイズに耐えられず、周りが敵だらけのように感じるかもしれません。過覚醒になり、目の前の問題を解決できないと、交感神経のスイッチが入って、落ち着かず、焦りやイライラ、居ても立っても居られない状態が続きます。と同時に、背側迷走神経も過剰に働き、拮抗し合う状態が続くと、神経は張り詰めて、体は凍りついて、原因不明の身体症状や精神疾患になります。

③慢性疾患

複雑なトラウマを抱える人は、身体疾患に罹り、慢性疼痛、線維筋痛症、慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、顎関節症を患いやすいです。例えば、トラウマによる慢性的なストレスから、交感神経が活性化した状態が続くと、防衛的な姿勢を取り続け、神経系が過剰に稼働し、痛みになります。また、交感神経系が働かなくなると、シャットダウン状態になり、慢性疲労になっていきます。さらに、大人になってから、心疾患、肺疾患、糖尿病、頭痛、多発性硬化症、がん、脳卒中などに罹るリスクが上がります。

④引きこもる

複雑なトラウマがを抱える人は、特に何も問題がないような場面でも、体は過覚醒で落ち着かなくなったり、凍りついたり、崩れ落ちたりします。そして、いつ自分が脅威に曝されて、無力な状態になるかも分からないので、次の脅威に備えた人生になり、過剰に警戒して、外に出ることが大変になります。そして、外に出るともの凄く疲れてしまうため、家に帰ると、エネルギーが切れて、動けなくなり、何も出来なくなります。だんだん体の調子が悪くなっていき、家の中に引きこもるようになり、親に寄生して、安心を求めます。さらに、家に引きこもって、何もしなくなり、何もしなくていい生活を望むようになります。しかし、何もしない生活が続くと、周りの皆に置いていかれて、将来への不安が強くなり、できない自分を責めたり、誰かのせいにしていきます。

⑤自己感覚の喪失

逃れられない苦痛が大きくなるほど、痛みは切り離されて、感覚麻痺が進みます。自分の身体感覚が分からなくなると、体というものを所有できなくなり、この世界との接点が消えます。心(頭)と体の分離が進むほど、解離傾向が高まり、感情の鈍磨、思考の混乱、時間感覚の障害などが出て、自己感覚が喪失していきます。その結果、この世界の彩が失われ、自分の方向性が見いだせなくなり、自分が自分で無くなっていきます。

⑥動けなくなる

複雑なトラウマがあっても、好奇心に動かされて、一日中、熱中できる生産的な活動をしているときは、調子が良くなり、体も軽くて、見違えるほどに元気になります。しかし、問題解決できず、八方塞りに陥ると、精神的に参って、体調が悪化します。体調が悪い状態が続くと、一週間風呂に入らず、着替えもせず、寝たきりのような状態になります。トラウマは時間が経てば、良くなるものではなく、徐々に体力を失い、機能低下します。

⑦慢性的な不動状態

人生上の苦痛が大きくなるほど、生きている実感が無くなり、この世界に積極的に関われなくなり、ただ型通りにしかか生きれなくなります。 心も身体もおかしくなり、不眠症にかかり、不安やうつ、慢性疼痛、慢性疲労になっていきます。 酷い場合には、慢性的な不動状態に陥り、食事を作れず、食べることもしなくなります。身だしなみも気にしなくなり、着替えや風呂にも入りません。歯磨きもしなくなり、虫歯が出来ても歯医者にいけません。外出が出来なくなり、ベッドから起き上がることが困難で、布団のなかで寝たきりになります。最悪の状態では、トイレに行けなくなり、その場に用を足します。周りに迷惑をかけている自分を責めて、死にたいと無気力に泣き叫ぶようになります。

トラウマケア専門こころのえ相談室

公開:2021-1-23

論考 井上陽平