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第1節.
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強烈な外傷体験をきっかけに心と体に深い影響を及ぼす状態です。PTSDを発症した人は、生命を脅かされたり、尊厳を踏みにじられるような出来事を経験し、そのときの強い恐怖が心の傷跡として残ります。この恐怖は、後々の人生にも影響を及ぼし、しばしば無意識のうちに日常生活を支配します。生死に関わるような経験をすると、人はその恐怖や戦慄に圧倒され、体の神経がその衝撃に追いつけなくなります。結果として、脳や神経、筋肉、内臓、免疫系、内分泌系といった心身の機能に莫大なエネルギーが滞り、正常な働きを失ってしまうのです。
PTSDは、外傷的な体験から生き延びたとしても、体内に膨大なエネルギーを滞らせ、凍りついたような状態に陥ることで発症します。この状態にある人々は、恐怖や麻痺、再体験、過覚醒、パニック、不動化、機能停止、虚脱、離人感、無力感、希死念慮、認知や気分の陰性変化、さらには身体症状や体調不良といったさまざまな症状に悩まされ続けます。これらの症状は、トラウマ体験から何年経過しても、当時の出来事を繰り返し思い出しては恐怖に襲われたり、悪夢を見たり、似た状況を避けようと過度に警戒したりすることで、日常生活に大きな困難をもたらします。
恐怖や戦慄の衝撃は個人によって異なり、同じ出来事でも心に深い傷跡を残す人もいれば、そうでない人もいます。こうした心の傷跡をトラウマと呼び、PTSDの症状は生命の危機に直面するような体験だけでなく、長期間にわたる家庭内のネグレクトや心理的虐待でも引き起こされることがあります。また、他者に見捨てられる体験や周囲の人間に振り回される経験、仲間を助けられなかったことへの後悔、取り返しのつかない失敗といった、さまざまな状況がPTSDの原因となり得るのです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、トラウマによって引き起こされる多様な症状を伴います。その代表的な症状を4つのカテゴリに分けて解説します。
侵入症状 トラウマとなった出来事に関連する記憶が、突然かつ不快な形で蘇ってくることがあります。この記憶は、鮮明なフラッシュバックとして意識に侵入することもあれば、悪夢として夜間に襲ってくることもあります。これらの侵入症状が現れると、心の不安定さや身体的な反応に大きな変化が生じます。
回避症状 トラウマの記憶や関連する考えを避けようとする傾向が強くなります。特に、トラウマを連想させる人物、場面、場所などを避けることで、再びその記憶に直面することを防ごうとします。この回避行動は、一時的な安心感をもたらす一方で、日常生活に大きな制限をもたらすことがあります。
認知と気分の陰性変化 PTSDは、ネガティブな認知や感情の変化を引き起こします。これにより、興味や関心を失い、周囲の人々とのつながりが薄れ、孤立感が強まります。ポジティブな感情が感じられなくなり、日常の楽しみや喜びを見出すことが難しくなります。
覚醒度と反応性の著しい変化 PTSDの影響で、過度な警戒心や苛立ちが常に付きまといます。自己破壊的な行動に走ったり、些細な刺激に対して過剰に反応したりすることも少なくありません。これらの症状により、集中力が低下し、睡眠障害に悩まされることが多くなります。
これらの症状は、トラウマが人々の心と体に深く刻み込まれることを示しています。PTSDは、単なる心の問題にとどまらず、個人の生活全般に大きな影響を及ぼします。
人は、生命が脅かされるような出来事を経験すると、その後の生活において、トラウマ体験を思い出させるような光景、匂い、音、声、感覚、感情などに対して、身体が過剰に反応するようになります。特にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱える人々にとって、最も苦しめられるのが過去の忌まわしい体験が繰り返し蘇る再体験症状です。これにはフラッシュバック、悪夢、そしてパニック発作などが含まれます。
フラッシュバックが起こると、その瞬間、まるで当時の出来事が再び目の前で起こっているかのように感じられ、身体と心が恐怖と苦痛に支配されます。このとき、左脳の機能が低下し、言葉を使って状況を整理することが困難になります。そのため、出来事を冷静に分析したり、それを自分の人生の一部として受け入れたりすることができなくなります。結果として、トラウマの記憶はますます鮮明になり、PTSDの症状は悪化しやすくなります。
このように、PTSDによる再体験症状は、トラウマの影響を単に過去の記憶として捉えることを妨げ、日常生活におけるストレスや苦痛を増大させます。トラウマを抱える人々が、どのようにその影響と向き合い、乗り越えていくのかが重要な課題となっています。
トラウマを受けた人の脳は、危険を察知する扁桃体が常に警戒態勢を維持し、身体はストレス反応によって過敏な状態に陥ります。たとえ一瞬の些細な刺激であっても、身体は過剰に反応し、過緊張状態が続きます。不安が高まると、心臓が激しく鼓動し、焦燥感が募り、過覚醒や凍りつきといった症状が生じます。
PTSDの過覚醒状態では、神経が過度に高ぶり、呼吸が浅く速くなり、動悸が激しくなります。また、聴覚過敏や驚愕反応、不眠、ネガティブ思考、恐怖症、そして身体的な不調が特徴的です。このような状態では、心身ともに落ち着きを失い、日常生活で容易に疲労感を覚えます。
さらに、トラウマが繰り返されて慢性化すると、身体は常に凍りついたような状態になり、交感神経と背側迷走神経が過剰に働き続けるため、複雑性PTSDや境界性パーソナリティ障害、特定不能の解離性障害など、より深刻な状態に進展することがあります。このように、トラウマは単なる一時的な反応ではなく、長期にわたって心身に深刻な影響を及ぼすのです。
ストレスに対して脳や身体が無防備な状態に曝されると、不安、悪夢、不眠、身体的な不調、緊張、パニック、イライラ、集中力の低下など、さまざまな症状が次々と現れます。これらの症状は、不合理な攻撃的衝動に振り回されることで、制御不能な恐怖感を引き起こします。その結果、恐怖や怒りなどの否定的な感情を抑え込み、強い感情が喚起される場面を避けようとするようになります。
また、原因不明の身体症状に苦しむ中で、日常生活そのものが逃げ場のないストレス状況となり、全ての希望を失い、自分自身が崩れていくことへの恐怖が強まります。この恐怖に対抗するために、自己防衛としてあらゆることを避けるようになり、生活の幅がますます狭まっていきます。
さらに、同じようなトラウマ的な出来事に再び遭遇することを恐れるあまり、家から出ることすらできなくなることがあります。このような回避行動は、PTSDに特有の反応であり、生活の質を著しく低下させる原因となります。
第2節.
外傷体験の初期には、再体験、精神機能の麻痺、わずかな刺激への過敏な反応、驚愕反応、そして強烈な情動による過剰警戒が見られることがよくあります。しかし、時間の経過とともに、これらの症状が自然に回復するように見える場合も多く報告されています。しかし、PTSDの原因となる刺激が特に強烈であり、かつ周囲のサポートが乏しく、逃避が困難または不可能な状況が長期的に繰り返されると、症状が複雑性PTSDへと進行することがあります。
複雑性PTSDでは、以下のような深刻な症状が現れます。
さらに、これらの症状は脳内に永続的な変化を引き起こします。扁桃体の過剰な興奮、海馬の萎縮、前頭葉の機能変化が確認され、自律神経システムが調整不全に陥ることで、免疫系や内分泌系にも深刻なダメージを与えます。これらの影響は、トラウマが単なる一時的な心の傷にとどまらず、長期的かつ全身にわたる深い影響をもたらすことを示しています。
1. 外傷体験がもたらす神経と身体の深刻な分断
生死に関わるような外傷体験は、驚くほどの速さで神経に影響を及ぼします。その結果、身体の神経がこの衝撃に対応しきれず、心と身体の神経が分離してしまうことがあります。この分離によって、自分ではコントロールできない過覚醒や不随意運動が引き起こされます。外傷のショックによって、顔の神経が引っ張られるような感覚や、目の焦点が合わなくなるといった症状が現れることもあります。
さらに、外傷体験の後、身体の神経は極度に繊細になり、外界のわずかな刺激に対しても過剰に反応し、常に警戒態勢を取るようになります。これにより、身体にはトラウマの痕跡が深く刻まれ、以下のようなさまざまな症状に苦しむことになります。
これらの症状は、外傷体験が単なる記憶として残るだけでなく、身体全体に深刻な影響を及ぼすことを示しています。心と身体が切り離され、神経が過敏に反応し続けることで、日常生活に深刻な障害をもたらすのです。
2. トラウマがもたらす神経の過敏化
トラウマの影響を受けると、脳や身体の神経は過度に敏感になり、危険を素早く察知しすぎてしまいます。その結果、脳のフィルターがうまく機能せず、大量の情報が意識に上がってきます。PTSDを抱える人々は、内臓や筋肉が常に危機感を抱えているため、頭の中でも世界に対してネガティブな認知をしがちで、受け取る情報を悪い方向に解釈してしまいます。こうした危機感とネガティブな認知が相まって、身体は凍りついた状態から抜け出せず、体調不良や解離の症状が現れやすくなります。
さらに、大量の情報を適切に処理できなくなると、神経が破綻し、突飛な考えや被害妄想、さらには幻覚や幻聴にとらわれることがあります。例えば、人の気配や足音、物音、影などに過剰に反応し、日常生活が極度に警戒した状態になります。これにより、聴覚過敏や気配過敏が増幅し、人口密度の高い都市型生活では疲労困憊に陥ります。音に対する不快感が強まり、大きな音を立てる人々が全員敵のように感じられることもあります。
このような神経過敏の影響は、家庭内の家族関係や外部の近隣住民との関係にも深刻な悪影響を及ぼします。家の中では家族との関係がこじれ、外では隣人との摩擦が増え、社会生活がますます困難になるのです。トラウマがもたらす神経の過敏化は、日常生活に広範な影響を及ぼし、個人の社会生活を著しく損なう要因となります。
3. 複雑化するトラウマと身体・心のバランス崩壊
身体が危険を察知するサイクルに陥ると、大脳辺縁系(情動脳)と大脳新皮質(理性脳)のバランスが崩れ、理性的な判断が難しくなります。この状態では、衝動的な行動を起こしてしまい、人間関係がうまくいかなくなることが多いです。また、人のネガティブな感情をダイレクトに受け取りやすくなり、恐れや麻痺、怒り、戦慄といった強烈な感情が繰り返され、他人との距離を保つようになります。身体的な苦痛が続くと、心と身体の分離が進み、解離や離人感、現実感喪失症が悪化し、自分自身がよくわからなくなると同時に、トラウマ症状が複雑化していきます。
トラウマが複雑化し、蓄積された莫大なエネルギー(中断された闘争・逃走反応)が体内に残ると、不快な感覚や過剰な興奮を引き起こし、次第にその部分は麻痺します。トラウマを適切に回復できない場合、その影響は人生全般や健康寿命、人格形成にまで及びます。トラウマの症状は非常に多岐にわたり、自己調整機能の阻害、傷つくことを避けるための引きこもり、うつ状態、感情のコントロールの困難さ、メンタライズ機能の低下、否定的認知、身体的な不自由さ、慢性的な炎症や痛み、疲労、記憶障害、発達の停滞、幼児化、無力感、恥、絶望感、希望の喪失、敵意、信念の崩壊など、さまざまな形で現れます。
第3節.
トラウマは、単に心的外傷と呼ばれるだけではなく、実際には脳を含む身体全体に及ぶ外傷であり、その影響が心に深い傷跡として残ります。最近の研究では、生命が脅かされるような重大な体験だけでなく、心と身体が深く傷つけられることで、PTSDに類似した症状が引き起こされることがわかってきました。たとえPTSDの診断基準に該当しなくても、トラウマを抱える人は多く存在し、その症状は決して軽いものではありません。トラウマによって引き起こされる機能障害や自己組織化の障害、解離性障害などは、時に非常に深刻な病態となることがあります。
特に子どもの頃から繰り返される逆境体験は、深刻なストレスとなり、解離性障害や愛着障害、身体表現性障害、離人症性障害、さらにはうつ病、不安障害、パニック障害、摂食障害、強迫性障害、睡眠障害、恐怖症、アルコール依存や薬物依存、自傷行為といった嗜癖行動、パーソナリティ障害、ADHD、発達障害、自殺念慮など、あらゆる精神疾患の要因となり得ます。
さらに、トラウマの影響は精神面だけでなく、身体にも広範囲に及びます。喘息や心身症、慢性疲労症候群、線維筋痛症、過敏性腸症候群、顎関節症、月経前緊張症候群、化学物質過敏症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、自己免疫疾患、がん、糖尿病、心筋梗塞など、さまざまな慢性疾患に罹りやすいことが分かっています。このように、トラウマが心身に与える影響は、私たちが想像する以上に深刻であり、適切な理解とケアが不可欠です。
1. 無意識に繰り返される恐怖とその影響
トラウマは、気づかないうちに私たちの生活や人間関係に深刻な影響を与えます。トラウマを放置すると、それが原因で人間関係が長続きしない、人を心から好きになれない、職場を転々とする、家に引きこもるといった行動パターンが形成され、恋愛や子育て、夫婦生活にも悪影響を及ぼします。このような生きづらさの根本には、トラウマによる恐怖が隠れています。
トラウマによる恐怖は「汎化」と呼ばれる現象によって、過去の外傷体験時の情動や身体感覚、生理的反応、光景、音、匂いなどが、さまざまな刺激と無意識に結びつけられます。その結果、本来は危険でないはずのものまで脳や身体が危険だと認識してしまいます。このような反応が繰り返されることで、不安、恐怖、怒り、痛み、麻痺といった反応が増え、長期的な不安、過覚醒、凍りつき、不眠、フラッシュバック、パニック発作、さらには原因不明の身体不調に悩まされるようになります。
恐怖反応に伴う回避行動が、人生を徐々に蝕み、本来なら得られたであろう多くの可能性を奪っていきます。トラウマは見えない傷であり、その影響が生活全般に及ぶため、早期の認識と対処が重要です。
第4節.
トラウマを抱えていても、良好な人間関係と自分を支えてくれる人々に囲まれているならば、その傷は自然に癒されていくことが多いです。安心できる環境が整っており、周囲の人が話を聞いてくれることで、心の安定が保たれ、回復が促進されます。また、一度限りの体験による単発性のトラウマであれば、恐怖の衝撃がそれほど強くなければ、前向きに生きる力を持つ人も多く存在します。
さらに、トラウマという衝撃を受けたことで、霊性に目覚めたり、人生の意味を深く考えるようになったり、人間関係の大切さに気づいたりと、人間としての深みを増していく人もいます。傷つきながらも、自らの内なる強さが育まれ、逆境に立ち向かう力となることがあります。
現実の耐え難い苦痛に対しても、後ろ向きにならず、怒りや悲しみをエネルギーに変えて前向きに努力することで、学術、芸術、仕事、子育て、スポーツなど、さまざまな分野で成果を上げる人たちがたくさんいます。トラウマは確かに人を傷つけますが、それを乗り越えることで得られる成長や人間としての深まりもまた、人生における大きな価値なのです。
1. トラウマからの成長—逆境を乗り越えるための3つの鍵
『トラウマ後成長と回復』の著者、スティーヴン・ジョゼフは、トラウマ体験後の成長の核心には以下の要素があると述べています。
不確かさに耐える力: 人生の不確実性や有限性を受け入れる能力は、トラウマからの回復において重要な要素です。この力を持つことで、予期しない出来事や逆境にも柔軟に対応できるようになります。
マインドフルネスの実践: 今この瞬間に意識を集中し、自己認識を深めることが、トラウマを乗り越える道を照らします。過去にとらわれず、未来を不安視することなく、現在をしっかりと見つめることで、心の平穏を取り戻すことができます。
自己の担い手であることを認める: 自分自身が自分の人生を導く存在であり、その選択に責任を持つことが、真の回復と成長を促します。この認識は、自分の人生に対する主体性を取り戻し、トラウマの影響を軽減する鍵となります。
逆境に対処するためには、次の3つのステップも重要です。
現実に向き合う: 現実を否定するのではなく、その存在を受け入れ、直視することが第一歩です。痛みや困難から逃げるのではなく、しっかりと向き合うことで、乗り越える力を得ることができます。
不運を受け入れる: 不運や逆境を屈服と捉えるのではなく、これらを受け入れることで、心に余裕が生まれ、次の行動を考える余地が生まれます。
運命に責任を持つ: 自分の運命を他者や環境のせいにするのではなく、その後の人生をどう生きるかに責任を持つことが、逆境からの脱却につながります。自分自身の行動に責任を持つことで、新たな人生の道を切り開くことができるのです。
このように、トラウマからの成長は、ただ痛みを乗り越えるだけでなく、自己認識を深め、人生を主体的に生きるための力を育むプロセスです。
2. トラウマ治療の二方向アプローチ—心と身体を癒す道筋
トラウマの治療では、心のケアだけでなく、身体に焦点を当てたアプローチが重要です。心と身体の両面に働きかけるためには、トップダウンとボトムアップの二方向からのアプローチが効果的です。
まず、身体との関係を築くことが大切です。自分の身体の感覚や感情に気づくことで、自己知覚が活性化し、自分自身をしっかりと感じる力が育まれます。このプロセスを通じて、身体が伝える繊細なサインに気づき、情動を司る神経系や大脳辺縁系とのバランスを取れるようになります。
次に、心のケアとして、カウンセリングを通じて自分の内面を深く見つめ、心理的理解を深めることが求められます。心の中にある思いや感情を言葉にすることで、思考が整理され、次第に落ち着いて過ごせるようになります。この過程を通じて、トラウマを思い出しても少しずつその影響を減らし、不確かな状況にも耐えられる心の強さを育て、自分自身を肯定する力を高めることができます。
このように、心と身体の両面に働きかけるアプローチは、トラウマの影響を軽減し、回復への道を開くための有効な方法です。
トラウマケア専門こころのえ相談室
更新:2020-05-24
論考 井上陽平
トラウマの対処法は、自分のトラウマ体験をたくさんの人に話すことが良いです。親やパートナー、友人にたくさん話して、その出来事に対して距離を置いて見れるようにすることで、心身の苦しみが軽減されます。
トラウマは、捉えどころがなく、体や心のどこに潜んでいるかわからない不可視なものでしたが、今では、過去のトラウマの経験が体のどこかにあり、恐怖に関連したことが蘇ると、体が硬直していく現象です。
凍りつくトラウマは、予期せぬ出来事に巻き込まれ、戦慄の衝撃を受けて、体がギュッと縮まり、凍りつき、体にエネルギーが滞ります。災害救援の方からは、凍りつき症候群と言われており、ありふれた症状です。
崩れ落ちるトラウマは、恐ろしい目に遭わされた人に見られますが、命の危機に曝されたときに、逃走に失敗し、無力な状態に陥った後にも、執拗に攻撃を受けて、崩れ落ちていく最重度のトラウマ反応です。
闇が深い人は、生きているか死んでいるかも分からなくなり、自分の中心が空っぽ、自分の感覚が掴めなくて、実存の中心が空虚です。体にはぽっかりと穴が空き、何もかもひどい感覚に引きずり込む力があります。
未解決なトラウマがある人は、体が命の危機に瀕した経験を記憶しています。日常では、危機が迫ってこないか、体は絶えず次の変化に備えて緊張し、何かが起きても大丈夫なように、身構えています。